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第1章ー前世ー
新たな生活
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「アドリーヌ、今日は上手にできたわね。」
「アーニーさん、ありがとうございます。」
私─アドリーヌが、この修道院に来てから6ヶ月。今日の私は洗濯の担当だった。3人で2時間程掛けての洗濯からの洗濯干し。
ここに来た当時は何をするにも大変だった。侯爵令嬢として育って来た私は、洗濯どころかお皿の1枚すら洗った事がなかったのだ。それが、ここでは皆が順番に色々な役割を振り当てられ、それをこなしていかなければならないのだ。
あの日からの父の行動は早かった。
私を侯爵家から除籍するのには、母が最後の最後迄反対したけど、日が経つにつれ憔悴していく私を目にして……『籍は外れてしまっても、あなたはずっと……私の娘ですからね!』と、泣きながら私を抱きしめてくれた。
それから、王太后様には悟られないように、国王陛下の助けもあり、私の婚約者側にも知られる事なく除籍され、その足で私は修道院へと送られた。
『たまには、手紙を書いてくれ』
『落ち着いたら…会いにくるわね』
父と母は、この修道院迄一緒に来てくれた。
この修道院は、王都から馬車で3日程掛かる場所にある。そして、ここは私のように、男性から被害を受けた女性を保護している所でもある。その為、修道院で働く使用人達もほぼ女性で、院長も女性である。唯一男性なのは料理長で、その料理長も年配の既婚者だ。後は、護衛。その護衛達も、殆どが既婚者である。
この修道院に来た当時は、“開放された”と言う気持ちとは反対に、あの時の彼の目をふと思い出し魘されたりしていた。そんな時、いつもアーニーさんが私の手を握っていてくれた。
アーニーさん──
彼女は、私よりも5つ年上の先輩修道女で、私の指導をしてくれている。アーニーさんは、結婚相手の旦那さんから暴力を受け、2年前、この修道院に助けを求めて駆け込んだそうだ。
このアーニーさんには、本当に色々と迷惑を掛けた──いや、掛けっ放しです。何もできない私に、根気強く丁寧に教えてくれた。
洗濯物がシワシワに乾いても─
「“洗った”って分かるから良いんじゃない?」
お皿を割っても─
「そろそろ新しいのが欲しかったから、丁度良かったわ。」
掃除に時間が掛かっても─
「適当にやって、やり直しするより効率は良いわ。」
と、いつも笑って受け入れてくれる、とても優しい人。そんな優しいアーニーさんに、今日は洗濯が上手にできた事を褒められたのだ。
ー半年経って、ようやく……なのだけど…ー
「ふふっ。アドリーヌがした洗濯物にシワが無いって……変な感じね……ふふっ……」
「……アーニーさん、笑い過ぎです……」
プクッ─と口を尖らせると「ごめんごめん!」と笑いながら謝ってくるアーニーさん。アーニーさんの笑顔は、いつも私の心を温かくしてくれた。
その日1日、洗濯が上手くできて褒められた─と言うだけで、いつもより楽しく過ごす事ができた。“単純馬鹿”な私だなと思う。
最初本当に大変だったけど…未だにできない事も多いけど、自分で何かをする─と言う事が楽しい。
「ここに来て…良かった………」
父と母には、親不孝な事をしてしまったけど…
ーそう言えば…あれから、彼や彼女はどうなったんだろう?ー
“彼”とは、私の婚約者だった人。結局、あの庭で会ったのが最後だった。私が除籍された事も知らせないまま、私はこの修道院にやって来た。
私は除籍され平民になったから、婚約は解消されているだろう。
そして、“彼女”とは、子爵令嬢の事だ。第二王子から迫られて?いたけど、結局は王太后様に反対され、予定通り第二王子はジョアンヌ様と婚姻を結ぶ事になった。稀な光属性を持っているから、悪いようにはされないだろうけど…。
ここは、王都から離れている上に、特にこの修道院は俗世とは切り離されているから、王都での出来事や貴族に関しての話は殆ど入って来ない。一体どうなっているのかは気になるけど、耳に入って来ない方が良かったのかもしれない。その方が……忘れられるから。
それから、更に半年経った頃──
「第二王子の結婚式があるらしいわ」
「相手はなんと、聖女様らしいわ」
「第二王子と……聖女…様?」
ー第二王子の婚約者は、ジョアンヌ様だったよね?ー
ジョアンヌ様は火属性だった。
“聖女”と呼ばれるのは光属性だけだ。
「なんでも、第二王子と聖女様は、学生時代にお互い惹かれ合って、苛めや身分の差を乗り越えて結ばれたそうよ。」
「まぁ!素敵ね!」
“苛め”?“身分の差”?
ソレらを表すのは、やっぱりジョアンヌ様ではなく、子爵令嬢の事だ。ならば、ジョアンヌ様はどうなった?王太后が、認めた─と言う事?
分からない事だらけだった。
「アーニーさん、ありがとうございます。」
私─アドリーヌが、この修道院に来てから6ヶ月。今日の私は洗濯の担当だった。3人で2時間程掛けての洗濯からの洗濯干し。
ここに来た当時は何をするにも大変だった。侯爵令嬢として育って来た私は、洗濯どころかお皿の1枚すら洗った事がなかったのだ。それが、ここでは皆が順番に色々な役割を振り当てられ、それをこなしていかなければならないのだ。
あの日からの父の行動は早かった。
私を侯爵家から除籍するのには、母が最後の最後迄反対したけど、日が経つにつれ憔悴していく私を目にして……『籍は外れてしまっても、あなたはずっと……私の娘ですからね!』と、泣きながら私を抱きしめてくれた。
それから、王太后様には悟られないように、国王陛下の助けもあり、私の婚約者側にも知られる事なく除籍され、その足で私は修道院へと送られた。
『たまには、手紙を書いてくれ』
『落ち着いたら…会いにくるわね』
父と母は、この修道院迄一緒に来てくれた。
この修道院は、王都から馬車で3日程掛かる場所にある。そして、ここは私のように、男性から被害を受けた女性を保護している所でもある。その為、修道院で働く使用人達もほぼ女性で、院長も女性である。唯一男性なのは料理長で、その料理長も年配の既婚者だ。後は、護衛。その護衛達も、殆どが既婚者である。
この修道院に来た当時は、“開放された”と言う気持ちとは反対に、あの時の彼の目をふと思い出し魘されたりしていた。そんな時、いつもアーニーさんが私の手を握っていてくれた。
アーニーさん──
彼女は、私よりも5つ年上の先輩修道女で、私の指導をしてくれている。アーニーさんは、結婚相手の旦那さんから暴力を受け、2年前、この修道院に助けを求めて駆け込んだそうだ。
このアーニーさんには、本当に色々と迷惑を掛けた──いや、掛けっ放しです。何もできない私に、根気強く丁寧に教えてくれた。
洗濯物がシワシワに乾いても─
「“洗った”って分かるから良いんじゃない?」
お皿を割っても─
「そろそろ新しいのが欲しかったから、丁度良かったわ。」
掃除に時間が掛かっても─
「適当にやって、やり直しするより効率は良いわ。」
と、いつも笑って受け入れてくれる、とても優しい人。そんな優しいアーニーさんに、今日は洗濯が上手にできた事を褒められたのだ。
ー半年経って、ようやく……なのだけど…ー
「ふふっ。アドリーヌがした洗濯物にシワが無いって……変な感じね……ふふっ……」
「……アーニーさん、笑い過ぎです……」
プクッ─と口を尖らせると「ごめんごめん!」と笑いながら謝ってくるアーニーさん。アーニーさんの笑顔は、いつも私の心を温かくしてくれた。
その日1日、洗濯が上手くできて褒められた─と言うだけで、いつもより楽しく過ごす事ができた。“単純馬鹿”な私だなと思う。
最初本当に大変だったけど…未だにできない事も多いけど、自分で何かをする─と言う事が楽しい。
「ここに来て…良かった………」
父と母には、親不孝な事をしてしまったけど…
ーそう言えば…あれから、彼や彼女はどうなったんだろう?ー
“彼”とは、私の婚約者だった人。結局、あの庭で会ったのが最後だった。私が除籍された事も知らせないまま、私はこの修道院にやって来た。
私は除籍され平民になったから、婚約は解消されているだろう。
そして、“彼女”とは、子爵令嬢の事だ。第二王子から迫られて?いたけど、結局は王太后様に反対され、予定通り第二王子はジョアンヌ様と婚姻を結ぶ事になった。稀な光属性を持っているから、悪いようにはされないだろうけど…。
ここは、王都から離れている上に、特にこの修道院は俗世とは切り離されているから、王都での出来事や貴族に関しての話は殆ど入って来ない。一体どうなっているのかは気になるけど、耳に入って来ない方が良かったのかもしれない。その方が……忘れられるから。
それから、更に半年経った頃──
「第二王子の結婚式があるらしいわ」
「相手はなんと、聖女様らしいわ」
「第二王子と……聖女…様?」
ー第二王子の婚約者は、ジョアンヌ様だったよね?ー
ジョアンヌ様は火属性だった。
“聖女”と呼ばれるのは光属性だけだ。
「なんでも、第二王子と聖女様は、学生時代にお互い惹かれ合って、苛めや身分の差を乗り越えて結ばれたそうよ。」
「まぁ!素敵ね!」
“苛め”?“身分の差”?
ソレらを表すのは、やっぱりジョアンヌ様ではなく、子爵令嬢の事だ。ならば、ジョアンヌ様はどうなった?王太后が、認めた─と言う事?
分からない事だらけだった。
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