恋愛は見ているだけで十分です

みん

文字の大きさ
32 / 61
第三章ー学園生活ー

思い

しおりを挟む
“嘆き悲しんだ”

親不孝でごめんなさい──

痛む心とは別に、愛されていたんだ──と、心が少しだけ温かくもなる。

そこでようやく気付いた。彼女─アデル様が着けているペンダント。そこには、透明感のあるピンク色の宝石が付いている。

ー“モルガナイト”だー

スペイシー家の血を引き継ぐ者は、ピンクブロンドの髪に碧色の瞳を持って生まれる事が多い。どちらかだけの者も居るし、その色具合も、個人によって微妙な違いがある。
アデルの髪の色具合とは違うソレは、アドリーヌわたしの色だ。

「あぁ、コレですか?」

と、アデル様が私の視線に気付いたようで、ペンダントに手をあてる。

「コレは、その殺された方がずっと身に着けていたと言う宝石で、この石に、護りの魔法が込められているんです。代々、スペイシー家の直系の女性に引き継がれているんです。ですから、私が嫁に出る時は、スペイシー家に置いて行く事になります。」

ー縁起が悪い…とは…ならなかったんだろうか?ー

「傍から見れば、良く無い物と思われるかもしれませんが、彼女の死を切っ掛けに、スペイシー家は色々な事を学び、更に成長しました。辛い事にも背を向けず、しっかり前を見て進む─そんな気持ちを忘れないようにと言う思いが込められているんです。ですから、これは決して、良く無い物ではないんです。」

“決して、驕る事のないように”

ー私の両親は、本当に素晴らしい人だったんだー

「流石は…スペイシー家だな。それじゃあ、これからどうするか──話を詰めよう」

と、私達はこれからの事を話し合った。





6つある魔具について─優先的に、ダレルさん、私、第三王子、側近2人の5人が着ける事になった。「第三王子の婚約者のオレリア様は?」と訊けば、彼女は、聖女が入学すると決まった時点で、公爵家から依頼があり、既にスペイシー家で作られた魔具を身に着けているとの事だった。

では、後一つは、ルシエント様が?

「オスニエルには今は着けさせない。取り敢えずは、聖女と離して変わるかどうかを試す必要があるからな。その辺りは……ディシリス嬢にも頼んでいる。」

と言う事は、リゼットも今回の事を知らされている─と言う事は……

城付きエリート”のクセに、簡単に掛かるんじゃないわよ!”

ー毒づいているリゼットの姿が目に浮かぶよねー

きっと、リゼットが居るなら、ルシエント様は大丈夫だろう。
兎に角、後一つは念の為にスペアとして、ダレルさんが保管しておく事になった。

「スペイシー家で作った魔具に関して、一つだけ留意する事があります。石に込められている魔力は、それなりのレベルのモノだと言う自負がありますが、万一、相手の魔力の方が上で、この魔具では護りきれない─となった場合は、この石は壊れるようになっています。」

それは、普通の魔具とは真逆の事だった。普通の魔具は、魔力を維持させる為に耐久性を重視させている為、その石が壊れる事は滅多に無い。

「それは、“この魔具では護りきれない”と、分からせる為です。ですから、もし、この魔具が壊れた時は、その場から直ぐに離れて下さい。精神に働き掛ける魔法は、近くに居て初めて掛かるモノとされています。ですから……そうですね……その場から、最低でも2m以上は離れて下さい。」

2m──正しくは、魅了やらの魔法を使用しているであろう人物の半径1m以上らしい。

ーそんなに近付かなければならないのかー

きっと、が、聖女と第三王子の距離が近かった理由なんだろう。

「それと、念の為、3日置きにメンテナンスを兼ねて、魔具の状態を確認させて下さい。実際、魔具を使うのは初めてですから、これからの研究の為にも記録を取りたいので…。」

と、アデル様が言うと

「ならば、ここを利用すると良い。ここなら許可された者以外は決して入る事はできないから。」

と、モンテルアーノ様が頷いた後、ダレルさんと私も頷いた。






ある程度、これからの話がついた後「それでは、私はお先に失礼させていただきます。」と軽く頭を下げてから、アデル様は帰って行った。

「本当に、スペイシー家は聡明な方が多いですね。」
「ダレルさんは、スペイシー家とは…何か関係があるんですか?」

そう言えば、アデル様とダレルさんは知り合いのような感じだった。

「特に何か関係がある訳じゃなくて、私が城付きの魔道士だった頃に、スペイシー家の人達と魔具について話し合ったりしていたから。」

ーなるほど。ダレルさんも、かなりの実力があるって事…だよね?ー

兎に角、ルシエント様がああなってしまって不安だったけど、ダレルさんが居てくれるし、何より─この魔具がある。父達の思いが込められた魔具。


今世は独りじゃない──


そう思うと、あの聖女の瞳を目にしても大丈夫なような気がした。






❋エールを頂き、ありがとうございます❋
*。ヾ(。>v<。)ノ゙*。


しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。 この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。 そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。 ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。 なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。 ※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。

運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。

ぽんぽこ狸
恋愛
 気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。  その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。  だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。  しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。  五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

聖女の妹、『灰色女』の私

ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。 『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。 一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?

処理中です...