神様自学

天ノ谷 霙

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病弱complex 利羽

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私は生まれつき体が弱かった。両親にも、親戚にも裏でヒソヒソと噂されるくらいには、疎ましく思われていたのだと思う。だからか、心は強く育った。何を言われてもさして動じないくらいには、強く。でもあまり心が強く育っていない、まだ小さい頃の記憶。病院の真っ白な記憶が、私の奥底に眠っていた。
~*~*~*~*~*~*~*~*~*~
「今日は、脈拍も安定していますね」
「ありがとうございます。」
あまり関わりたくなくて身につけた敬語で、会話を切る。色素の薄い、淡い髪を指先ですいて、窓を見る。
初夏。青空が写真のように綺麗に広がり、電線に鳥が止まっている様子が見える。ちちっと一声鳴くと、親の元か子の元か帰って行った。そんな様子を見て寂しさを感じる。他人ヒトには心を動かされない私は、鳥や別の生き物に心を奪われていた。
「利羽ちゃん、今日は外に出ても大丈夫かもしれませんね」
女医がそう呟いたのを聞いて、0.1秒で振り返る。
「外に!?良いの!?」
そこで目を輝かせて、二言を認めない程には私もまだ子供だった。
「えぇ。心配をかけてしまうからお母さんには内緒ね?」
少しふっくらとした女医はウインクをして、いたずらっぽく微笑んだ。私もつられて笑う。
「でも、どうやって出るの…ですか?」
「そうねぇ。利羽ちゃん、一回立ってみてくれる?」
「え、えぇ。」
ゆっくりと足を動かして立ち上がる。少しふらつくものの、歩けるような状態だった。
「それなら大丈夫かしらね。歩いて行ってみる?」
「行きたい!!…です」
「ふふっ、良いわよ。行きましょうか」
優しく目尻にしわを寄せて微笑む。私は嬉しくて出来るだけ急ごうとした。

ほとんど初めて、自分の足で出た外は思っていたよりもキラキラしていた。
真上に広がる綺麗な青い空。はじにちょこんっといる雲。芝生はもふもふしていて、触るとたまにチクっと刺してくる。蝉の声は耳に直接響いてきてうるさい。噴水の水が近くの地面をも濡らしている。
どれもが初めて直接見て、直接感じている。
幸せ。生き物の息吹を感じられて、私はこれほどまでに幸せだ。大人の退屈な会話も、いつも見ている病院の天井も、痛い注射も、全てを忘れられる。私を連れてきてくれた女医さんは、ぷくぷくしたほっぺを上に上げてにっこり笑っている。ベンチに腰掛けて、私のことをちゃんと見てくれている。
「ねぇ女医さん。私、今幸せだわ!」
「そう?それは良かったわ」
にこにこと笑って会話をする。遠くに、花束を抱えた男の子が見えた。
「私、少しあっちへ行くわ」
「あら、じゃあ…あまり遠くないわね。ここにいるわ」
「うん!行ってきます」
私は、そう言って急いで男の子の元へ向かった。
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