氷の騎士は、還れなかったモブのリスを何度でも手中に落とす

みん

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呪い返し

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ーできる事なら…ディに…最後に…ディに会いたかったー



違う────



ー絶対に…ディの元に…帰るんだ!ー


魔力が枯渇する事が無い─と言う事は…死なない。
魔力が殆ど無くて…辛い…けど……


「──────ディ………」






「お前は────覚悟ができているんだろうな?」


地を這うような……とても低く冷たいのに、何故か涙が出そうな程安心する声が響いた。

ーディに会いたくて…幻聴でも聞こえてきたのかなぁ?ー

顔を動かす事も億劫で…何とか…と言う思いで声がした方に視線を向けると

絶対零度な冷たい視線をサリスに向けるディが居た。


「──ディ?……」


ーあれ?幻覚?ー


そんな私の小さな声が聞こえたのか、ディはこの場に相応しくない程の優しい目を私に向けた。

「ハル、待ってて。直ぐに───終わらせるから──」

そう言い切ると、ディはそのまま一気にサリスとの間を詰め寄って来た。

「くそっ!思ったより…早かったなっ!」

サリスが慌てて距離を取る。

「クレイル!ハルに着いている枷を外してくれ!」

「枷─魔力封じの枷か!?」

ディが詰め寄って来る間に、5人いた男達のうち2人を倒したが、あと3人いる。その3人を、クレイル様が魔術を使いながら、なんとか攻撃を躱している─と言う状況だ。

「私は…だい…じょ…ぶ…だから…」

ディとクレイル様を安心させるように、笑顔を作る。

「──くそっ…本当に…しつこい奴等だなぁ!」

優秀な魔導師とは言え、3対1ではギリギリだった。

ー早くハル殿の枷を外さないと!どうしたら良い!?ー

と、クレイルが焦り出した時




「誰に手を出したのか────思い知らせてやろうか?」



「───え?」



ソレは一瞬だった。


「え???」


ーあれ?さっきまで3人居たよな?ー

気が付けば、今の今まで相手をしていた3人の男達が倒れていた。


「安心しろ。殺してはいない。死ねないように…手加減したからな。」

と、目が全く笑っていない笑顔をしたゼン殿が立っていた。

「クレイル、何を突っ立っている?ハルに着けられている枷を外せ!」

「そうだった!ハル殿!!」

ゼン殿が放つ殺気が半端なくて、肌がピリピリとする。その圧に負けないように体に気合いを入れてハル殿の所へと急いだ。





「エディオル、ハル殿の枷は外したから!」

「分かった──」

これで取り敢えず、ハルの事は大丈夫だと─後は、サリスをヤるだけだ。


「くそっ─何故!お前達は邪魔をするんだ!?もともと…フェンリルは私達のモノだったのに!!───ゔっ──」

怒りで気が逸れたところを一気に突いた。動けないように、意識を失わせないように。痛みを感じさせる為に──。
サリスはその場に倒れ込み、そのまま蹲っている。

ー本当は…息の根を止めてやりたいところだがー

「クレイル、魔術で拘束してくれ。」

「分かった。」

クレイルがそのままサリスの元へ向かい、俺はそれとは反対にサリスに背を向けてコトネの元へ向かう。

気が付けば、ゼン殿とロンとティモスが倒れている男達を拘束し、ルナとリディがコトネの側に居た。
そのコトネは、魔力封じの枷のせいで、また魔力を失ってしまったのだろう。酷く顔色が悪かった。

「ハル───」

と、名前を呼んだ時



「ははっ…もう、思い通りにならない…なら…フェンリルも巫女も……この森も…もう……要らない!」

サリスがそう叫ぶと同時に、何かしらの魔法陣を展開させた。

「何を───っ!?」

サリスのすぐ側に居たクレイルが、焦ったように防御の魔術を展開させる。

「私の魔力全てを使って……この森を……全てを呪ってやる!」

その魔法陣から一気に赤色の光りが溢れ出したのと同時に、身体中に気持ち悪いモノが纏わり付くような感覚に襲われ、立っているのもやっとと言う程、体が重たく感じる。それでも立っていられるのは、コトネからもらったピアスのお陰だろう。

「くそうっ──駄目だ!呪いの力が強すぎる!」

「──サリス!」

やはり、息の根を止めるべきだった─と、一歩踏み出した時


「サリス…の思い通りになんて…させない!」

「えっ!?」

もう、殆ど魔力が無い筈なのに─

コトネの足下に魔法陣が現れて、そこから淡い水色の光りが溢れて、森全体に広がって行く。コトネを中心として、そこから波が広がって行く様に。その光が森一帯に広がった後、今度は一気に上昇して更に眩しいほどに光輝いた後、弾けるように光が霧散した。





一体何が起こったのかは分からないが、森全体を覆っていた嫌な感じも、身体が重たい感じも無くなっていた。
そして、サリスも気を失って倒れていた。


「「ハル様っ!?」」


ルナとリディが悲鳴のような声を上げた。

急いでコトネに駆け寄ると、コトネの顔色は一層悪くなり、呼吸も弱々しくなってグッタリとしていた。

ヒユッと息を呑む

「エディオル!ハル殿から魔力が殆ど感じられない!早く治療をしないと危ない!」

クレイルがサリスを拘束しながら叫んでいる。

「ロン、お前は今すぐ邸に戻ってハルの作ったポーションを用意しておけ!それと、アンナ(パルヴァン邸付きの薬師)を呼んでおけ!エディオル、ここは俺とクレイルで片付けるから、お前は今すぐにハルを邸に運んで行け!!今すぐ動け!エディオル!」

そのゼン殿の言葉にハッと意識を戻し、俺はグッタリするコトネを抱き上げて邸まで一気に駆け出した。


腕の中のコトネは、グッタリとして動かない。
さっきまで…顔色が悪くても…あの淡い水色の瞳で俺を見ていたのに。

「コトネ───っ」



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