終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん

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庭の整備を終え、俺たちは改めて周囲の状況を確認した。

「……ここ、意外と開けてるな」

藤木が周囲を見渡しながら呟く。確かに、旅館の裏庭は広めの敷地になっていて、手入れが行き届いていた時期があったのが分かる。ただ、周囲には特に高い塀や柵があるわけでもなく、森や山に面しているため、完全に安全とは言えない。

「今のところは静かだな」高橋が斧を肩に担ぎながら言う。「でも、ここに長くいるなら、いずれ何かしらの対策は必要になる」

「ゾンビが森から降りてきたら、すぐにここに入り込めるな」斉藤が厳しい顔をする。「バリケードを作るか、警戒網を張るかしないと、いつか後ろから襲われることになるかもしれない」

「でも、現時点では、すぐに危険ってわけじゃなさそうだ」と俺は言う。

安田がしゃがんで土を触りながら、「まあ、しばらく様子見って感じか?」と軽く言う。「今のところ足跡とか、何か荒らされた形跡はないし、人が出入りした感じもしねえ。ゾンビがここに来る理由がないなら、しばらくは大丈夫なんじゃね?」

「ただし、外部から人間が来る可能性はあるな」藤木が指摘する。「この旅館を誰かが見つけたら、避難場所として入り込もうとするかもしれない」

「そのときは交渉するしかないな。問題は、それが善意の人間かどうかだけど」

俺たちはしばらく庭を見渡していたが、今のところは異変もなく静かだった。

「とりあえず、庭は使えそうだな」俺は一度まとめる。「危険がないとは言えないけど、目立つ行動をしなければ、すぐに見つかることはなさそうだ」

「しばらくは様子見でいいか」藤木が頷く。「何か変化があったら、そのとき考えよう」

俺たちは農作業を終えた庭をもう一度眺め、再び旅館の中へ戻ることにした。しばらくはここを拠点にする。ならば、少しでも安全を確保しながら、できることを進めるしかない。

旅館に戻った俺たちは、少しずつ生活環境を整えていくことにした。

「せっかくここを拠点にするんだから、少しでも快適にしないとな」

藤木がそう言って、座敷の片隅に座布団を並べる。宴会場を寝泊まりするスペースにすることは決めていたが、昨夜はとにかく疲れ果てて、そのまま寝袋に包まるだけだった。

「部屋ごとに役割を決めるのもアリかもな」斉藤が言う。「この宴会場を寝床にするとして、食事を作るスペース、物資を保管する場所、道具を置く場所……ある程度分けた方が管理しやすい」

「確かに。適当に置いとくと、いざってときに必要なものがどこにあるか分からなくなるしな」俺も賛成する。「食事スペースは、さっきの小さい給湯室を使えばいいんじゃないか?」

「ああ、昨日確認したとこか。ガスは止まってるけど、食器や調理器具は使えそうだったな」

「だったら、燃料と火をどうするか考えないと。薪を集めてくるか、何か代用できるものを探すか……」

高橋が少し考えてから、「旅館の倉庫に古い炭があった。あれが使えれば、当面の火は確保できる」と言った。

「マジか、それは助かるな」安田が嬉しそうに言う。「あとは水か……これは明日、井戸をちゃんと調べてからだな」

「じゃあ、今日は使いやすいように整理するのがメインか」

俺たちはそれぞれ作業を始めた。

宴会場の隅に荷物をまとめ、必要なものを取りやすくする。座布団や毛布を集めて寝床を少しでも快適にする。調理スペースには食器を並べ、使いやすいように工夫する。

「こういうの、なんか合宿みたいだな」安田が苦笑しながら座布団を積み重ねた。

「まあ、実際はサバイバルだけどな」

藤木が床を掃除しながらぼそっと言う。「でも、少しずつ整えていけば、ここでの生活もなんとかなるかもしれない」

「長くいるつもりか?」

「分からん。でも、どうせどこへ行っても混乱してるなら、今はここを拠点にした方がいい」

俺たちは黙々と作業を続けながら、少しずつ旅館を「住める場所」にしていった。

とりあえず、今日は最低限の環境を整えるところまで。明日は水の確保や、外部の状況の確認が必要だ。

旅館の外はまだ静かだった。
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