神様自学

天ノ谷 霙

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10月16日 誤解、すれ違い

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羅樹と気まずい距離が開いて、ほぼ2週間。向き合うのが怖くて、誤魔化してきた。行きも帰りも時間が合わなかったから、何の関わりもなくほとんど喋らずにいた。だから無警戒で、下駄箱で靴を履いた。顔を上げると、羅樹が目の前の柱に寄りかかって待っていた。
「夕音」
優しい大好きな声。もうずっと聞いていないような気がする。真剣な声が、耳に響いて少し痛い。
「羅、樹」
視界が定まらない。目を合わせられない。厳しい表情の羅樹が怖い。周りの人の声も聞こえない。いや、誰もいない。私と羅樹だけ。
羅樹は大きく深呼吸をして、私をまっすぐに見つめた。覚悟を決めたように。待って。私はまだ、覚悟が出来ていない。逃げていたから。嫌い、とはっきり言われたら、きっと私は立ち直れない。
「…ごめんなさい!!」
「…はぅえ?」
思ってたのと違う言葉に、思わず変な声が出た。後から考えると恥ずかしくて穴があったら入りたい。そのまま出たくない。
「夕音、彼氏さんいたんだね…」
唐突な羅樹の言葉に、私の思考は停止する。そんな私にお構いなしに羅樹は言葉を続ける。
「ずっと気付かなくてごめん…びっくりしちゃって、確認するのも『今さら?』とか言われたら怖かったし、なんか気まずくて…」
「…待って待って待って!?私に彼氏なんていないよ!?」
「えぇ!?」
「えぇ!?」
羅樹の真剣な表情が、びっくりしたものに変わり、私も釣られて驚く。数秒硬直した後、お互いに笑い始めた。
「どこでそんな勘違いしたのよ…私は生まれてこのかた彼氏なんて出来たことないわよ…」
「え?本当?」
「こんな悲しい嘘つかないわよ」
「そっかぁ…??なんか前に、男の子と休日に一緒にいなかった?僕らの高校じゃない…赤っぽい制服の…暗くてよく見えなかったんだけど」
赤っぽい制服の男の子。休日に一緒にいた。もしかして、蓮乃くん?
「あ、あ~!?夜?」
「う、うん。夜」
「彼氏なんかじゃないよ!前に神社で、その子の双子のお姉さんと会ったことがあって…眞里阿、辻さんの友達だったのよ。その子達の文化祭に行って来て、神社に来るっていうから案内して…辻さんとお姉さんの方は遊びたいみたいだったから、私とその子の2人で来ただけで…」
神様のことを隠すために、少しだけ嘘をついた。出来るだけ本当のことを話したかったが、神様のことを話したところで、信じるわけないけど。
「そっか」
羅樹が安心したように、微笑んだ。その表情に、胸がきゅうっとなる。
「あ、じゃあまた一緒に帰れる?」
「帰れるよ。というより、私が羅樹に嫌われたのかと思ったわ」
「えぇ!?そんなことないよー!」
「分かんないじゃない、不安だったんだから」
「ごめんってばー!」
笑い声混じりに会話しながら、私は羅樹と一緒に歩き始めた。
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