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1 プロローグ①
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「どうやら、俺の婚約者は“悪女”なんだそうだ」
俺の、その一言が全ての始まりだった。
********
俺─ネイサン=ブロンディオ─には、2人の幼馴染みが居る。
1人は─リュシアン=フルベール─この国の王太子。
1人は─ナターシャ─王太子妃。
3人が初めて顔を合わせたのは6歳の時で、リュシアンがその時にナターシャに一目惚れをして、ナターシャ一筋で、10歳で2人の婚約が決まった。
そして、2人は学校卒業後の18歳のデビュタントを終えてすぐに結婚をした。
リュシアンは次期国王としての器は勿論、魔道士としての実力もあり国民からも慕われている良き王太子だ。
ナターシャは侯爵家出身で、父親の侯爵は外交官。
そんなナターシャには、2人の妹が居る。
1人は─デライラ=カシリスト─年齢が六つ離れている為、俺とナターシャは幼い頃から交流はあるが、デライラとは殆ど交流はない。
そして、もう1人は─シャーリー=カシリスト─俺達より四つ年下の妹だが、シャーリーだけが母親が違う。シャーリーは、亡くなった先代のカシリスト夫人の子で、ナターシャとデライラは現カシリスト夫人の子だ。ちなみに、ナターシャとデライラは、カシリスト侯爵の実の子ではなく、夫人の死別した旦那との子だ。
その四つ年下のシャーリーと俺の婚約が決まったのは、5年前だった。俺はシャーリーとも殆ど関わる事がなかったが『そろそろネイサンにも婚約者が必要だろう』とリュシアンとナターシャに言われてしまえば断る事もできず
ー全く知らない相手ではないし、ナターシャの妹なら大丈夫だろうー
そう思って承諾した。ナターシャも喜んでいた。
それから、シャーリーと顔合わせをしたのは、婚約の書類にサインをする時だった。
********
「お久し振りです、ブロンディオ様」
「あぁ…本当に久し振りだね」
最後にシャーリーと会ったのはいつだったか…俺が学校を卒業するよりも前。あの頃は本当に幼くて、恥ずかしそうに笑っていたが、年齢よりも落ち着いた雰囲気があった。ただ、それ以降も俺は学校があったし、学校を卒業した後もリュシアン達の結婚式や仕事で忙しくなり、そうこうしているうちにシャーリーの学校生活が始まってしまい、婚約者となってからも殆ど会う事がなかった。
16歳から18歳の3年間の学校生活は、貴族の子供達にとっては社交界に入る為には必要なものとなる。そこで、知識や人脈を広げるのだ。シャーリーの学校での生活は順調──だった筈だった。
顔を殆ど合わせないとは言え、シャーリーの学校生活については、定期的に報告が上がっていた。成績は常にトップクラスで友達とも楽しくやっているようだった。それが、少しずつ不穏なものになって来たのは、シャーリーが3年生になってからだった。
シャーリーが3年に進学と同時に、デライラが1年生として入学したが、同じ1年生には10年ぶりに現れた聖女と、王弟の息子─リュシアンの従兄弟─であるルーク=メディオールや、平民でありながら魔道士の特待生も居て、“当たり年”と呼ばれていた。
『ルーク殿下の婚約者候補に、聖女のリンジー嬢と、デライラ侯爵令嬢の名前が上がっているそうよ』
と言う噂が広まったのは、あっと言う間だった。そして、それを否定する者も居なかった。
王太子は既に結婚していて、王族で未婚の者は第二王子とルークだけだから、侯爵令嬢のデライラと、子爵令嬢だが聖女なら王族との結婚には十分だった。
“聖女リンジー嬢が苛められている”
と報告が上がって来たのは、新学期始まって1ヶ月してからだった。
最初は小さなものだった。
ペンが1本無くなった
ノートが数ページ破られた
それが、3ヶ月経つ頃には
上靴が無くなっていた
運動着が捨てられいた
クリーニングに出した制服が破られていた
『子爵令嬢でしかないにも関わらず、聖女だから─と言う理由でルーク殿下の婚約者候補になっているから、僻みや妬みからだろう─』
と言う噂が立った。そんなリンジー嬢を助けている─と言うのが、デライラだった。
『流石は王太子妃の妹だ』
リンジー嬢が苛めを受けると、その分デライラへの好感度も上がっているようだった。それが──
『リンジー嬢を苛めているのは、シャーリー嬢らしい』
と噂が出だしたのは、半年が経った頃だった。
その報告が入った時のナターシャは、眉間に皺を寄せてギュッと唇を噛み締めて黙り込んでいた。それが本当の事なら赦せない─と言ったところだろうか?
以前からそうだが、ナターシャはシャーリーの話になると黙り込む事が多々あった。だから、ナターシャとシャーリーの姉妹仲は微妙なのか?と思ったりもしていた。特に、ナターシャが王太子妃になってからは、ナターシャの口からシャーリーの名を聞く事も殆ど無かった。
そして昨日。ついに、リンジー嬢が大怪我をして病院に運ばれたと言う報せが入った。
俺の、その一言が全ての始まりだった。
********
俺─ネイサン=ブロンディオ─には、2人の幼馴染みが居る。
1人は─リュシアン=フルベール─この国の王太子。
1人は─ナターシャ─王太子妃。
3人が初めて顔を合わせたのは6歳の時で、リュシアンがその時にナターシャに一目惚れをして、ナターシャ一筋で、10歳で2人の婚約が決まった。
そして、2人は学校卒業後の18歳のデビュタントを終えてすぐに結婚をした。
リュシアンは次期国王としての器は勿論、魔道士としての実力もあり国民からも慕われている良き王太子だ。
ナターシャは侯爵家出身で、父親の侯爵は外交官。
そんなナターシャには、2人の妹が居る。
1人は─デライラ=カシリスト─年齢が六つ離れている為、俺とナターシャは幼い頃から交流はあるが、デライラとは殆ど交流はない。
そして、もう1人は─シャーリー=カシリスト─俺達より四つ年下の妹だが、シャーリーだけが母親が違う。シャーリーは、亡くなった先代のカシリスト夫人の子で、ナターシャとデライラは現カシリスト夫人の子だ。ちなみに、ナターシャとデライラは、カシリスト侯爵の実の子ではなく、夫人の死別した旦那との子だ。
その四つ年下のシャーリーと俺の婚約が決まったのは、5年前だった。俺はシャーリーとも殆ど関わる事がなかったが『そろそろネイサンにも婚約者が必要だろう』とリュシアンとナターシャに言われてしまえば断る事もできず
ー全く知らない相手ではないし、ナターシャの妹なら大丈夫だろうー
そう思って承諾した。ナターシャも喜んでいた。
それから、シャーリーと顔合わせをしたのは、婚約の書類にサインをする時だった。
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「お久し振りです、ブロンディオ様」
「あぁ…本当に久し振りだね」
最後にシャーリーと会ったのはいつだったか…俺が学校を卒業するよりも前。あの頃は本当に幼くて、恥ずかしそうに笑っていたが、年齢よりも落ち着いた雰囲気があった。ただ、それ以降も俺は学校があったし、学校を卒業した後もリュシアン達の結婚式や仕事で忙しくなり、そうこうしているうちにシャーリーの学校生活が始まってしまい、婚約者となってからも殆ど会う事がなかった。
16歳から18歳の3年間の学校生活は、貴族の子供達にとっては社交界に入る為には必要なものとなる。そこで、知識や人脈を広げるのだ。シャーリーの学校での生活は順調──だった筈だった。
顔を殆ど合わせないとは言え、シャーリーの学校生活については、定期的に報告が上がっていた。成績は常にトップクラスで友達とも楽しくやっているようだった。それが、少しずつ不穏なものになって来たのは、シャーリーが3年生になってからだった。
シャーリーが3年に進学と同時に、デライラが1年生として入学したが、同じ1年生には10年ぶりに現れた聖女と、王弟の息子─リュシアンの従兄弟─であるルーク=メディオールや、平民でありながら魔道士の特待生も居て、“当たり年”と呼ばれていた。
『ルーク殿下の婚約者候補に、聖女のリンジー嬢と、デライラ侯爵令嬢の名前が上がっているそうよ』
と言う噂が広まったのは、あっと言う間だった。そして、それを否定する者も居なかった。
王太子は既に結婚していて、王族で未婚の者は第二王子とルークだけだから、侯爵令嬢のデライラと、子爵令嬢だが聖女なら王族との結婚には十分だった。
“聖女リンジー嬢が苛められている”
と報告が上がって来たのは、新学期始まって1ヶ月してからだった。
最初は小さなものだった。
ペンが1本無くなった
ノートが数ページ破られた
それが、3ヶ月経つ頃には
上靴が無くなっていた
運動着が捨てられいた
クリーニングに出した制服が破られていた
『子爵令嬢でしかないにも関わらず、聖女だから─と言う理由でルーク殿下の婚約者候補になっているから、僻みや妬みからだろう─』
と言う噂が立った。そんなリンジー嬢を助けている─と言うのが、デライラだった。
『流石は王太子妃の妹だ』
リンジー嬢が苛めを受けると、その分デライラへの好感度も上がっているようだった。それが──
『リンジー嬢を苛めているのは、シャーリー嬢らしい』
と噂が出だしたのは、半年が経った頃だった。
その報告が入った時のナターシャは、眉間に皺を寄せてギュッと唇を噛み締めて黙り込んでいた。それが本当の事なら赦せない─と言ったところだろうか?
以前からそうだが、ナターシャはシャーリーの話になると黙り込む事が多々あった。だから、ナターシャとシャーリーの姉妹仲は微妙なのか?と思ったりもしていた。特に、ナターシャが王太子妃になってからは、ナターシャの口からシャーリーの名を聞く事も殆ど無かった。
そして昨日。ついに、リンジー嬢が大怪我をして病院に運ばれたと言う報せが入った。
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