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第八章『最後の晩餐と安土饗応』
11 『信長の存在証明』
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「余はこの日の本一の権力者になったである」
織田信長は、明智光秀と織田信忠を見てから、黄金の部屋を出ると、周囲を囲む朱色の欄干に手をかけ、城下町を見下ろし、続けた――
「そう、それはもはや、何人なりともくつがえせぬ――
――《絶対的権力》と言えよう」
「はい」「そうですじゃ」信忠と光秀、大きく頷く。
「――そして、その事実は……
天皇を安土に行幸させる『天皇制補完計画』を、もう誰も邪魔できない事実をさす。
そしてその事は、この安土城天主及び天皇をお迎えする本丸御殿を民衆たちに公開したことで、皆が知ることとなった」
そういうと、史実『信長公記』で「みゆき(御幸・行幸)の間」と記された天皇の住むことになる――本丸御殿を眼下に見下ろした。
信長の建てた安土城には、歴史的に見ても、戦国時代までの日本史上最大の――
一般人の見学者を招き入れた『軍事施設』といえる。
その城内には、織田信長宗教政策の中心地となる『総見寺』があり、毎日参拝客が城内を行き来している。
しかも、信長の聖誕祭にはとてつもなく大勢の民衆が、信長の誕生を祝うために城内に押し寄せる。
その上、城内の中枢施設である天主・本丸御殿をも、決められた日に入場料さえ払えば、見学可能なのである。
しかも、天下の主信長様に、この国で天皇の次に偉大な存在ともいえる信長様に直接合って入場料を納めることができる。
当然、現代のアイドルの握手会のように、信長様にあうために来る者もいたであろう。
かつて、これほど民衆に公開された軍事施設があったであろうか?
かつて、これほど民衆に心を開かれ、そして民衆に愛された君主がいたであろうか?
――そして、城内に来た人々はみな自然に思うようになる。
信長が居住する天主が、天皇が行幸する本丸御殿を見下ろしている配置から、信長が天皇の守護者としてこの国の頂点に立つ存在になることを。
「はい、もう近畿に歯向かう敵がない今――
父上の決断一つで、天皇が安土に行幸することは誰の目にも、もはや確定事項となっております」
「うむ、つまりは、余はこの日の本一の権威者になったである。
そう、それはもはや、何人たりともくつがえせぬ――
――《絶対的権威》と言えよう」
「はい」「そうですじゃ」信忠と光秀、大きく頷く。
「かつて、この日の本史上、これほどの絶対的権力と絶対的権威を持ったものなどいたであろうか?」
「信長様をおいて他に、おりませぬ」
「そうです!
武家の戦闘力の最高峰である我が軍と、
天皇の霊的な力を補完することで天皇の霊的な権威を上回った権威を合わせ持つ、父上に並び立つ者は」
「そうですじゃ、信長様は日の本一の英雄となられたのじゃ」
信忠も光秀も心より、信長を信頼し信じている。
それは信長の一番近くで信長を見、そして信長が民衆のために必死で必死で生きた生きてこられたことを、誰よりも二人は知っているからである。
――だからこそ、信長の『計画』のために二人も殉じる決意をしているのであった。
そうそうなのだ、この『福音書』計画は、信長一人では決して遂行できないのである。
そしてこの信長に殉じる者の存在こそが――
それこそが史実『聖書』を知りそしてイエスに憧れ、
民のために命を捨てるために生きた――
織田信長の存在証明なのであった。
「うむ、だからこそ今、余は……
いにしえの《秘跡》を――
そうイエスが教えし、
この世界に恒久なる平安をもたらす秘跡を、今や行う時が――
遂に来たのである!」
次回、ついに信長がみなと、いやこの世界と決別を告げる!
織田信長は、明智光秀と織田信忠を見てから、黄金の部屋を出ると、周囲を囲む朱色の欄干に手をかけ、城下町を見下ろし、続けた――
「そう、それはもはや、何人なりともくつがえせぬ――
――《絶対的権力》と言えよう」
「はい」「そうですじゃ」信忠と光秀、大きく頷く。
「――そして、その事実は……
天皇を安土に行幸させる『天皇制補完計画』を、もう誰も邪魔できない事実をさす。
そしてその事は、この安土城天主及び天皇をお迎えする本丸御殿を民衆たちに公開したことで、皆が知ることとなった」
そういうと、史実『信長公記』で「みゆき(御幸・行幸)の間」と記された天皇の住むことになる――本丸御殿を眼下に見下ろした。
信長の建てた安土城には、歴史的に見ても、戦国時代までの日本史上最大の――
一般人の見学者を招き入れた『軍事施設』といえる。
その城内には、織田信長宗教政策の中心地となる『総見寺』があり、毎日参拝客が城内を行き来している。
しかも、信長の聖誕祭にはとてつもなく大勢の民衆が、信長の誕生を祝うために城内に押し寄せる。
その上、城内の中枢施設である天主・本丸御殿をも、決められた日に入場料さえ払えば、見学可能なのである。
しかも、天下の主信長様に、この国で天皇の次に偉大な存在ともいえる信長様に直接合って入場料を納めることができる。
当然、現代のアイドルの握手会のように、信長様にあうために来る者もいたであろう。
かつて、これほど民衆に公開された軍事施設があったであろうか?
かつて、これほど民衆に心を開かれ、そして民衆に愛された君主がいたであろうか?
――そして、城内に来た人々はみな自然に思うようになる。
信長が居住する天主が、天皇が行幸する本丸御殿を見下ろしている配置から、信長が天皇の守護者としてこの国の頂点に立つ存在になることを。
「はい、もう近畿に歯向かう敵がない今――
父上の決断一つで、天皇が安土に行幸することは誰の目にも、もはや確定事項となっております」
「うむ、つまりは、余はこの日の本一の権威者になったである。
そう、それはもはや、何人たりともくつがえせぬ――
――《絶対的権威》と言えよう」
「はい」「そうですじゃ」信忠と光秀、大きく頷く。
「かつて、この日の本史上、これほどの絶対的権力と絶対的権威を持ったものなどいたであろうか?」
「信長様をおいて他に、おりませぬ」
「そうです!
武家の戦闘力の最高峰である我が軍と、
天皇の霊的な力を補完することで天皇の霊的な権威を上回った権威を合わせ持つ、父上に並び立つ者は」
「そうですじゃ、信長様は日の本一の英雄となられたのじゃ」
信忠も光秀も心より、信長を信頼し信じている。
それは信長の一番近くで信長を見、そして信長が民衆のために必死で必死で生きた生きてこられたことを、誰よりも二人は知っているからである。
――だからこそ、信長の『計画』のために二人も殉じる決意をしているのであった。
そうそうなのだ、この『福音書』計画は、信長一人では決して遂行できないのである。
そしてこの信長に殉じる者の存在こそが――
それこそが史実『聖書』を知りそしてイエスに憧れ、
民のために命を捨てるために生きた――
織田信長の存在証明なのであった。
「うむ、だからこそ今、余は……
いにしえの《秘跡》を――
そうイエスが教えし、
この世界に恒久なる平安をもたらす秘跡を、今や行う時が――
遂に来たのである!」
次回、ついに信長がみなと、いやこの世界と決別を告げる!
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