神様自学

天ノ谷 霙

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姉妹の対話

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カッと、黄緑色の光が爆ぜる。稲荷様を象徴するようなその色は、感情の昂りに合わせて周囲をバチバチと焼いた。使つかいの狐達が目を驚愕に見開いて距離を取っている。そしてその感情を向けられた筈の虹様は、つぅと指で宙をなぞりながら「危ないわねぇ」と呟くだけだった。
「図星だからって感情的になるのは良くないわよ。変なところ私に似てるわね」
「…っ誰、が…っ!」
「思い詰めたらそこ以外に意識を割けないのも私そっくり。嫌なところばっかり似るわね、姉妹って」
「わたしは、ちゃんと考えてっ!」
「考えた結果が、一方的な縁切り?」
虹様が指を折り込むと共に、鋭い問いを飛ばす。稲荷様は黙り込んで、ぐっと唇を噛みながら虹様を睨み付けた。
「やだ、怖い」
「怖くもなりますよ。貴方はわたしの使を殺してその力を奪おうとしたんですから」
「そうね、その罪禍は否定しないわ。現に私は贖罪中ですもの」
「ヒトを殺そうとするなんて禁忌を犯しかけて?その贖罪がわたしを煽ることなんですか。夕音あの子を殺そうとしておいて、わたしに会いに来るんですかッ!!」
「…リーロ」
「抑えます」
ちらりと視線だけで振り返ると、リーロの気配がゆらゆらと上下に揺れていた。虹様の繋がった感覚から辿ると、どうやら羅樹が出て来ようとしているらしい。どうしたのかと思えば、虹様から心の中で答えが返って来た。

『どうやら羅樹様は、その件の使が夕音様だと悟ってしまったようです』

つまり、虹様が犯した罪が私に関係すると、私を殺そうとしたことだと気付いてしまったことになる。散らばった欠片を繋ぎ合わせたら、辿り着いてしまうのも仕方ないだろう。あれは"恋は盲目"と言うべき悲劇だったし、私も命を狙われたことに関して許すつもりはない。けれどそのことを引き摺るつもりはないし、清算された話だ。

虹様が全てを終えたあの瞬間を見てしまったら、もう私の命を狙う理由はないと分かったから。

揺れる気配に稲荷様が訝しげな顔をする。そしてリーロを凝視して、顔面を怒りに染めた。
「使の中にヒトを入れてるんですか!?」
ヒト、と称したことに私は違和感を覚えた。
確かに羅樹は稲荷様と直接的な面識があると言い難い。けれど仮にも、観察対象の想い人だ。私が恋使コイツカイであった時、1番長く想いを伝えて来た相手だ。揺らめく気配で分かりにくかったとしても、気付く可能性の方が高いだろう。
虹様も同じ意見なのかもしれない。ふぅ、と小さく嘆息する音が聞こえた。
「稲荷、お前は本当に周りを見ないわね」
呆れた声が、稲荷様に向けて鋭く突き刺さった。
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