神様自学

天ノ谷 霙

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12月17日 不調の原因

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急激な体調変化と共に、熱も上がっていたらしい。眞里阿に連れて行ってもらった保健室で、即刻早退の命令が下った。私も息苦しくて辛かったし、このまま授業を受けられそうにもなかったので特に反論もせずそのまま受け入れる。ただ、脳内に残響しているあの声が気になるだけだ。焦り混じりの稲荷様の声。それが私の脳内にいきなり響いたことが気になっていた。あの様子なら、すぐに行った方が良いだろう。親に迎えに来てもらうかどうかの問いにNOと答えて、私はふらふらした体を何とか立たせる。帰り支度はいつの間にか眞里阿が済ませて、私の側にはいつもの登校鞄が最少限度の荷物と共に置いてあった。
「気を付けなさいね」
「はい、ありがとうございました」
軽くお辞儀をして、そのまま校門を出る。駅に向かう途中にある神社に、呼び寄せられるように無意識に入って行った。いつもの案内役の狐に連れられ、恋使の姿に変える。その際、少しだけ疲れが楽になったように感じた。稲荷様の待つ場所に着くと、稲荷様は驚いたように私を見た。
「ゆ、夕音!?お主、体調が…あぁもうこちらへ来い!○×*、早く休ませろ!」
恐らく狐の名前であろうその箇所は、私のヒトの耳では聞こえないものだった。ノイズがかかったように聞こえ、その箇所だけ耳が上手く機能しなかった。狐達がせっせと準備した布団に、私は寝転がらされる。
「何故無茶をする…確かに神社に来いとは言ったが、そのような状態で来ることは無かったのに…」
心配そうに私の顔を覗く稲荷様。私はふっと微笑んで言葉を返す。
「あまりに焦りの混じった声だったので…」
「馬鹿者…わたしのことなど、後回しで良いのだ…」
「ふふ、ごめんなさい」
あまりに心配そうな顔をするものだから、嬉しくなってしまう。そのような顔をさせるくらい、私の存在が大きいのだと言ってくれているように感じられる。それは何か問題点があったはずだけど、もやがかかったような半停止状態の思考回路では思い出せなかった。
「あまり遅くなると主の親に心配をかけよう、手短に話す」
「はい」
急に真剣になった稲荷様の目に、私はごくりと唾を飲み込む。
「…主の命が、姉神様に盗られようとしている」
前後の無いその言葉が、私は最初理解出来なかった。けれど実感として、心の奥の方ではストン、と何かが腑に落ちた。私が聞き返すよりも先に、困ったような表情で言葉を続ける稲荷様。
「主の最近の体の不調は、恐らく姉神様の仕業であろう。ただ…」
「ただ?」
私が不思議そうに視線を送ると、稲荷様は首を振って、何でもない、と答えた。
「少しその不調を肩代わりする。目を瞑って少しだけ、わたしに委ねてくれ」
目を瞑った私の額に、稲荷様の手が触れる。吸い取られるような感覚と共に、楽になった気がした。
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