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11 保護②
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ナデージュさんの診察結果は──
ストレスと過労による発熱
寝込んでいるから見える範囲での確認だけど、両手首と両足首には比較的新しい傷や痣があり、拘束具を嵌められていた可能性がある
見た目年齢からすると、少し痩せ気味ではあるけど、栄養失調のような症状は見られない
それから判断すると、普通の生活を送っていた女性で、捕らわれてからそれ程日数が経っていないと言う事。
「行方不明者リストの確認をしないとね」
正直なところ、暗くなる前に見付けださなければ、逃げ切られてしまって、他の捕らわれいるだろう人達を助ける事が難しくなる。今日は豊穣祭2日目で、夜は一番盛り上がって更に賑やかになると言っていたから、異変が起こっても気付かれ難い。
ーだから、なんとしも夜になる迄に……ー
部屋にある窓に視線を向けると、青色の空に少しずつ赤色が混ざり始めていた。
******
「獣人男性2人を保護しました」
その報せが届いたのは、日が暮れた直後だった。
その2人にも首輪が嵌められていて、声が出せないだけで元気だそうだけど、体調の確認の為に離宮に来てもらって、ナデージュさんの診察を受けてもらった。
「その2人からの情報提供と、行方不明者リストから判断すると、先に保護した女性を合わせて3人で全てのようだ。その3人が監禁されていた小屋で、男3人を取り押さえたが、主犯格の男には逃げられてしまったようで、今も影に探らせている」
流石は竜王。全てが早かった。精鋭部隊も流石で、特に大きな混乱も無く、行方不明者の保護と犯人を捕まえる事ができ、豊穣祭も予定通り行われている。
今日はお母さんの居る神殿前の広場で、無料の食事が振る舞われ、それが終わると自由気ままなダンスパーティーが始まり、9時頃から花火が打ち上げられる予定だ。『この世界でも花火が!?』と驚いたけど、聞けば、お母さんの1度目の召喚の時に、レナルドさんに花火の話をすると、レナルドさんが魔法で花火を作ったそうで、そこから花火がこの世界ででも見られるようになったんだそうだ。因みに、この魔法の花火は小さな魔法陣が組み込まれた玉でできていて、その魔法陣の核となる物には特許の様なものがあり、その魔法陣を教える代わりにお金を貰っているから、レナルドさんもその特許だけでもそれなりの収入があるそうだ。これからは、『そのうちの何割かはユマに回す』!と言うレナルドさんと、『要らないわ!』と言うお母さん。
ー結婚すれば問題無いのでは?ー
とは、まだ言わない方が良いよね?あの2人はまだ相変わらずで、お互い尊敬し合った戦友状態だ。娘の私から見ても、お互い気付いていないだけで想い合っているのに……なんとももどかしい状態。
と、今はそれは置いといて─────
「バージルさん、色々とありがとうございます。全員助ける事ができたし、このまま豊穣祭も続ける事ができそうです」
「守護竜マシロの初めての大きな政だからな。誰にも邪魔をさせる気はないからな」
「正直、守護竜だからと言って、誰もが肯定的とは限らないからね。何処にでもチクチク口出しする者も居るけど、“子竜だから”とか“新人だから”とかでマシロが気に病む必要は無いからね。守護竜として正しい行いをしていれば、子竜も新人も関係無いのだから」
「はい。ありがとうございます。ニーロンさん」
それはごもっともな話だ。子竜で新人な私にはまだまだ自信は無いけど、守護竜としての務めを一生懸命頑張る気持ちでいっぱいだ。だから、その出だしで躓く事がなくて本当に良かった。
「それで、今ここで診てもらっている女性は、このまま西で療養させてもらえるか?」
「それは大丈夫です。移動するとなると精神的にも負担が掛かるし、ここなら、また誰かに狙われると言う事もないですから」
「それなら、暫くの間頼む。獣人男性2人は元気なようだから、王城に連れ戻って色々話を聴こうと思っている」
逃げた主犯格と、取り引きの相手を探る為だろう。
「それじゃあ、今日のうちに帰城しますか?」
「魔法陣の準備を頼む」
「分かりました」
東西南北の守護竜の離宮には、王城への転移の魔法陣が設置されていて、緊急時に使用したりする。勿論、転移先の許可が無ければ魔法陣は発動する事は無い。
「ローゼは今、ちょっと遣いを頼んでいて不在だが、ニーロンには予定通り明日迄滞在するから、何か困った事があれば、ニーロンに相談すると良い。また落ち着いたら、城に遊びに来い」
「はい、呼んでもらえれば、いつでも登城します」
そうして、バージルさんは獣人2人とネグロと王城へと帰って行った。
それから、街で捜索に加わっていたカイルスさんとアルマンさんとマイラさんが帰って来たのは、日付が変わる少し前の時間だった。
ストレスと過労による発熱
寝込んでいるから見える範囲での確認だけど、両手首と両足首には比較的新しい傷や痣があり、拘束具を嵌められていた可能性がある
見た目年齢からすると、少し痩せ気味ではあるけど、栄養失調のような症状は見られない
それから判断すると、普通の生活を送っていた女性で、捕らわれてからそれ程日数が経っていないと言う事。
「行方不明者リストの確認をしないとね」
正直なところ、暗くなる前に見付けださなければ、逃げ切られてしまって、他の捕らわれいるだろう人達を助ける事が難しくなる。今日は豊穣祭2日目で、夜は一番盛り上がって更に賑やかになると言っていたから、異変が起こっても気付かれ難い。
ーだから、なんとしも夜になる迄に……ー
部屋にある窓に視線を向けると、青色の空に少しずつ赤色が混ざり始めていた。
******
「獣人男性2人を保護しました」
その報せが届いたのは、日が暮れた直後だった。
その2人にも首輪が嵌められていて、声が出せないだけで元気だそうだけど、体調の確認の為に離宮に来てもらって、ナデージュさんの診察を受けてもらった。
「その2人からの情報提供と、行方不明者リストから判断すると、先に保護した女性を合わせて3人で全てのようだ。その3人が監禁されていた小屋で、男3人を取り押さえたが、主犯格の男には逃げられてしまったようで、今も影に探らせている」
流石は竜王。全てが早かった。精鋭部隊も流石で、特に大きな混乱も無く、行方不明者の保護と犯人を捕まえる事ができ、豊穣祭も予定通り行われている。
今日はお母さんの居る神殿前の広場で、無料の食事が振る舞われ、それが終わると自由気ままなダンスパーティーが始まり、9時頃から花火が打ち上げられる予定だ。『この世界でも花火が!?』と驚いたけど、聞けば、お母さんの1度目の召喚の時に、レナルドさんに花火の話をすると、レナルドさんが魔法で花火を作ったそうで、そこから花火がこの世界ででも見られるようになったんだそうだ。因みに、この魔法の花火は小さな魔法陣が組み込まれた玉でできていて、その魔法陣の核となる物には特許の様なものがあり、その魔法陣を教える代わりにお金を貰っているから、レナルドさんもその特許だけでもそれなりの収入があるそうだ。これからは、『そのうちの何割かはユマに回す』!と言うレナルドさんと、『要らないわ!』と言うお母さん。
ー結婚すれば問題無いのでは?ー
とは、まだ言わない方が良いよね?あの2人はまだ相変わらずで、お互い尊敬し合った戦友状態だ。娘の私から見ても、お互い気付いていないだけで想い合っているのに……なんとももどかしい状態。
と、今はそれは置いといて─────
「バージルさん、色々とありがとうございます。全員助ける事ができたし、このまま豊穣祭も続ける事ができそうです」
「守護竜マシロの初めての大きな政だからな。誰にも邪魔をさせる気はないからな」
「正直、守護竜だからと言って、誰もが肯定的とは限らないからね。何処にでもチクチク口出しする者も居るけど、“子竜だから”とか“新人だから”とかでマシロが気に病む必要は無いからね。守護竜として正しい行いをしていれば、子竜も新人も関係無いのだから」
「はい。ありがとうございます。ニーロンさん」
それはごもっともな話だ。子竜で新人な私にはまだまだ自信は無いけど、守護竜としての務めを一生懸命頑張る気持ちでいっぱいだ。だから、その出だしで躓く事がなくて本当に良かった。
「それで、今ここで診てもらっている女性は、このまま西で療養させてもらえるか?」
「それは大丈夫です。移動するとなると精神的にも負担が掛かるし、ここなら、また誰かに狙われると言う事もないですから」
「それなら、暫くの間頼む。獣人男性2人は元気なようだから、王城に連れ戻って色々話を聴こうと思っている」
逃げた主犯格と、取り引きの相手を探る為だろう。
「それじゃあ、今日のうちに帰城しますか?」
「魔法陣の準備を頼む」
「分かりました」
東西南北の守護竜の離宮には、王城への転移の魔法陣が設置されていて、緊急時に使用したりする。勿論、転移先の許可が無ければ魔法陣は発動する事は無い。
「ローゼは今、ちょっと遣いを頼んでいて不在だが、ニーロンには予定通り明日迄滞在するから、何か困った事があれば、ニーロンに相談すると良い。また落ち着いたら、城に遊びに来い」
「はい、呼んでもらえれば、いつでも登城します」
そうして、バージルさんは獣人2人とネグロと王城へと帰って行った。
それから、街で捜索に加わっていたカイルスさんとアルマンさんとマイラさんが帰って来たのは、日付が変わる少し前の時間だった。
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