147 / 812
7月21日 昼食をとろう
しおりを挟む
「お昼にしない?」
深沙ちゃんが言った。そういえばまだ食べていなかったな、と思いながら時計を確認すると、短針が12を指していた。
「そうだね。どこで食べる?」
「深沙、美味しいところ知ってるよ」
そう言ってふらふらと歩き始めた。デパートを出たところで、深沙ちゃんが振り返る。
「もう買い物大丈夫?結構遠くに行くかもしれないんだけど…」
「う、うん。私はクリームだけ欲しかったから」
「そっか」
深沙ちゃんはホッとしたような表情を浮かべ、そのまま駅に向かった。電車に乗る。
「深沙ちゃんは良いの?まだ買う物あったんじゃ…」
「良いの。それより夕音ちゃんに紹介したいの。すごく美味しいお店」
「わ、わかった」
どこに行くのかも分からないまま、深沙ちゃんの案内について行く。そして、深沙ちゃんが足を止めた目の前には、たくさんの緑に囲まれたドールハウスのような可愛らしい店があった。
「ここ、fruit tarteって言うんだ。可愛いよね」
「うん!可愛い!早く中に入ってみたい」
「良かった、気に入ってくれたみたいで。中に入ろうか」
深沙ちゃんの後に続いて中に入ると、いらっしゃいませ、と綺麗な声が聞こえた。
「おや、喜岡さん。それに新しいお客様。いらっしゃいませ。fruit tarteにようこそ」
短い黒髪を後ろで小さく結んだ格好良い女の人が話した。声を聞かなかったら、中性的な顔立ちのために性別がわからなかっただろう。深沙ちゃんがカウンター席に座ったので、私も隣に座る。
「私はマスター。別に名前もあるけど、ほとんどの人が呼ばないから、そう名乗っておきます」
マスターの翡翠色の瞳が、澄んでいてとても綺麗だった。
「マスター、ホットケーキありますか?」
深沙ちゃんがそう言うと、マスターはふふっと笑った。
「あるよ。お客様、名前を聞いてもよろしいですか?大丈夫、怪しいことには使いません」
「あ、は、はいっ。稲森 夕音です」
「稲森さんか。覚えた。稲森さんもホットケーキで良いのかな?」
「あ、はいっ」
さっきから何故か慌ててしまう。マスターが格好良いからだろうか。
「飲み物はどうしますか?」
いつの間にか隣に女性が立っていた。胸より下に伸びた長い髪をハーフアップのようにしてリボンで結んでいた。
「深沙はオレンジジュースで」
「え、えっと…」
私が困っていると、マスターがメニュー表を差し出してくれた。小さくお礼を言い、メニューを開いた。
メニューには、可愛らしいイラストや優しい文字が並べてあった。手書きのように見えた。
「え、えっと、じゃあ…アップルジュースで」
「かしこまりました」
女性がお辞儀をして、カウンター内に入る。するとマスターが奥の部屋に入って、男性を呼んできた。
「アイス、ホットケーキ2つ。甘いのにしてくれ」
「…了解」
マスターは、指示を出すと奥に入ってしまった。
「あの男性、アイスさんって言うんだけど、アイスさんのホットケーキ、すごく美味しいんだよ!」
「そうなんだ」
嬉しそうな深沙と会話をしながら、出来上がるのを待っていた。
深沙ちゃんが言った。そういえばまだ食べていなかったな、と思いながら時計を確認すると、短針が12を指していた。
「そうだね。どこで食べる?」
「深沙、美味しいところ知ってるよ」
そう言ってふらふらと歩き始めた。デパートを出たところで、深沙ちゃんが振り返る。
「もう買い物大丈夫?結構遠くに行くかもしれないんだけど…」
「う、うん。私はクリームだけ欲しかったから」
「そっか」
深沙ちゃんはホッとしたような表情を浮かべ、そのまま駅に向かった。電車に乗る。
「深沙ちゃんは良いの?まだ買う物あったんじゃ…」
「良いの。それより夕音ちゃんに紹介したいの。すごく美味しいお店」
「わ、わかった」
どこに行くのかも分からないまま、深沙ちゃんの案内について行く。そして、深沙ちゃんが足を止めた目の前には、たくさんの緑に囲まれたドールハウスのような可愛らしい店があった。
「ここ、fruit tarteって言うんだ。可愛いよね」
「うん!可愛い!早く中に入ってみたい」
「良かった、気に入ってくれたみたいで。中に入ろうか」
深沙ちゃんの後に続いて中に入ると、いらっしゃいませ、と綺麗な声が聞こえた。
「おや、喜岡さん。それに新しいお客様。いらっしゃいませ。fruit tarteにようこそ」
短い黒髪を後ろで小さく結んだ格好良い女の人が話した。声を聞かなかったら、中性的な顔立ちのために性別がわからなかっただろう。深沙ちゃんがカウンター席に座ったので、私も隣に座る。
「私はマスター。別に名前もあるけど、ほとんどの人が呼ばないから、そう名乗っておきます」
マスターの翡翠色の瞳が、澄んでいてとても綺麗だった。
「マスター、ホットケーキありますか?」
深沙ちゃんがそう言うと、マスターはふふっと笑った。
「あるよ。お客様、名前を聞いてもよろしいですか?大丈夫、怪しいことには使いません」
「あ、は、はいっ。稲森 夕音です」
「稲森さんか。覚えた。稲森さんもホットケーキで良いのかな?」
「あ、はいっ」
さっきから何故か慌ててしまう。マスターが格好良いからだろうか。
「飲み物はどうしますか?」
いつの間にか隣に女性が立っていた。胸より下に伸びた長い髪をハーフアップのようにしてリボンで結んでいた。
「深沙はオレンジジュースで」
「え、えっと…」
私が困っていると、マスターがメニュー表を差し出してくれた。小さくお礼を言い、メニューを開いた。
メニューには、可愛らしいイラストや優しい文字が並べてあった。手書きのように見えた。
「え、えっと、じゃあ…アップルジュースで」
「かしこまりました」
女性がお辞儀をして、カウンター内に入る。するとマスターが奥の部屋に入って、男性を呼んできた。
「アイス、ホットケーキ2つ。甘いのにしてくれ」
「…了解」
マスターは、指示を出すと奥に入ってしまった。
「あの男性、アイスさんって言うんだけど、アイスさんのホットケーキ、すごく美味しいんだよ!」
「そうなんだ」
嬉しそうな深沙と会話をしながら、出来上がるのを待っていた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる