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9 収穫祭③
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「飛行してる時も凄いなって思ってたけど、地上に立つと更に凄い人波だね」
「今年は特にだな。マシ──ジェナは小さいから、はぐれないように気を付けないと」
と言って、カイルスさんにガッシリと手を繋がれている。これは(色んな意味で)有りなのか?と、キース達に視線を向けても微笑まれただけだった。カイルスさんにとっては“迷子防止の為の親子手繋ぎ”なのかもしれないけど、私は緊張して仕方が無い。それでも嬉しいなと思ってしまうのだから、握られた手を振り解くことができない自分がいる。カイルスさんには恋人も婚約者も居ないから、迷惑さえかけなければ、想う事は自由だろうと開き直る。
ー私だって恋愛はしたいー
守護竜ともなれば公平な視点を保たなければいけないけど、恋愛をしてはいけないと言う事は無い。詳しくは分からないけど、バージルさんには恋人も婚約者も奥さんも居ないけど、ローゼさんは恋愛には自由で、ニーロンさんは結婚していて子供も居るそうだ。
「ジェナ、何か甘い物を食べませんか?」
“ジェナ”とは、お忍び時の私の名前だ。“マシロ”も、この世界では珍しい名前だから、この世界に合わせた名前を作った。
「食べたい!マイラさんのお勧めはある?」
「そうですね……お勧めと言うか、東で人気のあるもちもちのドーナツが出店してるらしくて、それが気になっなます」
「もちもち!探して───」
「ジェナ、走ると危ないから」
思わず走り掛けた私の手を引いて、ポスッと改めてカイルスさんの側に引き寄せられた。
「うん!走ると危ないね!でも、この近さ、歩き難くない?」
「人が多いから、これぐらいの近さで丁度良い。護りやすいしね」
「なるほど!」
護衛を兼ねているなら仕方無い。人が多い所では、護る側からすれば大変だろうから、護られる側の私も、我儘を言ってはいけない──と、私は素直にカイルスさんと距離を詰めたまま歩き出した。
「ジェナ、素直過ぎて……大丈夫ですか?」
「嫌がってないから、大丈夫じゃないかな?グイグイ行くカイルスなんて、ここでしか見られないしね」
心配するマイラに、面白そうに笑って2人を見ているアルマン。
「素直で可愛らしいのがジェナですから!」
と、安定のキースだった。
******
『少し一休みしよう』と言う事で、私とマイラさんは公園のベンチに座り、カイルスさんとアルマンさんはドリンクを買いに行ってくれた。キースは『見回りをして来ます』と言って、隼になって飛んで行った。珍しい色をした人間が居ないかどうか──
「女の竜騎士って、どれぐらい居るの?」
「竜騎士の1割程で、カイルスさんやキースさんの様な獣人の竜騎士も1割程です」
「1割!?それは……凄いね」
獣人でありながら竜騎士になるのは大変だと知っていたけど、そこまでとは思わなかったし、キースもそうだった事を忘れていたとは、キース本人には言えない。寧ろ、純粋な獣人のキースの方が、カイルスさんよりも苦労したのかもしれない。やっぱり、もともと側衛になるだけの実力を持っていたからこそ、側衛になったのかもしれない。
ー“可愛い”以外でも認めてもらえる主にならないと!ー
いや、(そもそも可愛くもないけど)可愛いだけで守護竜になった訳じゃないけど。この豊穣祭が終わると、本格的に浄化の訓練を始める予定だ。10年に1度、浄化をする為に竜王国内を巡り廻るそうだけど、この100年間していなかったから、私の訓練の成果次第で直ぐに巡り廻る事になった。それには、聖女由茉も同行予定だから、私にとっては心強い存在だ。
「私の両親は所謂政略結婚であまり夫婦仲が良くなくて、子供にもあまり興味のない人達で、そんな親の代わりに私に愛情を注いでくれたのが兄なんです。イケメンで頭も良くて優しくて何もかもが完璧で……私は顔はイマイチだし女のくせに背が高くて頭も良くなくて…でも、体力だけは自信があって、剣を持ってみたら楽しくて……竜騎士になれた時は、兄が一番喜んでくれたんです。その上、守護竜の近衛になった時は泣いて喜んでくれたんです。それが、私が一番嬉しかったんです」
まだまだ新人子竜な守護竜だけど、マイラさん達にも誇ってもらえるように頑張らないと!
「素敵なお兄さんだね。また機会があれば紹介してね」
「え!?良いんですか!?いつでも呼び出しますよ!?ありがとうございます!!」
『マ──ジェナ、大変です!!』
そこに慌てて飛んで来たのは隼。
「キース、どうしたの?」
『あの首輪を着けられた女性を見付けました。アルマン様が保護しています。どうしますか?』
“あの首輪”
「勿論、そのまま保護して離宮に連れて行くように言って。マイラさんは、この事を離宮に居る守護竜に伝えて、使用人達に受け入れる準備をするように伝えて。私はどうしても飛行スピードがアルマンさんとマイラさんよりも劣るから、後からカイルスさんと一緒に離宮に帰るから」
「『承知しました』」
私が指示をすると、キースは元来た方向へ、マイラさんは竜化して空へと飛び立った。
「今年は特にだな。マシ──ジェナは小さいから、はぐれないように気を付けないと」
と言って、カイルスさんにガッシリと手を繋がれている。これは(色んな意味で)有りなのか?と、キース達に視線を向けても微笑まれただけだった。カイルスさんにとっては“迷子防止の為の親子手繋ぎ”なのかもしれないけど、私は緊張して仕方が無い。それでも嬉しいなと思ってしまうのだから、握られた手を振り解くことができない自分がいる。カイルスさんには恋人も婚約者も居ないから、迷惑さえかけなければ、想う事は自由だろうと開き直る。
ー私だって恋愛はしたいー
守護竜ともなれば公平な視点を保たなければいけないけど、恋愛をしてはいけないと言う事は無い。詳しくは分からないけど、バージルさんには恋人も婚約者も奥さんも居ないけど、ローゼさんは恋愛には自由で、ニーロンさんは結婚していて子供も居るそうだ。
「ジェナ、何か甘い物を食べませんか?」
“ジェナ”とは、お忍び時の私の名前だ。“マシロ”も、この世界では珍しい名前だから、この世界に合わせた名前を作った。
「食べたい!マイラさんのお勧めはある?」
「そうですね……お勧めと言うか、東で人気のあるもちもちのドーナツが出店してるらしくて、それが気になっなます」
「もちもち!探して───」
「ジェナ、走ると危ないから」
思わず走り掛けた私の手を引いて、ポスッと改めてカイルスさんの側に引き寄せられた。
「うん!走ると危ないね!でも、この近さ、歩き難くない?」
「人が多いから、これぐらいの近さで丁度良い。護りやすいしね」
「なるほど!」
護衛を兼ねているなら仕方無い。人が多い所では、護る側からすれば大変だろうから、護られる側の私も、我儘を言ってはいけない──と、私は素直にカイルスさんと距離を詰めたまま歩き出した。
「ジェナ、素直過ぎて……大丈夫ですか?」
「嫌がってないから、大丈夫じゃないかな?グイグイ行くカイルスなんて、ここでしか見られないしね」
心配するマイラに、面白そうに笑って2人を見ているアルマン。
「素直で可愛らしいのがジェナですから!」
と、安定のキースだった。
******
『少し一休みしよう』と言う事で、私とマイラさんは公園のベンチに座り、カイルスさんとアルマンさんはドリンクを買いに行ってくれた。キースは『見回りをして来ます』と言って、隼になって飛んで行った。珍しい色をした人間が居ないかどうか──
「女の竜騎士って、どれぐらい居るの?」
「竜騎士の1割程で、カイルスさんやキースさんの様な獣人の竜騎士も1割程です」
「1割!?それは……凄いね」
獣人でありながら竜騎士になるのは大変だと知っていたけど、そこまでとは思わなかったし、キースもそうだった事を忘れていたとは、キース本人には言えない。寧ろ、純粋な獣人のキースの方が、カイルスさんよりも苦労したのかもしれない。やっぱり、もともと側衛になるだけの実力を持っていたからこそ、側衛になったのかもしれない。
ー“可愛い”以外でも認めてもらえる主にならないと!ー
いや、(そもそも可愛くもないけど)可愛いだけで守護竜になった訳じゃないけど。この豊穣祭が終わると、本格的に浄化の訓練を始める予定だ。10年に1度、浄化をする為に竜王国内を巡り廻るそうだけど、この100年間していなかったから、私の訓練の成果次第で直ぐに巡り廻る事になった。それには、聖女由茉も同行予定だから、私にとっては心強い存在だ。
「私の両親は所謂政略結婚であまり夫婦仲が良くなくて、子供にもあまり興味のない人達で、そんな親の代わりに私に愛情を注いでくれたのが兄なんです。イケメンで頭も良くて優しくて何もかもが完璧で……私は顔はイマイチだし女のくせに背が高くて頭も良くなくて…でも、体力だけは自信があって、剣を持ってみたら楽しくて……竜騎士になれた時は、兄が一番喜んでくれたんです。その上、守護竜の近衛になった時は泣いて喜んでくれたんです。それが、私が一番嬉しかったんです」
まだまだ新人子竜な守護竜だけど、マイラさん達にも誇ってもらえるように頑張らないと!
「素敵なお兄さんだね。また機会があれば紹介してね」
「え!?良いんですか!?いつでも呼び出しますよ!?ありがとうございます!!」
『マ──ジェナ、大変です!!』
そこに慌てて飛んで来たのは隼。
「キース、どうしたの?」
『あの首輪を着けられた女性を見付けました。アルマン様が保護しています。どうしますか?』
“あの首輪”
「勿論、そのまま保護して離宮に連れて行くように言って。マイラさんは、この事を離宮に居る守護竜に伝えて、使用人達に受け入れる準備をするように伝えて。私はどうしても飛行スピードがアルマンさんとマイラさんよりも劣るから、後からカイルスさんと一緒に離宮に帰るから」
「『承知しました』」
私が指示をすると、キースは元来た方向へ、マイラさんは竜化して空へと飛び立った。
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