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6 2日目
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「まさか、加工食品がお気に入りとは…」
「私としては、虫を食べさせなくて良かったけど」
バタバタと始まったヤモリ生活2日目─
昨日の(人間としての)朝食以降、初めての(ヤモリとしての)食事迄が、これまた大変だった。
「お前は栄養が足りてないから」とマルクが嬉しそうに持って来たのは昆虫だった。
『ギュッ(要らない)……………』
プイッと視線を反らしても、餌を目の前に持って来るマルク。そんなやり取りを繰り返していると、その様子を見ていたシャーリーが少しだけ部屋から出て行き、戻って来たと思えば、何枚かのハムを乗せた皿を持っていた。そのハムを小さく切ってから、それを俺の目の前に差し出した。
「ハムなら食べれる?」
「シャーリー様、ハムは──」
『キュッ(喜んで!)』
「食べるのか!」
「ふふっ、良かった」
見た目はヤモリだが実際は人間だから、昆虫なんて食べれないが、ハムなら食べられる。しかも、塩分を抑える為に湯がいてくれているようだ。塩分を取り過ぎたところで、この姿は1週間限定だから、問題は無い──と思う。
「このレオパに名前を付けませんか?ちなみに、この子はオスです」
「名前……オス……“ノクス”?」
「あ、良いですね!黒色のこの子にピッタリですね」
ーノクスは、夜を表す言葉だったか?ー
「ノクス、これからよろしくね」
『キュー』
「よく鳴くレオパですね。人間馴れしてる感じだし…ひょっとしたら、何処かで飼われているのかもしれませんね」
「んー…だとしたら、珍しい色の子みたいだから、探しているかもしれないわね。探している人がいないかどうか、確認してくれる?」
「分かりました」
探している人なんて居ないだろう。寧ろ、笑っている奴なら知っているが。
「お嬢様、食事をお持ちしました」
「ミシェル、ありがとう」
ー昼食も自室で食べるのか?ー
貴族の邸には食堂があって、王城勤めの主人が同席する事は難しかったりはするが、基本は家族揃って食堂で食事をする。でも、昨日の夜も今朝も、今からの昼食も、シャーリーは自室で食事をしている。
ー1週間の謹慎処分のせいか?ー
侯爵夫人からシャーリーに下されたのは、謹慎処分だった。俺が昨日、マルクに掴まれて部屋を出た後、夫人とシャーリーとの間でどんな話をしたのかは分からないが、夫人が学園での噂話が本当だと判断したと言うか事だろう。シャーリーもシャーリーで、反抗する事なくその処罰を受け入れた─と言う事は、事実だと認めたと言う事になる。
ーでも………ー
「お嬢様、本当に旦那様に直接お話をしなくても良いんですか?このまま、奥様やデライラお嬢様の思惑通りで良いんですか?」
「お父様は私の事なんて気にも留めていないし、お義母様が口にした事が全てなのよ」
「せめて、再調査でも………」
ふるふると首を振ったシャーリーは、それ以上、その話をする事はなかった。
「基本、レオパは夜行性なので、夜間に物音がしたりする可能性もあります。それでは、失礼致します」
「おやすみなさいませ」
と言うと、マルクとミシェルは部屋から下がって行った。今日、この部屋に来たのは侍女のミシェルと騎士のマルクだけだった。シャーリーは朝も早くに起きたせいか、ミシェルが来る前には1人で着替えを済ませていた。勿論、着替えるところは見ていない。それに、ティータイムも無かった─のは、謹慎中だからか?
「夜行性と言う事は、部屋も明るくない方が良いのかなぁ?」
そう言って、シャーリーは部屋の明かりを消してから、窓のカーテンを開けた。
「月の光がきれい」
シャーリーのホワイトブロンドの髪に、月の光が反射していて綺麗だなと思う。
「ノクスの色も、とても綺麗だわ……ブロンディオ様と同じ色ね………」
ブロンディオ様──
ここでようやく気が付いた。俺の婚約者であるシャーリーに、名前ですら呼ばれていない事に。そう言えば、王城で偶然会った時もそうだった。それ程の距離があるのか、手紙を書いても返事が無かったのだから、俺の事が嫌いだと言う可能性もある。
「ん?よく見たら、目も黒色だと思ったけど……光が反射すると紺碧色にも見えるのね。本当に、ブロンディオ様みたいな色合いね」
ー俺の色を覚えているのか?ー
会った回数も多くはないし、ここ数年は会っていなかった。一緒にお茶会をした時も、殆ど目が合う事もなかったのに。
「それじゃあ、私は寝るわ。おやすみノクス」
『キュー(おやすみ)』
なんの躊躇いもなく、ヤモリな俺を助けてくれたシャーリー。今日1日物静かに過ごしたシャーリー。もともと信じてはいなかったが、学園での噂話が一層疑うものになった。なら、デライラの証言は何だったのか?身内を貶めて醜聞を広めたところで、デライラやカシリスト家にはデメリットしかない。ヤモリになっていなければ、すぐに調べる事ができるのに──。
ーリュシアン、覚えてろよー
夜行性らしいヤモリだそうだが、俺はそのまま眠りに就いた。
「私としては、虫を食べさせなくて良かったけど」
バタバタと始まったヤモリ生活2日目─
昨日の(人間としての)朝食以降、初めての(ヤモリとしての)食事迄が、これまた大変だった。
「お前は栄養が足りてないから」とマルクが嬉しそうに持って来たのは昆虫だった。
『ギュッ(要らない)……………』
プイッと視線を反らしても、餌を目の前に持って来るマルク。そんなやり取りを繰り返していると、その様子を見ていたシャーリーが少しだけ部屋から出て行き、戻って来たと思えば、何枚かのハムを乗せた皿を持っていた。そのハムを小さく切ってから、それを俺の目の前に差し出した。
「ハムなら食べれる?」
「シャーリー様、ハムは──」
『キュッ(喜んで!)』
「食べるのか!」
「ふふっ、良かった」
見た目はヤモリだが実際は人間だから、昆虫なんて食べれないが、ハムなら食べられる。しかも、塩分を抑える為に湯がいてくれているようだ。塩分を取り過ぎたところで、この姿は1週間限定だから、問題は無い──と思う。
「このレオパに名前を付けませんか?ちなみに、この子はオスです」
「名前……オス……“ノクス”?」
「あ、良いですね!黒色のこの子にピッタリですね」
ーノクスは、夜を表す言葉だったか?ー
「ノクス、これからよろしくね」
『キュー』
「よく鳴くレオパですね。人間馴れしてる感じだし…ひょっとしたら、何処かで飼われているのかもしれませんね」
「んー…だとしたら、珍しい色の子みたいだから、探しているかもしれないわね。探している人がいないかどうか、確認してくれる?」
「分かりました」
探している人なんて居ないだろう。寧ろ、笑っている奴なら知っているが。
「お嬢様、食事をお持ちしました」
「ミシェル、ありがとう」
ー昼食も自室で食べるのか?ー
貴族の邸には食堂があって、王城勤めの主人が同席する事は難しかったりはするが、基本は家族揃って食堂で食事をする。でも、昨日の夜も今朝も、今からの昼食も、シャーリーは自室で食事をしている。
ー1週間の謹慎処分のせいか?ー
侯爵夫人からシャーリーに下されたのは、謹慎処分だった。俺が昨日、マルクに掴まれて部屋を出た後、夫人とシャーリーとの間でどんな話をしたのかは分からないが、夫人が学園での噂話が本当だと判断したと言うか事だろう。シャーリーもシャーリーで、反抗する事なくその処罰を受け入れた─と言う事は、事実だと認めたと言う事になる。
ーでも………ー
「お嬢様、本当に旦那様に直接お話をしなくても良いんですか?このまま、奥様やデライラお嬢様の思惑通りで良いんですか?」
「お父様は私の事なんて気にも留めていないし、お義母様が口にした事が全てなのよ」
「せめて、再調査でも………」
ふるふると首を振ったシャーリーは、それ以上、その話をする事はなかった。
「基本、レオパは夜行性なので、夜間に物音がしたりする可能性もあります。それでは、失礼致します」
「おやすみなさいませ」
と言うと、マルクとミシェルは部屋から下がって行った。今日、この部屋に来たのは侍女のミシェルと騎士のマルクだけだった。シャーリーは朝も早くに起きたせいか、ミシェルが来る前には1人で着替えを済ませていた。勿論、着替えるところは見ていない。それに、ティータイムも無かった─のは、謹慎中だからか?
「夜行性と言う事は、部屋も明るくない方が良いのかなぁ?」
そう言って、シャーリーは部屋の明かりを消してから、窓のカーテンを開けた。
「月の光がきれい」
シャーリーのホワイトブロンドの髪に、月の光が反射していて綺麗だなと思う。
「ノクスの色も、とても綺麗だわ……ブロンディオ様と同じ色ね………」
ブロンディオ様──
ここでようやく気が付いた。俺の婚約者であるシャーリーに、名前ですら呼ばれていない事に。そう言えば、王城で偶然会った時もそうだった。それ程の距離があるのか、手紙を書いても返事が無かったのだから、俺の事が嫌いだと言う可能性もある。
「ん?よく見たら、目も黒色だと思ったけど……光が反射すると紺碧色にも見えるのね。本当に、ブロンディオ様みたいな色合いね」
ー俺の色を覚えているのか?ー
会った回数も多くはないし、ここ数年は会っていなかった。一緒にお茶会をした時も、殆ど目が合う事もなかったのに。
「それじゃあ、私は寝るわ。おやすみノクス」
『キュー(おやすみ)』
なんの躊躇いもなく、ヤモリな俺を助けてくれたシャーリー。今日1日物静かに過ごしたシャーリー。もともと信じてはいなかったが、学園での噂話が一層疑うものになった。なら、デライラの証言は何だったのか?身内を貶めて醜聞を広めたところで、デライラやカシリスト家にはデメリットしかない。ヤモリになっていなければ、すぐに調べる事ができるのに──。
ーリュシアン、覚えてろよー
夜行性らしいヤモリだそうだが、俺はそのまま眠りに就いた。
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