48 / 62
何で?
しおりを挟む「何で?」
一体、今日だけで何回「何で?」と思っただろう?
今もまた、私はそう思いながら首を傾げた。
あれからディと手を繋いだまま蒼の邸に帰って来た。
荷物などは既にルナさんとリディさんが片付けてくれていて、特にする事がなくて時間があった為、改めてミヤさんにお礼の気持ちと王都に帰って来た報告の手紙を書いた。
王太子様も、今回は色々と配慮をしてくれたようなので、そのお礼も書いておいた。
「ランバルトには貸しがいっぱいあるから、礼なんていらない。」
とディには言われたけど、相手は王太子殿下だからね?
それからディと夕食を食べた後、今日は早目に休もう─と言う事になり、いつもより早い時間に入浴も済ませた。
ー「早目に休もう」って…言ったよね!?ー
なのに!
「何で!?」
と、もう一度口に出した時
「何が“何で?”なんだ?」
「ひゃいっ!!!」
ディの部屋へと続く、夫婦の部屋の扉が開いた。
「ディ!?コレ、違うの!お風呂から出て来たら…ルナさん達に着せられて───」
「いや?別に間違っては…無いだろう?」
「何で!?」
ー早目に休むんじゃなかったの!?ー
そう。ルナさん達に着せられたのは──
青色のスケスケだった。
私一人ワチャワチャしている間に、私の目の前迄やって来たディに両手で顔を包み込まれて、そのまま上へと向けさせられた。
「続きは、帰ってからだと言っただろう?」
「──────はい。」
「逃げません─とも…言ったよな?」
ーいや、それは、そう言う意味で言ったんじゃないからね?ー
「なら、問題無いな?」
ー問題無い事は無いよね?ディ次第だけどね!ー
むうっ──と、無言のまま睨みつけると
「それ、可愛いだけで煽ってるだけだからな?」
「あお─────っ」
顔を包み込まれたままで口を塞がれた。
最初は優しいキスも直ぐに深いものになって、そのままベットに押し倒された。
いつものようにディの手で翻弄されるけど、いつもよりは優しい。それに、時折「コトネ」と、私の存在を確かめるように瞳を覗いて来るディに、私の胸がキュッと痛みを訴える。
ー私は、ディを傷付けてしまったんだー
それでも、ディはまた、私を待っていてくれた。いや。私を捕らえてくれた。
ー愛おしいなぁー
「─コトネ?考え事か?余裕が…あるな?」
私に覆い被さったままで、少し顔を離した。
「考え事じゃなくて…その…やっぱりディが好き…だなって思っただ────」
「──くっそ…馬鹿コトネ!」
「バ───んっ!?」
それからは…うん。いつも通り…いや、以上の攻めを喰らいました。どんなにお願いしようが何を言おうが「煽ったコトネが悪い」と言われた。
ー何で!?煽ってないからね!?ー
何も考えられなくなった頭の中では、僅かに“何で?”と言う言葉だけが残っていたけど……やっぱり…最後はまた、気を失うように意識を手放した。
ー誰か、ディに“手加減”の意味を…教えて下さいー
*****
クタリ─と意識を失ったコトネを改めて抱きかかえて布団に潜り込む。
記憶が失くなっても、また俺に落とせば良いと思っていた。
記憶が戻ったと分かってはいたけど…不安だった。
今日は…久し振りだったし、コトネの存在を確かめたくて、ゆっくりと優しく─と思っていたのに──
『考え事じゃなくて…その…やっぱりディが好き…だなって思っただ────』
俺に組み敷かれて捕われているコトネに、そんな事を言われて手加減なんてできるか?できないだろう……。
「───ん………」
腕の中のコトネがもぞもぞと動いて─スリッと俺に擦り寄った後、寝ているのにも関わらずふにゃりと笑った。
「くっ───────」
思わず、コトネを抱いている腕にギュウッと力が入る。
「───ゔぅ……」
「────くっ…」
ー寝ているのにいちいち反応するコトネが……可愛い過ぎやしないか!?ー
落ち着こう──
それにしても、コトネが……パルヴァンの巫女の末裔で…ゼン殿の行方不明だった嫁の娘だったとは…本当に驚いた。それと同時に安心した。
コトネがパルヴァンの巫女の血を引き継いでいると言うなら、もうあっちの世界には還る事は無い─と言う事だ。
ゼン殿とロンからの過保護度合いが増しそうな気もするが……それは仕方無い。
あぁ…一番驚いたのは…ノアか…。
ノアは、とんでもない魔獣だったな。魔法使いのコトネが気付いていないと言う事は、そう言う事なんだろう。
『某国の危険分子は、潰しました。これで、ネージュも安心して過ごせますね。』
と、ニッコリ笑ったノアの事は忘れられないだろう。
ノアのお陰で、不安要素は綺麗に無くなったのは確かだ。
後は、本当に、コトネが何かに巻き込まれたり危険な目に遭うような事が無い事を祈るばかりだ。そう思いながら、腕の中で寝ているコトネを見る。ようやく、コトネが俺の腕の中に…帰って来た。
「コトネ……おかえり……」
そう囁いて、もう一度コトネをギュッと抱き込んで、俺はそのまま眠りに就いた。
83
あなたにおすすめの小説
わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。
バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。
そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。
ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。
言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。
この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。
3/4 タイトルを変更しました。
旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」
3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です
※小説家になろう様にも掲載しています。
男装獣師と妖獣ノエル ~騎士団で紅一点!? 幼馴染の副隊長が過保護です~
百門一新
恋愛
幼い頃に両親を失ったラビィは、男装の獣師だ。実は、動物と話せる能力を持っている。この能力と、他の人間には見えない『黒大狼のノエル』という友達がいることは秘密だ。
放っておかないしむしろ意識してもらいたいのに幼馴染枠、の彼女を守りたいし溺愛したい副団長のセドリックに頼まれて、彼の想いに気付かないまま、ラビは渋々「少年」として獣師の仕事で騎士団に協力することに。そうしたところ『依頼』は予想外な存在に結び付き――えっ、ノエルは妖獣と呼ばれるモノだった!?
大切にしたすぎてどう手を出していいか分からない幼馴染の副団長とチビ獣師のラブ。
※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ」「カクヨム」にも掲載しています。
氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!
屋月 トム伽
恋愛
ディティーリア国の末王女のフィリ―ネは、社交なども出させてもらえず、王宮の離れで軟禁同様にひっそりと育っていた。そして、18歳になると大国フェンヴィルム国の陛下に嫁ぐことになった。
どこにいても変わらない。それどころかやっと外に出られるのだと思い、フェンヴィルム国の陛下フェリクスのもとへと行くと、彼はフィリ―ネを「よく来てくれた」と迎え入れてくれた。
そんなフィリ―ネに、フェリクスは毎日一緒にお茶をして欲しいと頼んでくる。
そんなある日フェリクスの幻獣フェンリルに出会う。話相手のいないフィリ―ネはフェンリルと話がしたくて「心を通わせたい」とフェンリルに願う。
望んだとおりフェンリルと言葉が通じるようになったが、フェンリルの幻獣士フェリクスにまで異変が起きてしまい……お互いの心の声が聞こえるようになってしまった。
心の声が聞こえるのは、フェンリル様だけで十分なのですが!
※あらすじは時々書き直します!
【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。
雨宮羽那
恋愛
聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。
というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。
そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。
残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?
レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。
相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。
しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?
これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。
◇◇◇◇
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます!
モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪
※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
※アルファポリス先行投稿(他投稿サイトにも掲載予定です)
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。
長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。
仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。
愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。
ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。
ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。
二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。
時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し……
全ては、愛する人と幸せになるために。
他サイトと重複投稿しています。
全面改稿して投稿中です。
【完結】異世界転移したら騎士団長と相思相愛になりました〜私の恋を父と兄が邪魔してくる〜
伽羅
恋愛
愛莉鈴(アリス)は幼馴染の健斗に片想いをしている。
ある朝、通学中の事故で道が塞がれた。
健斗はサボる口実が出来たと言って愛莉鈴を先に行かせる。
事故車で塞がれた道を電柱と塀の隙間から抜けようとすると妙な違和感が…。
気付いたら、まったく別の世界に佇んでいた。
そんな愛莉鈴を救ってくれた騎士団長を徐々に好きになっていくが、彼には想い人がいた。
やがて愛莉鈴には重大な秘密が判明して…。
【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り
楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。
たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。
婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。
しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。
なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。
せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。
「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」
「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」
かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。
執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?!
見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。
*全16話+番外編の予定です
*あまあです(ざまあはありません)
*2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる