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Merry Christmas! 2021 雪
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今年の冬は、かなり寒い。
今日は12月24日。クリスマスイヴ。昼間は近所の幼稚園に演奏会をしに行き、夕方は学校で演奏会が行われた。1日に2回も公演を行うなんて大変すぎるという意見は、クリスマスを楽しみにしている女子達の大騒ぎっぷりの前に却下された。そんなわけで、俺は吹奏楽部として朝から晩まで務め上げた1日であった。
「…疲れた」
元々人前に出るのはそんなに得意じゃない。むしろ他人なんて嫌いな方だ。それは俺の恋人、霙を昔追い詰めたことも含めて、この世界なんて嫌いで仕方ない。他の世界に行けるなら行きたいくらいだ。そんな夢物語を頭の中でなぞりながら、夜道を歩く。予定があるだの何だの言ってさっさと帰る奴らが多い中で、俺は最後まで片付けのために残ったのだ。「恋人がいるんだから早く帰りなさいよ」と揶揄い混じりに同級生に言われたが、恋人の前にお隣さんであり、一緒にご飯を食べるだの何だのは日常風景なのだ。ご飯が豪華になる程度で、恋人との特別な日という認識はない。だから「大丈夫」と返して、結局遅くまで残った。何となく、帰りたくなかったのだ。歩くのが面倒だったのもあるし、演奏の余韻に浸りたかったというのもある。
はぁ、と思わず吐いた溜め息が、真っ白に染まって天へと昇る。それを視線で追いかけて、曇り空からチラチラと白い何かが落ちてくるのが見えた。
「…雪?」
自分の名前を呟いて、今日が酷く寒かった理由に気付く。雪が降るほどとは、寒いわけだ。凍えそうになる足を動かして、玄関の前に立つ。なんとはなしに深呼吸をしてドアノブに手を掛けたところで、バタバタと足音が聞こえて来た。釣られるように開けば、3人分の影が飛び込んで来る。
「「「おかえり~!!」」
霙、富、清歌姉さん。よく見知った顔は俺がよろけるのにも関わらず、ぐっと抱き締めてくる。思った以上に外は寒かったらしく、部屋の暖かさと厚着の向こう側から伝わってくる温もりがあまりにも心地良くて、ホッと息を吐いた。
「雪、お疲れ様!」
「ご馳走いっぱい用意してるよ~、おばさまが~」
「冷たっ…!ほら早く入って!風邪ひくよ!」
出迎えが嬉しくて、思わず涙ぐみそうになる。だから早く帰るのは嫌だったんだ。外が明るいと、1人だけ感傷的な気分になっているのが馬鹿みたいに感じるから。
富達に手を引かれて、早く早くと部屋の中へ急かされる。
ただのクリスマス会だったなら、こんなに皆のテンションは高くなかったのだろうか、なんて想像を掻き消して部屋の中へ入る。そこには豪華すぎる料理の山がテーブルの上に並んでいた。その手前には、ラッピングされた箱や袋がいくつか積み重なっている。
「ほら、早く食べよう」
「待ちくたびれたわ~」
「あ、待て待て待て、先に」
富が立ち止まって俺の方を向く。毎年恒例だから知ってる。俺は富と目を合わせて、何も言わずに息を合わせた。
「「誕生日おめでとう」」
冬間家の双子は、今日が誕生日なのだ。
今日は12月24日。クリスマスイヴ。昼間は近所の幼稚園に演奏会をしに行き、夕方は学校で演奏会が行われた。1日に2回も公演を行うなんて大変すぎるという意見は、クリスマスを楽しみにしている女子達の大騒ぎっぷりの前に却下された。そんなわけで、俺は吹奏楽部として朝から晩まで務め上げた1日であった。
「…疲れた」
元々人前に出るのはそんなに得意じゃない。むしろ他人なんて嫌いな方だ。それは俺の恋人、霙を昔追い詰めたことも含めて、この世界なんて嫌いで仕方ない。他の世界に行けるなら行きたいくらいだ。そんな夢物語を頭の中でなぞりながら、夜道を歩く。予定があるだの何だの言ってさっさと帰る奴らが多い中で、俺は最後まで片付けのために残ったのだ。「恋人がいるんだから早く帰りなさいよ」と揶揄い混じりに同級生に言われたが、恋人の前にお隣さんであり、一緒にご飯を食べるだの何だのは日常風景なのだ。ご飯が豪華になる程度で、恋人との特別な日という認識はない。だから「大丈夫」と返して、結局遅くまで残った。何となく、帰りたくなかったのだ。歩くのが面倒だったのもあるし、演奏の余韻に浸りたかったというのもある。
はぁ、と思わず吐いた溜め息が、真っ白に染まって天へと昇る。それを視線で追いかけて、曇り空からチラチラと白い何かが落ちてくるのが見えた。
「…雪?」
自分の名前を呟いて、今日が酷く寒かった理由に気付く。雪が降るほどとは、寒いわけだ。凍えそうになる足を動かして、玄関の前に立つ。なんとはなしに深呼吸をしてドアノブに手を掛けたところで、バタバタと足音が聞こえて来た。釣られるように開けば、3人分の影が飛び込んで来る。
「「「おかえり~!!」」
霙、富、清歌姉さん。よく見知った顔は俺がよろけるのにも関わらず、ぐっと抱き締めてくる。思った以上に外は寒かったらしく、部屋の暖かさと厚着の向こう側から伝わってくる温もりがあまりにも心地良くて、ホッと息を吐いた。
「雪、お疲れ様!」
「ご馳走いっぱい用意してるよ~、おばさまが~」
「冷たっ…!ほら早く入って!風邪ひくよ!」
出迎えが嬉しくて、思わず涙ぐみそうになる。だから早く帰るのは嫌だったんだ。外が明るいと、1人だけ感傷的な気分になっているのが馬鹿みたいに感じるから。
富達に手を引かれて、早く早くと部屋の中へ急かされる。
ただのクリスマス会だったなら、こんなに皆のテンションは高くなかったのだろうか、なんて想像を掻き消して部屋の中へ入る。そこには豪華すぎる料理の山がテーブルの上に並んでいた。その手前には、ラッピングされた箱や袋がいくつか積み重なっている。
「ほら、早く食べよう」
「待ちくたびれたわ~」
「あ、待て待て待て、先に」
富が立ち止まって俺の方を向く。毎年恒例だから知ってる。俺は富と目を合わせて、何も言わずに息を合わせた。
「「誕生日おめでとう」」
冬間家の双子は、今日が誕生日なのだ。
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