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俺たちは手分けして旅館内の水道を確認していった。増改築を繰り返した結果、複雑な構造になっているため、水道管がどこまで生きているか分からなかった。
「こっちは全滅だな」
広間近くの蛇口を試したが、どれも乾いていて、ひねっても何の反応もない。厨房の流しも同様で、完全に断水しているようだった。
「このままじゃ、風呂どころか生活用水も厳しいな……」
俺は少し焦りながらも、ふと思い出した。旅館の奥にある一番古い部分──そこには、五右衛門風呂があったはずだ。
「増築前の部分なら、別の水源を使ってるかもしれない」
俺たちは懐中電灯を手に、旅館の奥へと向かった。板張りの廊下を進み、朽ちかけたふすまを開けると、そこには古びた洗い場があった。
「……ここ、昔のまま残ってるんじゃね?」
藤木が蛇口に手を伸ばし、慎重にひねる。
すると──ゴボゴボッ……!
一瞬の空気音の後、勢いよく水が吹き出した。
「出た!」
俺たちは思わず顔を見合わせた。水は少し濁っているが、しばらく流し続けると透明になってきた。
「ここ、地下水を使ってるんじゃないか?」
「ありえるな。増築される前は、山からの湧き水を引いてたのかも」
「しかも、ちょうど五右衛門風呂の近くだ。これなら風呂に使える」
俺たちは安堵の息をついた。旅館全体の水道は止まっていても、ここだけは独立した水源が生きている。
「この水を使えるなら、風呂問題はなんとかなるな」
「薪と鍋を持ってきて、沸かせるか試してみよう」
「水の確保もできるし、これはデカいぞ」
さっそく準備を始めることにした。今の俺たちにとって、風呂は単なる贅沢じゃない。清潔を保ち、体力を維持するためにも、必要不可欠な要素だった。
「よっしゃ! 風呂入れるぞ!」
風呂の整備を終えた。俺たちはもう汗だくである。安田がテンション高く声を上げ、両手に何かを掲げた。
「……お前、それ何?」
藤木が怪訝な顔で見ると、安田は満面の笑みで答えた。
「いい匂いのする入浴剤と、ボディソープとシャンプー! しかも、フローラルの香り付き!」
「……どこから持ってきた?」
「スーパーの買い出しの時に、ちゃっかりカゴに入れといたんだよ。こういうのがあると、気分がアガるだろ?」
俺たちは一瞬呆れたが、確かに数日ぶりの風呂に入れるとなれば、匂いなんてどうでもいいと言いたくなる状況ではない。むしろ、ちょっとした贅沢ができるのは嬉しいかもしれない。
「まあ、せっかくだから使うか……」
「よし、それじゃあ俺から──」
安田がシャツを脱ぎかけた瞬間、全員の動きが止まった。
「……いや、なんでお前が先なんだよ」
「順番は決めようぜ」
「あと、待て。お前、ちょっと太った?」
「失礼な! これは貯蓄だ!」
安田が誇らしげに自分のぽっちゃりボディを叩いた。
「生存において、脂肪は重要な備えなのだよ! 俺みたいなタイプは、飢えに強いんだからな!」
「知らねえよ……」
藤木が呆れながらため息をついた。
「まあ、順番は公平に決めるとして、とりあえず湯を沸かそう」
高橋が薪をくべながら言う。「五右衛門風呂は時間がかかる。ゆっくり待とうぜ」
「その間に、風呂場の掃除でもするか」斉藤が冷静に提案した。「せっかく久々に風呂に入れるんだ、汚れたままじゃもったいない」
「そんじゃ、俺は香りの調整を担当するわ!」
安田は意気揚々と、入浴剤を取り出した。
こうして俺たちは、本格的に風呂の準備を始めた。 久しぶりに温かい湯に浸かれると思うと、妙にワクワクしてくる。
やがて湯がしっかりと温まり、旅館にほのかなフローラルの香りが広がり始めた。
「こっちは全滅だな」
広間近くの蛇口を試したが、どれも乾いていて、ひねっても何の反応もない。厨房の流しも同様で、完全に断水しているようだった。
「このままじゃ、風呂どころか生活用水も厳しいな……」
俺は少し焦りながらも、ふと思い出した。旅館の奥にある一番古い部分──そこには、五右衛門風呂があったはずだ。
「増築前の部分なら、別の水源を使ってるかもしれない」
俺たちは懐中電灯を手に、旅館の奥へと向かった。板張りの廊下を進み、朽ちかけたふすまを開けると、そこには古びた洗い場があった。
「……ここ、昔のまま残ってるんじゃね?」
藤木が蛇口に手を伸ばし、慎重にひねる。
すると──ゴボゴボッ……!
一瞬の空気音の後、勢いよく水が吹き出した。
「出た!」
俺たちは思わず顔を見合わせた。水は少し濁っているが、しばらく流し続けると透明になってきた。
「ここ、地下水を使ってるんじゃないか?」
「ありえるな。増築される前は、山からの湧き水を引いてたのかも」
「しかも、ちょうど五右衛門風呂の近くだ。これなら風呂に使える」
俺たちは安堵の息をついた。旅館全体の水道は止まっていても、ここだけは独立した水源が生きている。
「この水を使えるなら、風呂問題はなんとかなるな」
「薪と鍋を持ってきて、沸かせるか試してみよう」
「水の確保もできるし、これはデカいぞ」
さっそく準備を始めることにした。今の俺たちにとって、風呂は単なる贅沢じゃない。清潔を保ち、体力を維持するためにも、必要不可欠な要素だった。
「よっしゃ! 風呂入れるぞ!」
風呂の整備を終えた。俺たちはもう汗だくである。安田がテンション高く声を上げ、両手に何かを掲げた。
「……お前、それ何?」
藤木が怪訝な顔で見ると、安田は満面の笑みで答えた。
「いい匂いのする入浴剤と、ボディソープとシャンプー! しかも、フローラルの香り付き!」
「……どこから持ってきた?」
「スーパーの買い出しの時に、ちゃっかりカゴに入れといたんだよ。こういうのがあると、気分がアガるだろ?」
俺たちは一瞬呆れたが、確かに数日ぶりの風呂に入れるとなれば、匂いなんてどうでもいいと言いたくなる状況ではない。むしろ、ちょっとした贅沢ができるのは嬉しいかもしれない。
「まあ、せっかくだから使うか……」
「よし、それじゃあ俺から──」
安田がシャツを脱ぎかけた瞬間、全員の動きが止まった。
「……いや、なんでお前が先なんだよ」
「順番は決めようぜ」
「あと、待て。お前、ちょっと太った?」
「失礼な! これは貯蓄だ!」
安田が誇らしげに自分のぽっちゃりボディを叩いた。
「生存において、脂肪は重要な備えなのだよ! 俺みたいなタイプは、飢えに強いんだからな!」
「知らねえよ……」
藤木が呆れながらため息をついた。
「まあ、順番は公平に決めるとして、とりあえず湯を沸かそう」
高橋が薪をくべながら言う。「五右衛門風呂は時間がかかる。ゆっくり待とうぜ」
「その間に、風呂場の掃除でもするか」斉藤が冷静に提案した。「せっかく久々に風呂に入れるんだ、汚れたままじゃもったいない」
「そんじゃ、俺は香りの調整を担当するわ!」
安田は意気揚々と、入浴剤を取り出した。
こうして俺たちは、本格的に風呂の準備を始めた。 久しぶりに温かい湯に浸かれると思うと、妙にワクワクしてくる。
やがて湯がしっかりと温まり、旅館にほのかなフローラルの香りが広がり始めた。
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