69 / 812
言葉SOS 千夏
しおりを挟む
私はお父さんを信用していない。私を捨てて出て行ったんだ、そう信じて疑わなかった。知らなかったんだ、巻き込まれたなんて。
私は、サイテーだ。何してるんだ。肉親すらも信用出来ない人間が、誰かを愛せる筈が無い。助けて貰おうなんて、都合が良すぎる。
チャキッ…
鋏を開く音がする。自分を傷付けるのが怖くて、痛いのが怖くて身体に傷はつけられない。だから、手頃な硬い紙に鋏を向ける。
ボロボロになった紙を見て、私はまた嗚咽を漏らし泣き始めた。
涙が止まらない。こんな顔で授業を受けるなんてしたくなくて、サボってしまった。体育倉庫の、入口から死角の独りの場所。安心出来る。
ザワザワ聞こえる声が耳鳴りのように私の耳に伝わってくるけど、そんなの聞こえない。聞きたくない。声なんていらない。
「ちーかーちゃん?」
ビクッ
何故?私がいる事を知ってるの?稲森さん…?口が震えて動かない。
「雨の気配がする…」
雨?と聞きたかったけど何故か聞けなかった。代わりに嗚咽が漏れる。
何か知らないけど、稲森さんの側は安心する。
温かい…。けど駄目だ。私に人を愛す資格は無い。
「私になんて興味無いでしょ、関わらないでよ…」
また自然とつく悪態。声にならない声。
「大丈夫。それでも貴方を見つけ出す」
目を真っ直ぐ見て言ってくれた稲森さん。涙目だった私の瞳は、自然と稲森さんに吸い寄せられていた。
少し切なげな顔を見せた稲森さんは、次の瞬間太陽みたいな笑顔に切り替わった。
「さ、行こう!千夏ちゃん」
腕を強く引っ張られた。もう、何かが切れた。
「ぅあぁぁあん!!」
大泣きしてしまった。抱き付いてしまった。稲森さん、困るよね?ごめんね…。
ふわっと、柔らかい物が頭の上に乗った。どうやら撫でられているようだ。
「どうしたの千夏!?」
「何してるのー?」
「し、心配かけんなよな!?俺はしてないけど!!」
「海斗…正直に言えよ」
「千夏を傷付けたのは誰だ!私か!?」
「何言ってるの霙」
花火や利羽、海斗に雪、霙と明が話しかけてくれた。
皆に助けて貰えたよ。良かった。
次は私が助けられるようにしたいな。
そう思いながら私は稲森さんの手を握った。
「私も皆を見つけられるかな」
稲森さんは綺麗な笑顔で大きな声で言った。
「うん!できるよ!」
私はその言葉が自信と勇気をくれて、大切な言葉として胸に刻まれた。
「ありがとう、みんな」
素直になれた一度の経験は、本当に温かく私の中で生きている。
私は、サイテーだ。何してるんだ。肉親すらも信用出来ない人間が、誰かを愛せる筈が無い。助けて貰おうなんて、都合が良すぎる。
チャキッ…
鋏を開く音がする。自分を傷付けるのが怖くて、痛いのが怖くて身体に傷はつけられない。だから、手頃な硬い紙に鋏を向ける。
ボロボロになった紙を見て、私はまた嗚咽を漏らし泣き始めた。
涙が止まらない。こんな顔で授業を受けるなんてしたくなくて、サボってしまった。体育倉庫の、入口から死角の独りの場所。安心出来る。
ザワザワ聞こえる声が耳鳴りのように私の耳に伝わってくるけど、そんなの聞こえない。聞きたくない。声なんていらない。
「ちーかーちゃん?」
ビクッ
何故?私がいる事を知ってるの?稲森さん…?口が震えて動かない。
「雨の気配がする…」
雨?と聞きたかったけど何故か聞けなかった。代わりに嗚咽が漏れる。
何か知らないけど、稲森さんの側は安心する。
温かい…。けど駄目だ。私に人を愛す資格は無い。
「私になんて興味無いでしょ、関わらないでよ…」
また自然とつく悪態。声にならない声。
「大丈夫。それでも貴方を見つけ出す」
目を真っ直ぐ見て言ってくれた稲森さん。涙目だった私の瞳は、自然と稲森さんに吸い寄せられていた。
少し切なげな顔を見せた稲森さんは、次の瞬間太陽みたいな笑顔に切り替わった。
「さ、行こう!千夏ちゃん」
腕を強く引っ張られた。もう、何かが切れた。
「ぅあぁぁあん!!」
大泣きしてしまった。抱き付いてしまった。稲森さん、困るよね?ごめんね…。
ふわっと、柔らかい物が頭の上に乗った。どうやら撫でられているようだ。
「どうしたの千夏!?」
「何してるのー?」
「し、心配かけんなよな!?俺はしてないけど!!」
「海斗…正直に言えよ」
「千夏を傷付けたのは誰だ!私か!?」
「何言ってるの霙」
花火や利羽、海斗に雪、霙と明が話しかけてくれた。
皆に助けて貰えたよ。良かった。
次は私が助けられるようにしたいな。
そう思いながら私は稲森さんの手を握った。
「私も皆を見つけられるかな」
稲森さんは綺麗な笑顔で大きな声で言った。
「うん!できるよ!」
私はその言葉が自信と勇気をくれて、大切な言葉として胸に刻まれた。
「ありがとう、みんな」
素直になれた一度の経験は、本当に温かく私の中で生きている。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』
本能寺から始める常陸之介寛浩
青春
「大好きなはずなのに……! 兄の『推し活』が止まらない!?」
かつて、私は信じていた。
優しくて、頼もしくて、ちょっと恥ずかしがり屋な──
そんな普通のお兄ちゃんを。
でも──
中学卒業の春、
帰ってきた幼馴染みの“オタク姫”に染められて、
私のお兄ちゃんは**「推し活命」**な存在になってしまった!
家では「戦利品だー!」と絶叫し、
年末には「聖戦(コミケ)」に旅立ち、
さらには幼馴染みと「同人誌合宿」まで!?
……ちがう。
こんなの、私の知ってるお兄ちゃんじゃない!
たとえ、世界中がオタクを称えたって、
私は、絶対に──
お兄ちゃんを“元に戻して”みせる!
これは、
ブラコン妹と
中二病オタク姫が、
一人の「兄」をめぐって
全力でぶつかり合う、果てしなき戦いの物語──!
そしていつしか、
誰も予想できなかった
本当の「大好き」のカタチを探す、
壮大な青春ストーリーへと変わっていく──。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる