神様自学

天ノ谷 霙

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9月17日 体育館へ

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今週末が文化祭ということで、準備も最終段階に進んだ。午後はもう文化祭準備に割り当てられている。全体での通しも上手くいっていて、途中、衝突や陰口等の悪い雰囲気もあったが、今は落ち着いている。
「稲森」
小道具を運んでいると、後ろから声をかけられた。
「あ、北原くん」
「何してるの?」
「えっと、小道具を体育館に運ぼうと思って」
「小道具?見して」
北原くんに紙袋を渡すと、一気に手元が軽くなった。2袋あったのだが、片方が少し重かったのだ。袋を見ながら北原くんが歩き出したので、それについていく。
「文化祭、楽しみ?」
「うん、楽しみ!小さい頃から漫画とかで見て、憧れだったんだ。北原くんは?」
「うん、俺も楽しみ」
北原くんが、私に目を合わせて少し微笑んだ。夏ぶりに見た北原くんの笑顔に、ドキッとした。そして、いつのまにか北原くんが荷物を運ぶのを手伝ってくれていたのに気付いた。
「あ、ごめんね北原くん。運ぶの手伝ってもらっちゃって…」
「いいよ、これ結構重いし。女子1人で持つのは大変だろ」
「あ、ありがとう」
「どういたしまして」
また北原くんが笑った。あまり笑わない男子が笑うと破壊力が凄まじい、と誰かが言っていた意味が、少しわかったような気がした。
結局、そのまま体育館まで運んで貰った。中に入ると、真っ暗な中に緊迫した空気が肌を伝ってピリピリする。
「…何…?」
「なんだろう…」
小声で話す。ドアを開けて差し込んだ光で、私達が入ってきたことは気付いているのだろうが、気付いてないかのように反応がない。自由に出入り可能なはずなのに、入ってはいけないところに入ってしまったような緊張感が私の背中を伝った。隣にいる北原くんの表情が見えなくて、少し不安に駆られる。ステージにぱっとライトがついて、中央の青年に光が集まる。
「僕はこの国を将来担う者。今日は母様と父様が街へ連れて言ってくれると言う…」
「霙ー!!!!」
急な叫び声に、耳が痛む。その叫び声に対応するかのような電気が付いていく。急に明るくなったので、目がチカチカした。
「何?」
「もう少し好奇心と不安を混ぜた声で出来るかな?声の大きさはマイク付けるから気にしなくて良いからさ」
「了解。ってあれ、誰か…」
霙がこちらに気付いて、ステージから飛び降りる。
「夕音と北原じゃん!どうしたの?」
「あ、えっと、小道具置きにきたんだけど…」
「あ、そうなの?じゃあ裏方に…いつからいた?ごめんね、待たせちゃったかな」
「ううん、大丈夫。むしろ入って大丈夫だった?」
「立ち入り禁止ではないからね、大丈夫だよ!」
ちらっと北原くんの方を見ると、いつもの無表情だった。さっき見せてくれたあの笑顔を思い出す。なんだか、心臓がドキドキしてるような気がした。
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