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"化かし日和のともしび" 3
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「ここは…」
セイ(由芽)に案内された先は、炎渦巻く焼け野原。四方八方から叫び声が聞こえるその場所は、現世で"地獄"と呼んでいたところだ。
「生き物が背負った罪を償う場所、って言えば分かるかな。ほらほらおいで。ここにしかないもの、たっくさんあるんだから」
「…っ」
アマネ(霙)はセイに手を引かれながら、怯えた表情を浮かべる。セイはすぐ近くにいる折檻中の罪人も、それらを追いかける鬼の姿も、気にした様子もなく笑顔で突き進んでいくからだ。可哀想、苦しそう、そんな感情を抱く優しいアマネは、それらを一切心配せずただ目的地に歩を進めるセイを怖がった。けれどセイはアマネの表情の変化を気にした様子もなく、鼻歌混じりに歌いながら歩き続ける。
「ぎゃぁぁぁああああああ!!!!」
「痛い、痛い…っもうやめて…っ!」
「やだ…怖いよ…おうちに帰りたい…っ」
涙交じりの嗚咽、肉が抉れる音、たくさんの残虐の証が耳を打つのに、セイは何一つ気にした様子がない。
「…ねぇ、セイ。怖くないの?」
「何が?あ、あったあった。ほら、見て」
意を決して問い掛けたものの、セイはその問いに返した問いへの答えを待つ前に、目当てのものを見つけたようだった。それを指差しながら、アマネの視線を誘導する。
「…わっ」
そこにあったのは、小さな2輪の赤い花だった。それは現世で言う"彼岸花"。蝋燭の火がいくつも小さく揺れ動くような見た目のそれに、アマネは感嘆の声を上げた。
「どう?綺麗でしょ?岩陰とかにひっそり咲いてるから見つけにくくてさ」
「そうなの?」
「そう。ほら、あっちにも」
「…わぁ…!」
セイが次々と指差す場所に、彼岸花が数株束になって咲いていた。阿鼻叫喚の地獄にいることも忘れるくらいその花達は可憐で、アマネは思わず見惚れてしまった。
「ふふっ。それじゃあ次はこっち」
「え、あ、う、うん…っ」
予想外のものを見せてくれた、と思えば、またセイは笑顔で歩き出した。引っ張られるようにアマネも歩き出すと、やはり周囲は鞭打つ音などで騒がしい。けれど視界の端には先程教えてもらった花が見えるから、それを追っていればいつの間にか音は気にならなくなった。
「見て!これ、何だと思う?」
「何って、岩…?」
見たままを呟くと、セイはくすくすと笑ってその岩をノックした。数箇所叩いて、他のところよりも甲高い音がした場所を指差す。
「ここ、僕がしたみたいにノックしてみて。思いっきりでもいいよ」
「えぇ…痛そう…」
「大丈夫大丈夫!ほら、えーいって」
「う、うん…っえーい!」
セイに言われた通り、アマネは岩をノックする。すると岩の表面がパキパキと割れ、奥から光が漏れ出てきた。
「…え?」
「ふふっ、驚いた?」
中身をつぅ、と撫でるセイ。視線に促され同じようにアマネが触れると、冷たい感触がした。
「これはね、氷みたいに冷たい宝石。綺麗でしょ?」
「うんっ、すっごく綺麗…!」
「まだまだこんなものじゃないよ。ほら、次々!」
「わ、待って!」
セイはアマネを両手で引っ張り上げて、次の場所へ進み始めた。
セイ(由芽)に案内された先は、炎渦巻く焼け野原。四方八方から叫び声が聞こえるその場所は、現世で"地獄"と呼んでいたところだ。
「生き物が背負った罪を償う場所、って言えば分かるかな。ほらほらおいで。ここにしかないもの、たっくさんあるんだから」
「…っ」
アマネ(霙)はセイに手を引かれながら、怯えた表情を浮かべる。セイはすぐ近くにいる折檻中の罪人も、それらを追いかける鬼の姿も、気にした様子もなく笑顔で突き進んでいくからだ。可哀想、苦しそう、そんな感情を抱く優しいアマネは、それらを一切心配せずただ目的地に歩を進めるセイを怖がった。けれどセイはアマネの表情の変化を気にした様子もなく、鼻歌混じりに歌いながら歩き続ける。
「ぎゃぁぁぁああああああ!!!!」
「痛い、痛い…っもうやめて…っ!」
「やだ…怖いよ…おうちに帰りたい…っ」
涙交じりの嗚咽、肉が抉れる音、たくさんの残虐の証が耳を打つのに、セイは何一つ気にした様子がない。
「…ねぇ、セイ。怖くないの?」
「何が?あ、あったあった。ほら、見て」
意を決して問い掛けたものの、セイはその問いに返した問いへの答えを待つ前に、目当てのものを見つけたようだった。それを指差しながら、アマネの視線を誘導する。
「…わっ」
そこにあったのは、小さな2輪の赤い花だった。それは現世で言う"彼岸花"。蝋燭の火がいくつも小さく揺れ動くような見た目のそれに、アマネは感嘆の声を上げた。
「どう?綺麗でしょ?岩陰とかにひっそり咲いてるから見つけにくくてさ」
「そうなの?」
「そう。ほら、あっちにも」
「…わぁ…!」
セイが次々と指差す場所に、彼岸花が数株束になって咲いていた。阿鼻叫喚の地獄にいることも忘れるくらいその花達は可憐で、アマネは思わず見惚れてしまった。
「ふふっ。それじゃあ次はこっち」
「え、あ、う、うん…っ」
予想外のものを見せてくれた、と思えば、またセイは笑顔で歩き出した。引っ張られるようにアマネも歩き出すと、やはり周囲は鞭打つ音などで騒がしい。けれど視界の端には先程教えてもらった花が見えるから、それを追っていればいつの間にか音は気にならなくなった。
「見て!これ、何だと思う?」
「何って、岩…?」
見たままを呟くと、セイはくすくすと笑ってその岩をノックした。数箇所叩いて、他のところよりも甲高い音がした場所を指差す。
「ここ、僕がしたみたいにノックしてみて。思いっきりでもいいよ」
「えぇ…痛そう…」
「大丈夫大丈夫!ほら、えーいって」
「う、うん…っえーい!」
セイに言われた通り、アマネは岩をノックする。すると岩の表面がパキパキと割れ、奥から光が漏れ出てきた。
「…え?」
「ふふっ、驚いた?」
中身をつぅ、と撫でるセイ。視線に促され同じようにアマネが触れると、冷たい感触がした。
「これはね、氷みたいに冷たい宝石。綺麗でしょ?」
「うんっ、すっごく綺麗…!」
「まだまだこんなものじゃないよ。ほら、次々!」
「わ、待って!」
セイはアマネを両手で引っ張り上げて、次の場所へ進み始めた。
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