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☆それぞれのパーティー☆
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❋パーティー時の、主人公(フェリシティ)以外のそれぞれの視点でのお話になります。番外編はちょっと…と言う方は、本編には影響は無いので、読み飛ばしていただいても大丈夫です❋
( *´꒳`*)っ
*エスタリオン*
予想通り、メルヴィルは青色の宝石でティアラを作らせていた。王妃陛下と並び、ティアラを戴いたティアリーナ嬢がホールに入って来た瞬間のメルヴィルの顔と言ったら──
ー自分がどれだけマヌケだったか、これからたっぷりと思い知ればいいー
ザワ─
少しのざわめきが起こり、そちらに視線を向けると、婚約者候補だった4人全員が入場したところだった。
4人ともが同じような格好をしている為、個々の素の美しさや可愛らしさが分かりやすいような気がする。
俺には、フェリが一番可愛く見える。
フェリを含めた、あそこに立っている令嬢達は、今、この時からフリーになる。周りに居る令息達も、あの4人にチラチラと視線を送っている。
ーフェリとダンスを踊るのは…俺だけだ。もう、他の奴になんて渡さないー
顔色の悪いメルヴィルとティアリーナ嬢のダンスが始まった瞬間、俺はフェリの方へと少しずつ距離を詰めて行く。
キョロキョロしだしたフェリの名を呼ぶと、フェリが笑顔で俺の元へとやって来る。
ーえ?めっちゃ可愛いんだけど?ー
フワリと笑って、その綺麗な薄藤色の瞳に俺が映っている。
俺の色の赤い薔薇を受け取ってくれたフェリ。
それが嬉しくて、フェリがやっぱり可愛くて、離したくなくて──そのまま3曲続けて踊ってしまった。
グレイシーとエルドが呆れた顔をしていたが……そんな事は気にしない。
ーようやく、フェリをこの腕の中に捕らえる事ができたー
*ディラン*
『メルヴィルは立太子しない。故に、お前達がこれからどうするか─考えて、決めて欲しい。出来る限りは、お前達の希望を叶えるつもりだ。』
卒業式の前日に、呼び出しを受けた側近候補者─エルドとリカルドとディラン─に、国王陛下はそう告げた。辺境地に居る為に来ていないシリル殿は…側近候補を辞退したのでは─と思う。
彼なら、もっと上を目指せるだろうに……勿体無いとも思うが、ライバルが減って良かった…と思う事にする。
そんな事を考えていると、王妃陛下が婚約者と共に入場して来た。その婚約者は──
「──ティアリーナ嬢?」
意外だった。てっきりエルダイン嬢だと思っていたから。
でも─
ーチャンスだよな?ー
ソロソロと入場しているエルダイン嬢に視線を向ける。特別綺麗ではないが、可愛らしい顔をしているのに、どことなく近付き難い彼女。私を胡散臭そうに見る。本当に面白い。
ーダンスに誘って、周りを牽制しておくかー
最悪、“公爵”を使っても良いだろう─と、足を踏み出そうとした時
「ディラン、お前はどうするか決めたのか?」
「え?」
俺の前に、ニカッと笑ったエルドがやって来た。
「え?決めた……とは?」
「これからの事だよ。」
「これから?あぁ、国王陛下に言われた事か。それなら─」
と、言い掛けてから、ハッとした。
ディランの後方で、エスタリオン=チェスターがエルダイン嬢の元へ行き、赤い薔薇を差し出していた。そして、その薔薇を、エルダイン嬢はとても嬉しそうな顔をして受け取った。
「……エルド…態となのか?」
邪魔をされたのか─と、腹立たしくなってエルドを睨みつける。
「ディランが本気なら俺だって邪魔はしなかったけど、お前は、フェリシティ嬢の事を…玩具みたいに見ているだろう?フェリシティ嬢が、グレイシーの友達だからとかじゃなくても、俺はそれが許せない。フェリシティ嬢には、本気でフェリシティ嬢を想っているエスタリオンと幸せになってもらいたいんだ。」
「……」
いつもはヘラヘラ?しているエルド。ただの脳筋ではない。私の方が上だと思っていたけど─。
エルドの怒りが分かる程、肌に触れている空気がピリピリとしている。
そうして睨み合っているうちに、エルダイン嬢とチェスター殿が踊り出した。
2人とも笑顔で、幸せそうで──
「──他人のモノを奪う趣味はないからね。」
と、肩を竦めながら両手をあげると、エルドからの威圧感も無くなった。
「ディラン。お前もそろそろ…その性格、なんとかしろよ?」
エルドは少し呆れた顔をしながら私の肩を叩いた後、婚約者であるグレイシー嬢の元へと戻って行った。
*グレイシー*
「エルド、ありがとう。」
「お礼なんていらないよ。」
エルドは、いつもの優しい笑顔だ。
私の大好きな幼馴染みのフェリシティ。お母様のソフィア様が亡くなってからのフェリシティは、本当に辛い事ばかりだった。同じ幼馴染みのメルヴィルも…本当に最低だった。
それが、エスタリオンが留学生としてやって来てから、ガラリと変わったフェリシティ。本当に、楽しそうに笑うようになった。だから、エスタリオンと2人で幸せになって欲しいと思う。
「でも、エルドのお蔭で、誰の邪魔をされる事もなく、ダンスを踊れる事になったわ。」
「でも、まさか、赤い薔薇も用意してるとは思わなかったけどね。本当に、エスタリオンは独占欲が強いな。フェリシティ嬢は…大丈夫か?」
「ふふっ。その辺、フェリシティは疎いから、大丈夫じゃないかな?」
普段はしっかりしているフェリシティだけど、恋愛云々には疎い。だから、エスタリオン位が丁度良いかもしれない。
エスタリオンに連れられて、隣国へ行ってしまうかもしれないけど…
ーフェリシティ、幸せになってねー
と、願わずにはいられない。
❋お付き合い、ありがとうございました。本編は、明日もいつも通りの時間に投稿予定です❋
(* ᵕᴗᵕ)⁾⁾⁾ ꕤ
( *´꒳`*)っ
*エスタリオン*
予想通り、メルヴィルは青色の宝石でティアラを作らせていた。王妃陛下と並び、ティアラを戴いたティアリーナ嬢がホールに入って来た瞬間のメルヴィルの顔と言ったら──
ー自分がどれだけマヌケだったか、これからたっぷりと思い知ればいいー
ザワ─
少しのざわめきが起こり、そちらに視線を向けると、婚約者候補だった4人全員が入場したところだった。
4人ともが同じような格好をしている為、個々の素の美しさや可愛らしさが分かりやすいような気がする。
俺には、フェリが一番可愛く見える。
フェリを含めた、あそこに立っている令嬢達は、今、この時からフリーになる。周りに居る令息達も、あの4人にチラチラと視線を送っている。
ーフェリとダンスを踊るのは…俺だけだ。もう、他の奴になんて渡さないー
顔色の悪いメルヴィルとティアリーナ嬢のダンスが始まった瞬間、俺はフェリの方へと少しずつ距離を詰めて行く。
キョロキョロしだしたフェリの名を呼ぶと、フェリが笑顔で俺の元へとやって来る。
ーえ?めっちゃ可愛いんだけど?ー
フワリと笑って、その綺麗な薄藤色の瞳に俺が映っている。
俺の色の赤い薔薇を受け取ってくれたフェリ。
それが嬉しくて、フェリがやっぱり可愛くて、離したくなくて──そのまま3曲続けて踊ってしまった。
グレイシーとエルドが呆れた顔をしていたが……そんな事は気にしない。
ーようやく、フェリをこの腕の中に捕らえる事ができたー
*ディラン*
『メルヴィルは立太子しない。故に、お前達がこれからどうするか─考えて、決めて欲しい。出来る限りは、お前達の希望を叶えるつもりだ。』
卒業式の前日に、呼び出しを受けた側近候補者─エルドとリカルドとディラン─に、国王陛下はそう告げた。辺境地に居る為に来ていないシリル殿は…側近候補を辞退したのでは─と思う。
彼なら、もっと上を目指せるだろうに……勿体無いとも思うが、ライバルが減って良かった…と思う事にする。
そんな事を考えていると、王妃陛下が婚約者と共に入場して来た。その婚約者は──
「──ティアリーナ嬢?」
意外だった。てっきりエルダイン嬢だと思っていたから。
でも─
ーチャンスだよな?ー
ソロソロと入場しているエルダイン嬢に視線を向ける。特別綺麗ではないが、可愛らしい顔をしているのに、どことなく近付き難い彼女。私を胡散臭そうに見る。本当に面白い。
ーダンスに誘って、周りを牽制しておくかー
最悪、“公爵”を使っても良いだろう─と、足を踏み出そうとした時
「ディラン、お前はどうするか決めたのか?」
「え?」
俺の前に、ニカッと笑ったエルドがやって来た。
「え?決めた……とは?」
「これからの事だよ。」
「これから?あぁ、国王陛下に言われた事か。それなら─」
と、言い掛けてから、ハッとした。
ディランの後方で、エスタリオン=チェスターがエルダイン嬢の元へ行き、赤い薔薇を差し出していた。そして、その薔薇を、エルダイン嬢はとても嬉しそうな顔をして受け取った。
「……エルド…態となのか?」
邪魔をされたのか─と、腹立たしくなってエルドを睨みつける。
「ディランが本気なら俺だって邪魔はしなかったけど、お前は、フェリシティ嬢の事を…玩具みたいに見ているだろう?フェリシティ嬢が、グレイシーの友達だからとかじゃなくても、俺はそれが許せない。フェリシティ嬢には、本気でフェリシティ嬢を想っているエスタリオンと幸せになってもらいたいんだ。」
「……」
いつもはヘラヘラ?しているエルド。ただの脳筋ではない。私の方が上だと思っていたけど─。
エルドの怒りが分かる程、肌に触れている空気がピリピリとしている。
そうして睨み合っているうちに、エルダイン嬢とチェスター殿が踊り出した。
2人とも笑顔で、幸せそうで──
「──他人のモノを奪う趣味はないからね。」
と、肩を竦めながら両手をあげると、エルドからの威圧感も無くなった。
「ディラン。お前もそろそろ…その性格、なんとかしろよ?」
エルドは少し呆れた顔をしながら私の肩を叩いた後、婚約者であるグレイシー嬢の元へと戻って行った。
*グレイシー*
「エルド、ありがとう。」
「お礼なんていらないよ。」
エルドは、いつもの優しい笑顔だ。
私の大好きな幼馴染みのフェリシティ。お母様のソフィア様が亡くなってからのフェリシティは、本当に辛い事ばかりだった。同じ幼馴染みのメルヴィルも…本当に最低だった。
それが、エスタリオンが留学生としてやって来てから、ガラリと変わったフェリシティ。本当に、楽しそうに笑うようになった。だから、エスタリオンと2人で幸せになって欲しいと思う。
「でも、エルドのお蔭で、誰の邪魔をされる事もなく、ダンスを踊れる事になったわ。」
「でも、まさか、赤い薔薇も用意してるとは思わなかったけどね。本当に、エスタリオンは独占欲が強いな。フェリシティ嬢は…大丈夫か?」
「ふふっ。その辺、フェリシティは疎いから、大丈夫じゃないかな?」
普段はしっかりしているフェリシティだけど、恋愛云々には疎い。だから、エスタリオン位が丁度良いかもしれない。
エスタリオンに連れられて、隣国へ行ってしまうかもしれないけど…
ーフェリシティ、幸せになってねー
と、願わずにはいられない。
❋お付き合い、ありがとうございました。本編は、明日もいつも通りの時間に投稿予定です❋
(* ᵕᴗᵕ)⁾⁾⁾ ꕤ
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