神様自学

天ノ谷 霙

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9月13日 電話

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一昨日は、稲荷様からそれ以上話を聞くことが出来なかった。影がさした瞳が気になったが、狐に促されて帰るしかなかった。昨日も神社に行こうとしたが、足が拒否しているかのように動かなかった。どうしようもなく、部屋着のままリビングで寝転がる。考え事するのも疲れた。その時、私の携帯から電話が来たことを告げる着信音が鳴った。画面には「稲峰 花火」と表示されていた。
「もしもし?」
『もしもし、夕音?今日予定ある?』
「ないよ。どうしたの?」
『今日仕事があるんだけど、深沙ちゃんと行くんだ。良かったら夕音も来ない?』
「仕事って…あの方に会いに行くの?」
『そう。だめそう?』
「私は大丈夫だけど、良いの?」
『大丈夫、あの方から許可は頂いてるわ』
「じゃあ行きたい。ありがとね」
『?…どういたしまして?』
その後時間や集合場所、持ち物などを聞いた私は、さっさと着替えと準備を済ませた。
「お母さん、今日ちょっと出かけて来る」
「いってらっしゃい。誰と?」
「高校の友達2人。花火と深沙ちゃん」
「そう、あんまり遅くならないようにね」
「うん、いってきます」
お母さんにも伝えて、私は駅に向かう。この辺では大きい光輝駅で降りて、花火と深沙ちゃんと合流する。
「揃ったね。じゃあ行こうか」
電車に揺られること1時間。途中で乗り換えて30分。そのくらいの時間で、花火の仕事場の最寄駅に着いた。少し歩いて、目の前に広がる大きな敷地に驚く。
「…こんなに広いんだ…」
「すごい…」
私と深沙ちゃんが感動していると、慣れている花火はくすっと笑った。
「そうだよね。働いてると忘れそうだわ」
花火に従って、従業員用の出入り口から入る。花火が私達のことを報告しに行ってる間、少しきょろきょろと見回す。繊細な作りの明かりや、装飾のついた階段。異国の国のものにも見えるそれらは、奥に見える長いまっすぐな黒髪の女性を、違和感なく際立たせた。女性は、私達に気付くと、すぐに近寄ってきた。こげ茶のような黒い瞳に長い睫毛の、整った顔立ち。涼しそうな袖広がりの白と水色の服。歩くたびにひらひらと舞う、ピンクのロングスカート。
「貴方達、初めて見る顔ね?どなたかしら」
瞳を好奇心で輝かせて、わくわくとこちらを見る。怪しい人ではなさそうだが、少し躊躇った。深沙と顔を合わせて考えた後、私が口を開いた。
「稲森、夕音です」
「喜岡深沙です」
「夕音さんと深沙さんね。覚えたわ」
女性が嬉しそうに笑った。あまりにも綺麗で、思わず見惚れてしまった。その時。
「お嬢様!」
メイド服に着替えた花火に、女性がそう呼ばれた。
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