神様自学

天ノ谷 霙

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9月13日 重なる姿と記憶

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目を開けると、花火の心配そうな顔が目に入った。
「…花、火…?」
「夕音!」
ゆっくりと体を起こす。ぼんやりした頭を少しずつ回転させていくと、自分が今ソファで寝ていた、という事実にたどり着いた。
「わ、たし…どうして…」
「急に倒れたのよ!もう…びっくりしたんだから…」
一瞬ベッドと勘違いするほどにふかふかのソファ。
「…大丈夫…?」
「平気…?」
深沙ちゃんと青海川くんが、ソファの背もたれからひょこっと顔を出す。あんまり表情が動かない2人でも、少し眉尻が下がって心配してくれたことが伝わってくる。
「うん、大丈夫」
「ほら、水。飲んで」
「あ、ありがとう」
花火から水を受け取り、口をつける。水を飲みながら、さっき見た夢のような記憶を反芻はんすうする。この3人に重なっていた姿に似ていた。いや、姿そのものだった。だから、多分、あれはこの3人の前世の記憶が私に流れ込んできたもの。私が記憶に干渉出来た理由は分からないが、なんとなく、この3人の関係性が掴めた気がした。
ところで、炎の前で舞茶と話していた男性は、誰だったのだろう…?
そんなことを考えても、答えなんて見つかるはずもなく。空になったコップを花火に返して、意識をはっきりと現実に向ける。記憶のことは、少しだけ忘れよう。
「花火、明日も学校でしょう。もう今日は帰ったらどうかしら。夕音ちゃんも体調が優れないみたいだし」
「そう、ですね。では、メイド長に伝えてきます」
花火はそう言って、音もなく部屋を後にする。扇様は私にまっすぐ向き合った。
「慣れない場所に来て、緊張させちゃったかしら。ごめんなさいね」
「い、いえ…っ大丈夫です。むしろ、その、すいません」
「謝らなくて良いのよ。私が花火の話を聞いて、連れて来てって言ったんだもの」
扇様が私の手を取る。すべすべした、柔らかい優しい手だった。
「本当は心配だったの。花火は、私や家の都合で学校を休ませてしまったり、休日は仕事だったりで、友人と遊べなかったりするから…孤立してないかしらって」
安堵したような声。扇様は、心の底から嬉しそうに笑う。
「いつもありがとう。これからも、花火を宜しくね」
「…こちらこそ」
私もつられて微笑む。すると、ドアをノックする音が響いた。扇様が答えて、入ってきたのは花火。
「許可を貰ってきました。失礼致します、お嬢様。夕音、深沙ちゃん、帰るよ…青海川くんも帰る?」
「…おれは作夜のとこに寄ってくる」
「そっか」
そんな会話を聞いた後、私と深沙ちゃんは花火について行く。ドアが閉まる前に扇様に会釈をした。別棟に向かう途中、片目が隠れた男性と、花火とは違うメイドとすれ違った。
なんとなく、その男性を見た瞬間、さっき見た夢のような記憶を思い出した。
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