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変わった者と変わらない者
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「────は?メルヴィルと……話してない?」
「えぇ。」
「ん?最近はメルヴィルも忙しいのか?」
「どうなのかしら?まぁ、生徒会長も務めているから、忙しいのかもしれないわね。」
「いやいや!“かも”って何だ!?2人は幼馴染みで、婚約者候補でもあって、しかも同じクラスなんだろう?いくらでも話す時間は作れるだろう!?」
ーあぁ、エスタリオンの中では、第一王子と私は仲の良い幼馴染みのままなのねー
「エスタリオン。あのね、私と殿下は──」
「─“殿下”?」
私が殿下呼びすると、エスタリオンは更に顔を顰めた。
その顰めた顔が何だかおかしくて、少し気が緩んだせいか、今の私と第一王子の事も、全てエスタリオンに話した。
「──でね、もう名前で呼ぶのも嫌になっちゃって。だから、“殿下”って呼んでるの。」
気が付けば、第一王子も私の事を“お前”なんて呼んでいた。そんな事もあって、何だか心も疲れて──最後に名前で呼んだのはいつだったっけ?きっと、彼は気付いてもいないだろう。
「あんなにも仲が良かったのにな。何か…あったのか?」
「さぁ─私には分からない。何かあったのかもしれないけど、殿下から私に何か言われた事はないから。私が言われた事は、“笑うだけで褒められて良いな”だけよ。」
だから、私は第一王子の前では二度と笑わない事にした。向こうだって、私には笑わないのだから、お互い様だよね。
「そんな感じだから、私とグレイシーと殿下は同じクラスなんだけど、私は一切殿下とは関わっていないの。グレイシーも、私に合わせてくれてるわ。それで、もしエスタリオンも私達と同じクラスになったら、別に無理して私には合わせなくても良いからね。エスタリオンと殿下も幼馴染みだしね。私の事は気にせずに仲良くしてね。」
相手は第一王子だ。向こうから近付いて来たなら断れないだろう。
「フェリ─俺に、何かできる事はあるか?」
ハッとして、ゆっくりとエスタリオンへと視線を合わせると、そこには…やっぱり昔と変わらない優しい顔をしたエスタリオンが居る。
昔からそうだった。エスタリオンは、何に対しても無理強いしたりはしない。自分よがりな手助けはしないけど、助けてと言えば、いつでも手を差し伸べてくれた。要らない─と言っても、近くで見守ってくれていた。
“何かできる事”は──
「なら、何もしないで欲しい─。エスタリオンはエスタリオンのままでいて欲しい。」
「今は、助けは要らないって事?」
「そう言う事ね。」
ー本当に、エスタリオンは理解が早くて助かるわー
「─じゃあ、俺は俺の思うように動くだけだな。フェリ、一つだけ約束してくれ。」
「何を?」
「困った事…どうにもならなくなった時は、俺に言う事。俺を──頼る事。良いな?」
優しい顔、優しい口調で言っているのに、有無を言わせないような雰囲気を漂わせている。
「分かったわ。どうにもならなくなった時は──リオに頼らせてもらうわ。」
ニッコリ笑って懐かしい呼び名で呼べば、リオは少し目を細めた後、フワリと優しく微笑んだ。
「アナベル嬢を何とかしてくれないか?」
一通りの話が終わってお茶を飲んだ後、リオは真顔で口を開いた。
「アナベル─妹が、どうかしたの?もう、やらかしたの?」
ーやっぱりリオに手を出した?ー
「振る舞いとしては、完璧なレディかな─と思っていたけど…距離感がおかしい。やたらと俺に触れて来るんだ。何かと上目遣いで絡んで来るし……。親であるエルダイン夫人は見て見ぬふりどころか、そんな娘の行動を煽るような事を言って来るし…。」
ーリオは隣国だけど、辺境伯の嫡男で男前だから妹のお眼鏡に叶って、義母はそれを後押ししている─感じなのかしら?ー
「何とかしてくれ─と言ってもねぇ…。私が妹や義母と一緒に居る事がないから、リオを助ける事もできないわよ?申し訳無いけど、助けてくれる可能性があるのは、兄だけよ。」
きっと、私がリオの側に居る事の方が、妹の行動は悪化するだろう。
「──分かった。まぁ……後5日だけの…我慢だしな…。」
リオはそう呟いた後、少しだけニヤリと嗤った事には、私は気付かなかった。
*エスタリオン視点*
「まさか、こんな事になっているとは思わなかったなぁ。」
グレイシーとフェリシティとメルヴィルと俺は、本当に仲が良くて、毎日のように遊んでいた。
まぁ…色んな事情があって、俺は帰国せざるを得なくなったけど─。
ーそれさえなかったらー
目を瞑って、手にグッと力を入れる。
「──いや、違うな。動かなかった俺自身が駄目だったんだ。」
現状を知った今、もう諦める事は止めた。俺は俺の意思で動く。
「お前は…何がしたいんだ?まぁ…お礼は言った方が良いかもしれないな。」
緩んでしまいそうになる口元に力を入れながら、これからの事を考える。隙を見せた─作ったお前が悪い。
力を入れていた手を広げて、その手を見る。
ー必ず、俺の手で守ってみせるー
「えぇ。」
「ん?最近はメルヴィルも忙しいのか?」
「どうなのかしら?まぁ、生徒会長も務めているから、忙しいのかもしれないわね。」
「いやいや!“かも”って何だ!?2人は幼馴染みで、婚約者候補でもあって、しかも同じクラスなんだろう?いくらでも話す時間は作れるだろう!?」
ーあぁ、エスタリオンの中では、第一王子と私は仲の良い幼馴染みのままなのねー
「エスタリオン。あのね、私と殿下は──」
「─“殿下”?」
私が殿下呼びすると、エスタリオンは更に顔を顰めた。
その顰めた顔が何だかおかしくて、少し気が緩んだせいか、今の私と第一王子の事も、全てエスタリオンに話した。
「──でね、もう名前で呼ぶのも嫌になっちゃって。だから、“殿下”って呼んでるの。」
気が付けば、第一王子も私の事を“お前”なんて呼んでいた。そんな事もあって、何だか心も疲れて──最後に名前で呼んだのはいつだったっけ?きっと、彼は気付いてもいないだろう。
「あんなにも仲が良かったのにな。何か…あったのか?」
「さぁ─私には分からない。何かあったのかもしれないけど、殿下から私に何か言われた事はないから。私が言われた事は、“笑うだけで褒められて良いな”だけよ。」
だから、私は第一王子の前では二度と笑わない事にした。向こうだって、私には笑わないのだから、お互い様だよね。
「そんな感じだから、私とグレイシーと殿下は同じクラスなんだけど、私は一切殿下とは関わっていないの。グレイシーも、私に合わせてくれてるわ。それで、もしエスタリオンも私達と同じクラスになったら、別に無理して私には合わせなくても良いからね。エスタリオンと殿下も幼馴染みだしね。私の事は気にせずに仲良くしてね。」
相手は第一王子だ。向こうから近付いて来たなら断れないだろう。
「フェリ─俺に、何かできる事はあるか?」
ハッとして、ゆっくりとエスタリオンへと視線を合わせると、そこには…やっぱり昔と変わらない優しい顔をしたエスタリオンが居る。
昔からそうだった。エスタリオンは、何に対しても無理強いしたりはしない。自分よがりな手助けはしないけど、助けてと言えば、いつでも手を差し伸べてくれた。要らない─と言っても、近くで見守ってくれていた。
“何かできる事”は──
「なら、何もしないで欲しい─。エスタリオンはエスタリオンのままでいて欲しい。」
「今は、助けは要らないって事?」
「そう言う事ね。」
ー本当に、エスタリオンは理解が早くて助かるわー
「─じゃあ、俺は俺の思うように動くだけだな。フェリ、一つだけ約束してくれ。」
「何を?」
「困った事…どうにもならなくなった時は、俺に言う事。俺を──頼る事。良いな?」
優しい顔、優しい口調で言っているのに、有無を言わせないような雰囲気を漂わせている。
「分かったわ。どうにもならなくなった時は──リオに頼らせてもらうわ。」
ニッコリ笑って懐かしい呼び名で呼べば、リオは少し目を細めた後、フワリと優しく微笑んだ。
「アナベル嬢を何とかしてくれないか?」
一通りの話が終わってお茶を飲んだ後、リオは真顔で口を開いた。
「アナベル─妹が、どうかしたの?もう、やらかしたの?」
ーやっぱりリオに手を出した?ー
「振る舞いとしては、完璧なレディかな─と思っていたけど…距離感がおかしい。やたらと俺に触れて来るんだ。何かと上目遣いで絡んで来るし……。親であるエルダイン夫人は見て見ぬふりどころか、そんな娘の行動を煽るような事を言って来るし…。」
ーリオは隣国だけど、辺境伯の嫡男で男前だから妹のお眼鏡に叶って、義母はそれを後押ししている─感じなのかしら?ー
「何とかしてくれ─と言ってもねぇ…。私が妹や義母と一緒に居る事がないから、リオを助ける事もできないわよ?申し訳無いけど、助けてくれる可能性があるのは、兄だけよ。」
きっと、私がリオの側に居る事の方が、妹の行動は悪化するだろう。
「──分かった。まぁ……後5日だけの…我慢だしな…。」
リオはそう呟いた後、少しだけニヤリと嗤った事には、私は気付かなかった。
*エスタリオン視点*
「まさか、こんな事になっているとは思わなかったなぁ。」
グレイシーとフェリシティとメルヴィルと俺は、本当に仲が良くて、毎日のように遊んでいた。
まぁ…色んな事情があって、俺は帰国せざるを得なくなったけど─。
ーそれさえなかったらー
目を瞑って、手にグッと力を入れる。
「──いや、違うな。動かなかった俺自身が駄目だったんだ。」
現状を知った今、もう諦める事は止めた。俺は俺の意思で動く。
「お前は…何がしたいんだ?まぁ…お礼は言った方が良いかもしれないな。」
緩んでしまいそうになる口元に力を入れながら、これからの事を考える。隙を見せた─作ったお前が悪い。
力を入れていた手を広げて、その手を見る。
ー必ず、俺の手で守ってみせるー
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