62 / 75
ベル=ジリルアン
しおりを挟む
ミュズエル王国の女性外交官は、今回は二度目の来国との事だった。
『アラバスティア王国は、今の国王陛下になってから、女性も働きやすくなったと聞いて、凄く興味があって、ずっと志願していたんです』
どうやら、この国に来る為に外交官になり、慣例となっているこの使節メンバーに入る為に毎回志願していて、前回、ようやくメンバーに選ばれ、今回二度目となるメンバー入りを果たしたそうだ。志願する人数は少なくはなく、それなりの倍率を経て選ばれているらしい。
と言う事は、この女性外交官─ベル=ジリルアン─は、優秀な外交官の1人と言う事なんだろう。
ミュズエル王国の侯爵令嬢で、外交官である自分に誇りを持ち、今の所、婚約者は居ない。侯爵令嬢と言っても、上に兄と姉が2人ずつ居て、比較的自由に育てられたらしく、結婚に至ってもある程度は自由にして良いと言われているそうだ。
暫くの間、アシェルハイド殿下を含めて6人でお喋りをした後、『同じ女性の外交官同士で、ゆっくり話をすると良いよ』と、デパレイト様は言い、4人はガゼボから去って行った。
私もこれからの事を考えて、女性外交官目線の話を聞いてみたかったから丁度良かった─と思い、口を開きかけた時
「ねぇ、あなた、魔力無しって本当なの?」
「え?あ…本当…ですけど?」
「ふーん……貴族で魔力無しで、外交官目指してるってさぁ……何?家から追い出された感じ?『魔力無しは要らない』とか言われて。そうでしょう?」
「…………」
さっきまでの謙虚?な態度は何処へやら─だ。
ーこの人も、リンディタイプかー
軽く溜め息を吐く。
「え?何?何で溜め息?あぁ、図星だったのね。あなた、外交の仕事、舐めてない?今は、若いからチヤホヤしてくれるだけだから。貴族令嬢だかなんだか知らないけど、どうせ親のコネ?で無理矢理入ったんでしょう?それで、アシェルハイド様に近付いたりしているんでしょう?でもね、それ、無駄だから。アシェルハイド様が、あなたみたいな魔力無しを選ぶ事は無いんだから。それに…地味だし。アシェルハイド様には、しっかり自立していて、見目も良い私が相応しいと思わない?」
ふふっ─と嗤いながら、つらつらと私を貶める言葉を吐き続けるベルとか言う女性外交官。私が反論しない事を良い事に、意気揚々と吐き続けている。
確かに、殿下と並び立った2人は、絵になる様なお似合いな2人だった。でも、この目の前に居るベルとか言う女性外交官は………
アシェルハイド殿下には不釣り合いだ。
「挨拶をされていませんので、私も“あなた”と呼ばせていただきますが──」
「はい?」
キッ─と、目を釣り上げて睨んで来るけど気にしない。
「あなたは、今、ミュズエル王国を代表してこの国に来ていると言う事を理解していますか?あなたの発言は、例え、職務時間外であっても、外交官として来ている限りは、その国の言葉だと捉えられます。ミュズエル王国は、“魔力無し”を下卑して良い対象としているんですね?我が国、アラバスティアでは違います。“魔力無し”を下卑したり虐げたりすると、罰せられます。それを……ご存知ではありませんでしたか?失礼。外交官であるなら、ご存知ですよね?その上での発言ですよね?」
年下の、しかもまだ学生の魔力無しに言い返された事が、余程気に入らないのだろう。目を更に釣り上げ、フルフルと怒りで身体が震えている。
睨まれても、全く怖くはない。本当に怖いのは“無関心”だから。
「生意気な子ね!あなたこそ、賓客の私にそんな事を言って、ただで済むと思っているの!?無礼だわ!きっと、アシェルハイド様なら、私の言う事を───」
「──聞く訳が無いだろう」
ふいに後ろから声が掛けられ、驚き後ろを振り返ると、そこには殿下とデパレイト様と長官が居た。
「え?」
ベルとか言う女性外交官─もう“ベル”呼びで良いよね!─は、一瞬驚いた顔をした後、今度は悲しげな顔をしながら、殿下の側へと駆け寄る。
「アシェルハイド様、彼女が私に──」
「無礼を働いたのは、エヴィではなく、ベル嬢……お前だろう?何を言っても無駄だ。私達はずっと、2人の会話を聞いていたからな。それと、私はお前に名前呼びを許した事は無い筈だが?」
「─っ!申しわけありません!」
頭を下げて謝罪をするベルと殿下の間に、デパレイト様が割り込み、ベルを見据えたまま口を開いた。
「ベル、君には、これからの外交官としての働きに期待をしていたが…残念だ」
「それは…どう言う……」
どうやら、このベルは、外交官の務めをきちんと理解しているか、上からの目が無くとも、きちんと対応できるか、その相手の国を理解しているか─と、試されていたようだ。
ベルは───“アウト”だ。
『アラバスティア王国は、今の国王陛下になってから、女性も働きやすくなったと聞いて、凄く興味があって、ずっと志願していたんです』
どうやら、この国に来る為に外交官になり、慣例となっているこの使節メンバーに入る為に毎回志願していて、前回、ようやくメンバーに選ばれ、今回二度目となるメンバー入りを果たしたそうだ。志願する人数は少なくはなく、それなりの倍率を経て選ばれているらしい。
と言う事は、この女性外交官─ベル=ジリルアン─は、優秀な外交官の1人と言う事なんだろう。
ミュズエル王国の侯爵令嬢で、外交官である自分に誇りを持ち、今の所、婚約者は居ない。侯爵令嬢と言っても、上に兄と姉が2人ずつ居て、比較的自由に育てられたらしく、結婚に至ってもある程度は自由にして良いと言われているそうだ。
暫くの間、アシェルハイド殿下を含めて6人でお喋りをした後、『同じ女性の外交官同士で、ゆっくり話をすると良いよ』と、デパレイト様は言い、4人はガゼボから去って行った。
私もこれからの事を考えて、女性外交官目線の話を聞いてみたかったから丁度良かった─と思い、口を開きかけた時
「ねぇ、あなた、魔力無しって本当なの?」
「え?あ…本当…ですけど?」
「ふーん……貴族で魔力無しで、外交官目指してるってさぁ……何?家から追い出された感じ?『魔力無しは要らない』とか言われて。そうでしょう?」
「…………」
さっきまでの謙虚?な態度は何処へやら─だ。
ーこの人も、リンディタイプかー
軽く溜め息を吐く。
「え?何?何で溜め息?あぁ、図星だったのね。あなた、外交の仕事、舐めてない?今は、若いからチヤホヤしてくれるだけだから。貴族令嬢だかなんだか知らないけど、どうせ親のコネ?で無理矢理入ったんでしょう?それで、アシェルハイド様に近付いたりしているんでしょう?でもね、それ、無駄だから。アシェルハイド様が、あなたみたいな魔力無しを選ぶ事は無いんだから。それに…地味だし。アシェルハイド様には、しっかり自立していて、見目も良い私が相応しいと思わない?」
ふふっ─と嗤いながら、つらつらと私を貶める言葉を吐き続けるベルとか言う女性外交官。私が反論しない事を良い事に、意気揚々と吐き続けている。
確かに、殿下と並び立った2人は、絵になる様なお似合いな2人だった。でも、この目の前に居るベルとか言う女性外交官は………
アシェルハイド殿下には不釣り合いだ。
「挨拶をされていませんので、私も“あなた”と呼ばせていただきますが──」
「はい?」
キッ─と、目を釣り上げて睨んで来るけど気にしない。
「あなたは、今、ミュズエル王国を代表してこの国に来ていると言う事を理解していますか?あなたの発言は、例え、職務時間外であっても、外交官として来ている限りは、その国の言葉だと捉えられます。ミュズエル王国は、“魔力無し”を下卑して良い対象としているんですね?我が国、アラバスティアでは違います。“魔力無し”を下卑したり虐げたりすると、罰せられます。それを……ご存知ではありませんでしたか?失礼。外交官であるなら、ご存知ですよね?その上での発言ですよね?」
年下の、しかもまだ学生の魔力無しに言い返された事が、余程気に入らないのだろう。目を更に釣り上げ、フルフルと怒りで身体が震えている。
睨まれても、全く怖くはない。本当に怖いのは“無関心”だから。
「生意気な子ね!あなたこそ、賓客の私にそんな事を言って、ただで済むと思っているの!?無礼だわ!きっと、アシェルハイド様なら、私の言う事を───」
「──聞く訳が無いだろう」
ふいに後ろから声が掛けられ、驚き後ろを振り返ると、そこには殿下とデパレイト様と長官が居た。
「え?」
ベルとか言う女性外交官─もう“ベル”呼びで良いよね!─は、一瞬驚いた顔をした後、今度は悲しげな顔をしながら、殿下の側へと駆け寄る。
「アシェルハイド様、彼女が私に──」
「無礼を働いたのは、エヴィではなく、ベル嬢……お前だろう?何を言っても無駄だ。私達はずっと、2人の会話を聞いていたからな。それと、私はお前に名前呼びを許した事は無い筈だが?」
「─っ!申しわけありません!」
頭を下げて謝罪をするベルと殿下の間に、デパレイト様が割り込み、ベルを見据えたまま口を開いた。
「ベル、君には、これからの外交官としての働きに期待をしていたが…残念だ」
「それは…どう言う……」
どうやら、このベルは、外交官の務めをきちんと理解しているか、上からの目が無くとも、きちんと対応できるか、その相手の国を理解しているか─と、試されていたようだ。
ベルは───“アウト”だ。
131
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。
バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。
そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。
ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。
言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。
この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。
3/4 タイトルを変更しました。
旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」
3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です
※小説家になろう様にも掲載しています。
愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する
紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。
私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。
その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。
完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので
ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。
しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。
異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。
異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。
公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。
『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。
更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。
だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。
ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。
モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて――
奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。
異世界、魔法のある世界です。
色々ゆるゆるです。
皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。
この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。
そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。
ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。
なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。
※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで
あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。
怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。
……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。
***
『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる