終焉列島:ゾンビに沈む国

ねむたん

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朝、旅館の広間でみんなが集まり、今日の作業について話し合っていた。

「そろそろ保存食のバリエーションを増やしたいよな」

藤木が腕を組みながら言う。

「そうだな。せっかく鹿肉があるんだし、なるべく長く持たせたい」

「干し肉にするのもいいけど、もうひとつ、いい方法があるよ」

田辺さんが微笑みながら言った。

「なんすか? なんかまた山の知恵?」

安田が興味津々に身を乗り出す。

「燻製さ」

「燻製……!」

「そうだねぇ。燻製にすれば、肉の水分が抜けるし、煙の成分が防腐剤の役割をしてくれるから、長持ちするんだよ」

「確かに! しかも燻製肉ってうまいんだよな!」

安田がテンションを上げる。

「でも、燻製ってどうやって作るんだ?」

斉藤が首を傾げると、田辺さんが「フフン」と得意げな顔をする。

「旅館にあるもので作れるよ。座卓、金網、濡れタオル、それと七輪か焚き火があればね」

「座卓!? そんなので燻製器になるのか?」

「なるさ。座卓を立てて箱みたいにして、中に煙を閉じ込めるのさ。あとは、肉を金網や紐で吊るして、下で燻せば完成。簡単だろ?」

「おお……なるほど」

俺たちは顔を見合わせる。

「それなら俺らでもできそうだな」

藤木が頷く。

「そうだね。木のチップも、確かストックがあったはず」

「お、マジ? 何の木?」

「サクラとナラだったかな。旅館の薪置き場に、チップ状になってるやつがあった」

「おお、それなら香りもいい感じになりそう!」

「あと、燻製する前に肉を塩漬けにしたほうがいいよ。しっかり塩抜きしてから燻せば、味も良くなるし、保存性も上がる」

「なるほどな……」

「よし、じゃあ燻製作り、始めるか!」

俺たちは早速、旅館にある道具をかき集め、座卓スモーカーの製作に取り掛かった。

燻製の作業を進める前に、田辺さんが指を立てて説明した。

「さて、燻製には大きく分けて冷燻・温燻・熱燻があるけど、今回は温燻にするよ」

「おお、温燻?」

安田がすでに興味津々の顔をしている。

「日持ちさせるなら、低温でじっくり燻す温燻がいいんだ。熱燻は短時間で香りづけできるけど、水分が残るから長期保存には向かないのさ」

「じゃあ、温燻が一番いいってことか?」

藤木が頷く。

「そうだねぇ。冷燻ってのもあるけど、これはさらに時間がかかるし、環境を整えないといけないから、今の俺たちにはちょっと厳しい。温燻なら半日くらい燻せば十分だし、保存性も上がるよ」

「なるほどな……」

「塩漬け→塩抜き→乾燥→燻製、この流れでやれば、しっかり保存が効く肉になるよ」

「おっしゃ、やるぞ!」

***


俺たちは座卓を数枚持ち出し、田辺さんの指示に従いながら燻製用の囲いを作った。

「この座卓を縦に立てて……うん、これで箱型になったね」

田辺さんが満足そうに頷く。

「隙間はどうする?」

「濡れタオルで塞ぐよ。煙が逃げすぎないようにね」

「なるほど」

俺たちはタオルを適当に濡らし、隙間に詰め込んでいった。上部も覆うことで、煙が適度にこもるようにする。

「次は火の準備だねぇ」

七輪を用意し、木のチップをくすぶらせる。

「火は強くしすぎるなよ。ゆっくり燻さないと、ただの焼き肉になっちまうからな」

高橋が慎重に火の調整をしながら、サクラのチップを少しずつ加えていく。

「おお、いい香りしてきた!」

安田が鼻をくんくんさせる。

「でも、まだ肉は入れられないよ。まずは煙を安定させて……よし、準備完了」

「じゃあ、肉をセットするか!」

***


俺たちは塩漬けしておいた鹿肉を、金網の上に並べたり、紐で吊るしたりして配置した。

「できるだけ肉同士がくっつかないように……こんな感じかな?」

「そうそう、それでいいよ」

田辺さんが確認しながら、最後の調整をする。

「よし、これであとは煙を調整しながら2~3時間燻すだけ」

「長ぇな……でも、完成したら保存がきくんだもんな」

「そうだね。しっかり燻せば数週間~1ヶ月は持つよ」

「マジか!?」

「そのままでも食べられるし、スープにしたり、細かくしてチャーハンに入れたり、いろいろ使えるよ」

「最高じゃねぇか……」

俺たちはスモーカーの前に座り込み、火加減を調整しながらじっくりと燻製を進めた。

チップの香りが煙とともに立ち上り、旅館の庭に広がる。

「……出来上がるのが楽しみだな」

「うん……」

俺たちはワクワクしながら、燻製が完成するのを待つことにした。
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