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「起きて下さい。ブロンディオさま!」
『ギュッ!?』
ー何故俺の名前を!?ー
「本当に、ブロンディオ様なんですか?」
『…………ギュウ………』
コクリと頷くと、ミシェルが大きくため息を吐いた。
「まさか、本当にブロンディオ様だとは……王太子殿下とナターシャ様から手紙が来たんです。“黒色のヤモリはネイサン=ブロンディオだ”と。あぁ、この事はお嬢様─シャーリー様はご存知ありせん。知っているのは私だけです。それと、言葉を理解できる魔道具もいただきました」
と言って、ミシェルがネックレスを取り出した。そのネックレスには黒色の魔石がはめ込まれていて、そのネックレスを身に着けていると、ヤモリの俺の言っている事が分かるようになっているそうだ。
『なら、俺の言っている事が分かるのか?』
「あー…本当に……ブロンディオ様なんですね……」
そこでようやく“ヤモリ=ネイサン=ブロンディオ”と納得したようだ。
「王太子殿下とナターシャ様から、“ブロンディオ様の手助けをして欲しい”と頼まれたので、不本意ながら、手助けさせていただきます」
ー辛辣ではないか?ー
そこまで嫌われるような事をした───覚えはないが、思い当たる事はある。
『あー…取り敢えず、この3日で気になった事を訊いても良いかな?』
「答えられる範囲でお答えさせていただきます」
先ず分かった事は、シャーリーに付いている侍女は、やはりミシェルだけだと言う事。
侍女長と、ミシェルと他3人の使用人は現侯爵の名で契約を交わしているが、執事を含む他の使用人達は、現侯爵夫人の名で契約を交わしている事。
となれば、この邸の殆どの使用人は侯爵夫人を優先的に対応するだろうから、自然とシャーリーよりもデライラを優先するようになる。
『シャーリーが侯爵家の嫡子と言う事を、理解していないのか?』
侯爵が、シャーリーが嫡子だと認めているのだから、その次期侯爵を蔑ろにするのは自分の為にすらならない。
「旦那様が滅多に邸に帰って来る事がないので、奥様とデライラ様の好き放題状態なんです。それが…今回のデタラメな噂に迄……お嬢様─シャーリー様は誰も苛めてなどしていません。デライラ様の虚言です。それなのに、皆がデライラ様の言葉を信じるんです」
『俺も信じていない』
「!だったら何故、今迄シャーリー様を顧みていただけなかったのですか!?」
『顧みなかった訳ではない。いくら手紙を送っても返事がなければ、何もできないだろう?』
「手紙………ですか?」
ミシェルが眉間にギュッと皺を寄せて、俺に視線を向ける。
『手紙を送っても返事はないし、誕生日にプレゼントを贈っても反応無し。催促する訳ではないが、俺の誕生日にも何も贈られて来る事が無かった。そうなれば、俺はシャーリーに嫌われているのかもしれない─と思ってしまってもおかしくないだろう?』
本当に嫌われているかも?と思っていた。デライラがあのブレスレットを着けているのを見る迄は。
「ブロンディオ様からシャーリー様に手紙……贈り物なんて……今迄届けられた事はありません。まさか……」
『そのまさかだろうね。俺がシャーリーに贈った筈のブレスレットを、デライラが着けているのだから』
「ブレスレット……あ!デライラ様には似合わない色だと思っていたんです。あれは、シャーリー様とブロンディオ様の色だったんですね」
2人の色だと言われて少し恥ずかしいが、どうやら、ミシェルも気付いたようだ。
「あの女……シメようかな?」
『駄目だろう……』
「ちっ……」
ーその舌打ちは、聞かなかった事にしておこうー
「これで、ブロンディオ様は良かったのでしょうけど、口には出されていませんけど、シャーリー様はブロンディオ様には嫌われていると思っていますよ?」
『ギュウー…』
それが問題だ。今すぐそうではないと、言いたいけどヤモリの俺では言葉が通じないし、すぐに信じてもらえるかも分からない。ミシェルから伝えてもらう─のは論外だ。自分の口から、自分の言葉で伝えなければ意味がない。
「後4日。その間に、手紙が残されている可能性は低いですけど、物であればブレスレット以外にもデライラがまだ持っている可能性があるので、探ってみるのも良いですね。後は…噂に関しても、何か嘘だと言う証拠が見付かると良いんですけど……」
『ミシェル、一つ頼みたい事があるんだか……』
「シャーリー様が有利になる事に関してであれば、可能な限りききます」
『何とも頼もしい侍女だな…ははっ……』
おそらく、ミシェルはシャーリーを護る為に付けられた侍女だろう。ミシェル自身も、侯爵夫人よりシャーリーを優先している。
『それじゃあ、俺が言う事を手紙に書いて、届けて欲しい。届け先は───』
こうして、俺はミシェルの助けを借りながら、侯爵邸やデライラの周辺を探る事にした。
『ギュッ!?』
ー何故俺の名前を!?ー
「本当に、ブロンディオ様なんですか?」
『…………ギュウ………』
コクリと頷くと、ミシェルが大きくため息を吐いた。
「まさか、本当にブロンディオ様だとは……王太子殿下とナターシャ様から手紙が来たんです。“黒色のヤモリはネイサン=ブロンディオだ”と。あぁ、この事はお嬢様─シャーリー様はご存知ありせん。知っているのは私だけです。それと、言葉を理解できる魔道具もいただきました」
と言って、ミシェルがネックレスを取り出した。そのネックレスには黒色の魔石がはめ込まれていて、そのネックレスを身に着けていると、ヤモリの俺の言っている事が分かるようになっているそうだ。
『なら、俺の言っている事が分かるのか?』
「あー…本当に……ブロンディオ様なんですね……」
そこでようやく“ヤモリ=ネイサン=ブロンディオ”と納得したようだ。
「王太子殿下とナターシャ様から、“ブロンディオ様の手助けをして欲しい”と頼まれたので、不本意ながら、手助けさせていただきます」
ー辛辣ではないか?ー
そこまで嫌われるような事をした───覚えはないが、思い当たる事はある。
『あー…取り敢えず、この3日で気になった事を訊いても良いかな?』
「答えられる範囲でお答えさせていただきます」
先ず分かった事は、シャーリーに付いている侍女は、やはりミシェルだけだと言う事。
侍女長と、ミシェルと他3人の使用人は現侯爵の名で契約を交わしているが、執事を含む他の使用人達は、現侯爵夫人の名で契約を交わしている事。
となれば、この邸の殆どの使用人は侯爵夫人を優先的に対応するだろうから、自然とシャーリーよりもデライラを優先するようになる。
『シャーリーが侯爵家の嫡子と言う事を、理解していないのか?』
侯爵が、シャーリーが嫡子だと認めているのだから、その次期侯爵を蔑ろにするのは自分の為にすらならない。
「旦那様が滅多に邸に帰って来る事がないので、奥様とデライラ様の好き放題状態なんです。それが…今回のデタラメな噂に迄……お嬢様─シャーリー様は誰も苛めてなどしていません。デライラ様の虚言です。それなのに、皆がデライラ様の言葉を信じるんです」
『俺も信じていない』
「!だったら何故、今迄シャーリー様を顧みていただけなかったのですか!?」
『顧みなかった訳ではない。いくら手紙を送っても返事がなければ、何もできないだろう?』
「手紙………ですか?」
ミシェルが眉間にギュッと皺を寄せて、俺に視線を向ける。
『手紙を送っても返事はないし、誕生日にプレゼントを贈っても反応無し。催促する訳ではないが、俺の誕生日にも何も贈られて来る事が無かった。そうなれば、俺はシャーリーに嫌われているのかもしれない─と思ってしまってもおかしくないだろう?』
本当に嫌われているかも?と思っていた。デライラがあのブレスレットを着けているのを見る迄は。
「ブロンディオ様からシャーリー様に手紙……贈り物なんて……今迄届けられた事はありません。まさか……」
『そのまさかだろうね。俺がシャーリーに贈った筈のブレスレットを、デライラが着けているのだから』
「ブレスレット……あ!デライラ様には似合わない色だと思っていたんです。あれは、シャーリー様とブロンディオ様の色だったんですね」
2人の色だと言われて少し恥ずかしいが、どうやら、ミシェルも気付いたようだ。
「あの女……シメようかな?」
『駄目だろう……』
「ちっ……」
ーその舌打ちは、聞かなかった事にしておこうー
「これで、ブロンディオ様は良かったのでしょうけど、口には出されていませんけど、シャーリー様はブロンディオ様には嫌われていると思っていますよ?」
『ギュウー…』
それが問題だ。今すぐそうではないと、言いたいけどヤモリの俺では言葉が通じないし、すぐに信じてもらえるかも分からない。ミシェルから伝えてもらう─のは論外だ。自分の口から、自分の言葉で伝えなければ意味がない。
「後4日。その間に、手紙が残されている可能性は低いですけど、物であればブレスレット以外にもデライラがまだ持っている可能性があるので、探ってみるのも良いですね。後は…噂に関しても、何か嘘だと言う証拠が見付かると良いんですけど……」
『ミシェル、一つ頼みたい事があるんだか……』
「シャーリー様が有利になる事に関してであれば、可能な限りききます」
『何とも頼もしい侍女だな…ははっ……』
おそらく、ミシェルはシャーリーを護る為に付けられた侍女だろう。ミシェル自身も、侯爵夫人よりシャーリーを優先している。
『それじゃあ、俺が言う事を手紙に書いて、届けて欲しい。届け先は───』
こうして、俺はミシェルの助けを借りながら、侯爵邸やデライラの周辺を探る事にした。
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