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2 プロローグ②
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「そう言えば、リンジーの物が紛失した時は、3年生の授業が無い時だったわ」
「リンジーの運動着が捨てられていたのは、3年生の教室がある西棟の裏庭だった」
「リンジーが大怪我をした場所から、お義姉様に似た人が走って行くのを見ました」
と証言したのはデライラだった。走り去って行く後ろ姿を見たそうで、それはホワイトブロンドの髪の女生徒だったそうだ。ホワイトブロンド色の髪は、比較的珍しい色で、在学生ではシャーリーを含めて10人で、女生徒となれば3人だけだった。勿論、10人全員がリンジーに何もしていないと否定した。
ただ、リンジー嬢が大怪我をした時にアリバイがなかったのが、女生徒ではシャーリーだけだった。
『2人きりで会っていたシャーリー様とルーク殿下を、時々裏庭などで見かけました』
『シャーリー様は、ルーク殿下に気があったのでは?』
『子爵令嬢のリンジー嬢に取られるのが腹立たしかったのでは?』
それからは、シャーリーに対しての悪評が一気に広まった。
俺とシャーリーの婚約は公にはされていない。
『シャーリーが学生のうちは、穏やかな学生生活が送れるように、婚約は伏せておこう』
と、リュシアンに言われたからだ。
結婚相手としては優良株な俺が婚約者だ─となれば、それこそ妬みや、最悪シャーリーを丸め込もうとする者が現れる可能性があったからだ。
それが、まさか、シャーリーがする側になるとは思わなかった─いや、まだシャーリーがそうだと決まった訳ではない。
シャーリー=カシリスト
落ち着いていると言うより、物静かと言った方が良いのか?その彼女が、公にはしていないとは言え、婚約者が居るのにも関わらず、ルークに恋心を抱くだろうか?抱いたとして、こそこそと苛めたりするだろうか?
ー正直、分からないー
そもそも、シャーリーには、シャーリーが入学してから一度も会っていない。学業の妨げになるような事はしたくなかったし、何度か手紙を書いたが、返事が来る事もなかったから、いつからか手紙を書くのも止めた。ただ、気にはなっていたから、時々ブロンディオの密偵を使って様子を報告させていた。
その密偵からの報告もまた、シャーリーがする側としての証拠を書いてあったが、“口だけの証拠であり、不十分”と締め括られていた。
「こうなれば……2人に相談するしかないな…」
と、俺は2人が居るであろう場所へと向かった。
******
「ブロンディオ様」
「ん?」
目的地へと向かう途中で声を掛けられ、振り向くと
「シャーリー?」
「お久し振りです」
本当に久し振りに見たシャーリーは、どことなく疲れているように見える。
「あの……ブロンディオ様も噂を………」
「噂?あぁ……」
噂に関して、姉のナターシャにでも呼ばれて登城して来たのかもしれない。ならば、一緒に行くのも良いのかもしれない。ナターシャがシャーリーの事を良く思っていない可能性もあるから、先にシャーリーから話を聞いておいた方が良いだろう。
「シャーリー、何か、俺に言っておく事はない?」
「──っ!」
「?」
俺の問い掛けに、表情を凍らせたのは一瞬だった。その次には、薄っすら微笑みを浮かべて俺としっかりと視線を合わせた。
「いえ。何も……ブロンディオ様に言っておく事は…何もありません。私は、これから邸に戻るところです。少しでも、お話ができて良かったです。失礼します」
「そうか……では、また……」
シャーリーは頭を軽く下げて礼をした後、見送る俺を振り返る事なくその場から去って行った。傍から見ても婚約しているようには見えないだろうが、それも仕方無い事だ。それに、今はすべき事があるから─と、俺も歩みを進めた。
******
「ようやく来たか……」
「“ようやく”……ですか?」
俺が相談しようとやって来たのは、王太子の執務室。そこには、一緒に公務をしている王太子妃も居る。
俺が来る事を予想していたのか、部屋に入るなり掛けられた言葉がソレだった。
「シャーリーの事で来たんだろう?いつ来るのかと待っていたが…遅かったな。で?シャーリーはどうしているんだ?」
「……」
ナターシャが軽く俺を睨んでいる。
「どうやら、俺の婚約者は“悪女”なんだそうだ」
「は?」
「……」
笑顔のまま固まるリュシアンと、更に俺を睨むナターシャ。
いや、勿論、俺も噂や口だけの証言を信じている訳ではない。それに、さっきのシャーリー本人の態度も気になっている。
「だから───」
「ネイサン、暫くの間、私の視界に入らないで」
「え?」
「ネイサン……お前はもっと、他人に関心を持つべきだ」
「え?えーっ!?」
何故か、ナターシャは俺を睨みつけたまま部屋から出て行き、リュシアンからは呆れられた上にため息を吐かれた。
「いや、だから──」
「丁度公務も落ち着いていて時間があるから、ネイサンにも有意義な時間をプレゼントしよう」
「え?」
目を細めて口角を上げて笑うリュシアンは、いつもとんでもない事をする時の顔だ。今も、それなりの圧のある魔法陣を俺の足下に展開させている。
「ナターシャの機嫌が悪くなったのは、ネイサンのせいだからね?お前なら大丈夫だろうと思ったんだけど……ちゃんと、彼女を見て知る事からだね……」
「何を────っ!?」
魔法陣が展開すると同時に体に激痛が走った。
❋❋❋❋❋❋❋❋❋❋
❋明けましておめでとうございます❋
( *´꒳`ฅฅ゙パチパチパチ♪
新年早々読んでいただき、ありがとうございます!
(,,ᴗ ̫ᴗ,,)ꕤ*.゚
「リンジーの運動着が捨てられていたのは、3年生の教室がある西棟の裏庭だった」
「リンジーが大怪我をした場所から、お義姉様に似た人が走って行くのを見ました」
と証言したのはデライラだった。走り去って行く後ろ姿を見たそうで、それはホワイトブロンドの髪の女生徒だったそうだ。ホワイトブロンド色の髪は、比較的珍しい色で、在学生ではシャーリーを含めて10人で、女生徒となれば3人だけだった。勿論、10人全員がリンジーに何もしていないと否定した。
ただ、リンジー嬢が大怪我をした時にアリバイがなかったのが、女生徒ではシャーリーだけだった。
『2人きりで会っていたシャーリー様とルーク殿下を、時々裏庭などで見かけました』
『シャーリー様は、ルーク殿下に気があったのでは?』
『子爵令嬢のリンジー嬢に取られるのが腹立たしかったのでは?』
それからは、シャーリーに対しての悪評が一気に広まった。
俺とシャーリーの婚約は公にはされていない。
『シャーリーが学生のうちは、穏やかな学生生活が送れるように、婚約は伏せておこう』
と、リュシアンに言われたからだ。
結婚相手としては優良株な俺が婚約者だ─となれば、それこそ妬みや、最悪シャーリーを丸め込もうとする者が現れる可能性があったからだ。
それが、まさか、シャーリーがする側になるとは思わなかった─いや、まだシャーリーがそうだと決まった訳ではない。
シャーリー=カシリスト
落ち着いていると言うより、物静かと言った方が良いのか?その彼女が、公にはしていないとは言え、婚約者が居るのにも関わらず、ルークに恋心を抱くだろうか?抱いたとして、こそこそと苛めたりするだろうか?
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その密偵からの報告もまた、シャーリーがする側としての証拠を書いてあったが、“口だけの証拠であり、不十分”と締め括られていた。
「こうなれば……2人に相談するしかないな…」
と、俺は2人が居るであろう場所へと向かった。
******
「ブロンディオ様」
「ん?」
目的地へと向かう途中で声を掛けられ、振り向くと
「シャーリー?」
「お久し振りです」
本当に久し振りに見たシャーリーは、どことなく疲れているように見える。
「あの……ブロンディオ様も噂を………」
「噂?あぁ……」
噂に関して、姉のナターシャにでも呼ばれて登城して来たのかもしれない。ならば、一緒に行くのも良いのかもしれない。ナターシャがシャーリーの事を良く思っていない可能性もあるから、先にシャーリーから話を聞いておいた方が良いだろう。
「シャーリー、何か、俺に言っておく事はない?」
「──っ!」
「?」
俺の問い掛けに、表情を凍らせたのは一瞬だった。その次には、薄っすら微笑みを浮かべて俺としっかりと視線を合わせた。
「いえ。何も……ブロンディオ様に言っておく事は…何もありません。私は、これから邸に戻るところです。少しでも、お話ができて良かったです。失礼します」
「そうか……では、また……」
シャーリーは頭を軽く下げて礼をした後、見送る俺を振り返る事なくその場から去って行った。傍から見ても婚約しているようには見えないだろうが、それも仕方無い事だ。それに、今はすべき事があるから─と、俺も歩みを進めた。
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「ようやく来たか……」
「“ようやく”……ですか?」
俺が相談しようとやって来たのは、王太子の執務室。そこには、一緒に公務をしている王太子妃も居る。
俺が来る事を予想していたのか、部屋に入るなり掛けられた言葉がソレだった。
「シャーリーの事で来たんだろう?いつ来るのかと待っていたが…遅かったな。で?シャーリーはどうしているんだ?」
「……」
ナターシャが軽く俺を睨んでいる。
「どうやら、俺の婚約者は“悪女”なんだそうだ」
「は?」
「……」
笑顔のまま固まるリュシアンと、更に俺を睨むナターシャ。
いや、勿論、俺も噂や口だけの証言を信じている訳ではない。それに、さっきのシャーリー本人の態度も気になっている。
「だから───」
「ネイサン、暫くの間、私の視界に入らないで」
「え?」
「ネイサン……お前はもっと、他人に関心を持つべきだ」
「え?えーっ!?」
何故か、ナターシャは俺を睨みつけたまま部屋から出て行き、リュシアンからは呆れられた上にため息を吐かれた。
「いや、だから──」
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目を細めて口角を上げて笑うリュシアンは、いつもとんでもない事をする時の顔だ。今も、それなりの圧のある魔法陣を俺の足下に展開させている。
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