恋愛は見ているだけで十分です

みん

文字の大きさ
52 / 61
第四章ー未来へー

アディー

しおりを挟む
❋本日も、2話更新します❋











は、僕が騎士になって、守ってあげる。』
『ありがとう、
『僕は、アディーの為だけの騎士だから。』





『アドリーヌが…悪いんだ。俺を……見捨てたから……』

『好きだったのに───』




モノクロだった景色が一気に色付く。

アディーわたしを守ってくれると言ってくれたのは、私が好きだった人だ。
そして、アドリーヌわたしを殺めたのも、私が好きだった人だ。


『アディー』

彼だけが呼ぶ、アドリーヌわたしの呼び名だった。そう呼ばれる度、私は彼の特別なんだ──と嬉しかった。彼と結婚すれば幸せになれる─そう思っていた。

それが、いつからか、彼は私の事を『アドリーヌ』と呼ぶようになった。学園内では、よく聖女ローゼと居る所を見かけるようになった。

ー彼はただ、聖女を守っているだけだー

私は……聖女ローゼを憐れみ、現実から目を背けていただけなのかもしれない。彼の心が私から離れている事を認めたくなくて、ローゼを憐れんでいたのかもしれない。


『アディー……』

最期の間際に、そう名を呼ばれたような気もするけど……今となっては分からない。

ただ───


私の好きだった、彼の琥珀色の瞳は涙で揺らめいていた。その瞳が、とても怖ろしいものに見えた。








「アディー!」


そう呼ぶのは、ダレルさん──


ーどうして?ー


どうして、ダレルさんがナディアわたしをそう呼ぶのか───

ダレルさんが…アドリーヌの元婚約者であり、アドリーヌを殺めた本人─リオネル=ガレイシーだったから?


そのダレルさんは、この部屋に入るのと同時に無効化の魔法を展開させた。それは、圧倒的な魔法だった。シェイラの魔力を遥かに凌駕する魔力。
シェイラが仕掛けた魔法は、一瞬にしてダレルさんの展開させた魔法で無効化され、体に纏わり付きかけていた嫌な感覚も無くなった。

ーこれ程までとは…思わなかったー

「─っ!!何で────!?」
「その名前で呼ぶな!」

「──っ!」

いつも穏やかなダレルさんが、シェイラに対して怒りを隠す事もなく睨みつけている。それでも、その名を否定しないと言う事は、ダレルさんが、リオネル=ガレイシーだった─と言う……事で………アドリーヌわたしを殺めた本人だ。

「私は………お前が憎くて……たまらない。その口で、その名前を呼ぶな!」 
「リ─っ……ダレ……ル先生……」

更に名前を呼ぼうとしたシェイラを、ダレルさんは更にシェイラを睨みつけた。

「……“リオネル”?」

私を抱きしめたまま2人のやり取りを見ているモンテルアーノ様は、何が何だか分からない─困った様な顔で呟いた。

ーモンテルアーノ様には分からないよねー

これまでの話から推測すると、シェイラは、私がアドリーヌだった事も、記憶を持っている事も気付いていないけど、ダレルさんは、私がアドリーヌだった事には気付いている。記憶を持っているとは気付いていないようだけど。それなら……知らないフリをするべきなんだろうか?

「──ナディア、大丈夫かい?」

先程とは違い、いつも通りの優しいダレルさんの声だ。少し俯いていた顔を上げてダレルさんを見上げると、そこには茶色の瞳が不安げに揺れて私を見ていた。

「──っ!」

不意にその瞳が目に入り、私は思わず息を呑んでモンテルアーノ様の服を握りしめてしまった。
そんな私の様子を見たダレルさんは、驚いたように目を少し見開いた後「兎に角…そこに寝転んでる2人と、ペイトリン嬢をどうにかして、ここから出ましょう。」と、私達を促した。







その日は、私は問答無用で王城へと連れて来られた。

しかも──モンテルアーノ様の抱っこ付きで。

「歩けます!下ろしてください!」と必死にお願いしたけど「まだ魔力が安定していない。」「ナディアを抱き上げていた方が、安心するから。」なんて言われて、結局最後まで下ろしてもらえず……城中の人達に「やっぱり…」「本当だったのね」と言うような目で見られた。

ーもう、あの噂は噂ではなくて、真実にしかならないよね!?ー

「ちょっと……いや、かなり、腹黒くないですか!?」
「褒め言葉として受け取っておくよ。」
「褒めてません!責めてるんです!」
「もう、落ちた方が…楽だぞ?」
「楽って何ですか!?」
「くくっ……それだけ元気なら……大丈夫か?」
「あ…………」

さっきまでの揶揄い顔から一転、優しくて微笑んで私の頬をスルッと撫でていく。

ーその手つき、慣れてますね?ー

心の中で少しだけ悪態をつきつつも、その心遣いは嬉しいものだった。

「あの…モンテルアーノ様、助けていただいて、本当にありがとうございました。でも…どうしてあんなにも早く、場所が分かったんですか?」

実は、もう夜になっている─と思っていたけど、まだ夕方で、私が攫われてからあまり時間は経っていなかったのだ。攫われた場所が、学園敷地内にある森の最奥にある小屋で、森の中にあった為に薄暗かっただけだったのだ。







❋感想やエールを頂き、ありがとうございます❋
♪₍₍ ٩( *ˊ ᵕ ˋ*)و ⁾⁾♪



しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

若い頃に婚約破棄されたけど、不惑の年になってようやく幸せになれそうです。

長岡更紗
恋愛
侯爵令嬢だったユリアーナは、第一王子のディートフリートと十歳で婚約した。 仲睦まじく過ごしていたある日、父親の死をきっかけにどん底まで落ちたユリアーナは婚約破棄されてしまう。 愛し合う二人は、離れ離れとなってしまったのだった。 ディートフリートを待ち続けるユリアーナ。 ユリアーナを迎えに行こうと奮闘するディートフリート。 二人に巻き込まれてしまった、男装の王弟。 時に笑い、時に泣き、諦めそうになり、奮闘し…… 全ては、愛する人と幸せになるために。 他サイトと重複投稿しています。 全面改稿して投稿中です。

そろそろ前世は忘れませんか。旦那様?

氷雨そら
恋愛
 結婚式で私のベールをめくった瞬間、旦那様は固まった。たぶん、旦那様は記憶を取り戻してしまったのだ。前世の私の名前を呼んでしまったのがその証拠。  そしておそらく旦那様は理解した。  私が前世にこっぴどく裏切った旦那様の幼馴染だってこと。  ――――でも、それだって理由はある。  前世、旦那様は15歳のあの日、魔力の才能を開花した。そして私が開花したのは、相手の魔力を奪う魔眼だった。  しかも、その魔眼を今世まで持ち越しで受け継いでしまっている。 「どれだけ俺を弄んだら気が済むの」とか「悪い女」という癖に、旦那様は私を離してくれない。  そして二人で眠った次の朝から、なぜかかつての幼馴染のように、冷酷だった旦那様は豹変した。私を溺愛する人間へと。  お願い旦那様。もう前世のことは忘れてください!  かつての幼馴染は、今度こそ絶対幸せになる。そんな幼馴染推しによる幼馴染推しのための物語。  小説家になろうにも掲載しています。

皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。 この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。 そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。 ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。 なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。 ※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。

運命に勝てない当て馬令嬢の幕引き。

ぽんぽこ狸
恋愛
 気高き公爵家令嬢オリヴィアの護衛騎士であるテオは、ある日、主に天啓を受けたと打ち明けられた。  その内容は運命の女神の聖女として召喚されたマイという少女と、オリヴィアの婚約者であるカルステンをめぐって死闘を繰り広げ命を失うというものだったらしい。  だからこそ、オリヴィアはもう何も望まない。テオは立場を失うオリヴィアの事は忘れて、自らの道を歩むようにと言われてしまう。  しかし、そんなことは出来るはずもなく、テオも将来の王妃をめぐる運命の争いの中に巻き込まれていくのだった。  五万文字いかない程度のお話です。さくっと終わりますので読者様の暇つぶしになればと思います。

ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜

嘉神かろ
恋愛
 魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。  妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。  これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

聖女の妹、『灰色女』の私

ルーシャオ
恋愛
オールヴァン公爵家令嬢かつ聖女アリシアを妹に持つ『私』は、魔力を持たない『灰色女(グレイッシュ)』として蔑まれていた。醜聞を避けるため仕方なく出席した妹の就任式から早々に帰宅しようとしたところ、道に座り込む老婆を見つける。その老婆は同じ『灰色女』であり、『私』の運命を変える呪文をつぶやいた。 『私』は次第にマナの流れが見えるようになり、知らなかったことをどんどんと知っていく。そして、聖女へ、オールヴァン公爵家へ、この国へ、差別する人々へ——復讐を決意した。 一方で、なぜか縁談の来なかった『私』と結婚したいという王城騎士団副団長アイメルが現れる。拒否できない結婚だと思っていたが、妙にアイメルは親身になってくれる。一体なぜ?

処理中です...