89 / 126
80.ミュウのお悩み相談相手は
しおりを挟む
「奴の武器は多分⋯⋯アイオロスから借りた『風の皮袋』だと思うんだ。風神のアイオロスがグラウコスに手を貸した理由は分かんないけど、セイレーンの歌声を運ぶって言うと、それくらいしか思い当たらないから。
でね、『風の皮袋』を取り上げたグラウコスには攻撃手段がないから、簡単に捕まえられるはず⋯⋯違ってたらその時考えるつもり」
海に沈むロクサーナをジルベルト司祭が見つけた時の様子からして、ほぼ間違いないと推測している。
ロクサーナの予測では⋯⋯ 海に沈みかけた時に包みこんだという気泡は、風に乗ったセイレーンの歌声を皮袋に詰めて運んだもの。
死に至らせるには時間が足りなかったのだろうが、グラウコスはロクサーナを死の眠りに落とすつもりだったはず。
「リラの音色で目が覚めたから、セイレーンのテクなのは間違いない。で、セイレーンとグラウコスには繋がりがなかったはずだけど、スキュラにならある。やっぱり共通の敵がいる女同士の結束は硬いって事だねぇ」
セイレーンの歌声から逃れる方法は、過去に2つ証明されている。
オデュッセウスがやった蜜蝋で耳栓をする方法と、吟遊詩人がやったリラをかき鳴らして歌を打ち消す方法。
「だから、ミュウはジルベルト司祭にリラを弾くように言ったんだよね」
【そう、あの時点だとアレしか方法がなかったからね】
理不尽な理由でキルケーに怪物にされたスキュラと、キルケーのせいで命を落としたセイレーンの共通の敵⋯⋯キルケー。
セイレーンの遺体が縛り付けられた島のそばに、カリュブディスとスキュラの棲む海域がある。
「シーサーペントを海に嗾けてたのがこの2人だろうとは思ってたんだけど、まさかグラウコスを使って仕返ししてくるとは思わなくて⋯⋯あの時は、みんなを驚かせてごめんね」
【ホントはさ、グラウコスくらいならどうにでもなったんだよね。でも、あれが最善だったと思ってる】
「うん、ありがとう」
ロクサーナが唯一特別な思い入れをもつ人間、ジルベルト司祭が助けに向かっているならと⋯⋯ミュウ達はギリギリまで手を出さないことに決めた。
【(ジルベルト司祭の本気は、きっとロクサーナの成長と進化に繋がるはず)】
ミュウ達や他種族のドワーフ達だけでは、手に入れられない世界がロクサーナにはあると考えた精霊達の苦渋の決断だった。
「なんであの領域に加害者と被害者が固まってるのかとか、シーサーペントを嗾けてたのは何故なのか⋯⋯理由が分かんないから、グラウコスをプチって潰す時に問い詰める。んで、スキュラ達に直談判しようと思ってる」
【ジルベルトには知らせないって言うんだろ?】
「バレたら叱られそうな⋯⋯てか、私の仕事のやり残しみたいな感じだし?」
6年やってきた仕事で、中途半端に終わったのはリューズベイの一件だけ。それ以外はほぼ瞬殺してきただけに、そのまま放置しておくのは心残りがありすぎる。
(スキュラ達が新しいネタを考えて、港になんかやってきても嫌だし)
「決行は明日、ジルベルト司祭が出勤した後ね!」
【ロクサーナを囮にするのはなんだかなぁ。なんかすごい無茶しそうで嫌なんだけど⋯⋯】
「大丈夫だよ! 相手は海神って言っても予言しかできないから、風の布袋だけどうにかすればいいんだもん」
カチッ
「さてと、村長さんとこに寄ってから、今日のアラクネのお茶会の準備してくるね」
ドワーフ達の作業小屋に向かって走るロクサーナの姿が見えなくなった途端、ミュウがピッピの背中に飛び乗った。
【さ~て、氷漬けにしようか?】
【だって、ピッピお約束したんだもん】
【奴は、人誑しだけじゃなく精霊誑しだもんな。で、どうするよ?】
カイちゃんが全員の顔を見回した。
【面白そうだからピッピの好きにやらせるに1票入れるぜ】byクロちゃん。
【僕は反対に1票かな。ロクサーナが叱られるだけだもん】byウルウル。
【ロクサーナの味方だから、反対モグッ】byモグモグ。
【反対しようかな】byルル。
【賛成しようかな】byミイ。
【ピッピの応援3票で、反対が3票。なら俺は⋯⋯無投票だな。って事で、ミュウの投票で決まるが、どうするよ?】byカイちゃん。
精霊達の中で誰がと決めているわけではないが、一番初めにロクサーナを見つけギリギリだった生命を繋いできたからか、ミュウがほぼリーダーのようになっている。
【⋯⋯ううっ、くそお! 先に1票入れとくんだった~】
ロクサーナを囮にしたくないが、ジルベルトが参加するのも気に入らない。
【⋯⋯(海に落ちた時だって、ジルベルトがいなきゃ僕が飛び込んでたのに⋯⋯そしたらセイレーンの歌なんて聞かせてなかったんだから!)】
ロクサーナには人間との関わりも必要だと思いつつも、ジルベルトとの距離が近付いていく気配に日々モヤモヤが募っているミュウ。
【夜までに考える! ピッピ、勝手なことをしたら氷河に連れてくからな!!】
転移で消えたミュウがいた場所を、首を傾げたまま見つめているピッピが呟いた。
【えーっと、ピッピなんかした? 氷河はちょっと嫌かも~】
【ヤキモチだな】
【拗ねてんだよ】
【ミュウ、お餅焼いたの?⋯⋯ピッピも食べたい】
ミュウが転移した先は山の上のドラゴンの巣。
【ミュウちゃん、どうしたの?】
【⋯⋯別に。ゴン太は?】
【う~ん、どこかなあ。お腹が一杯になったら帰ってくるんじゃないかな?】
産まれるまでまだ時間がかかりそうな卵のそばにいるのはいつもドラ美で、ゴン太はここ最近は特にふらふらと飛び回っていることが多い。
【それでいいの?】
【だって、必ずここに帰ってくるって知ってるもん。それにね、レアな餌を見つけると必ず持って帰ってくれるの。食べるのを我慢してるから、涎だらけなんだけどね~】
ふふっと笑ったドラ美が『秘密だよ』とウインクして、ミュウの顔を覗き込んだ。
一番大事だって教えてくれてるみたいだから、普段は何をしていても構わないんだと嬉しそうにしている。
【ロクサーナがミュウに教えてくれてるみたいにね】
【⋯⋯ロクサーナは違うし】
【そうかなぁ。よ~く考えてみるといいよ。ロクサーナは甘えるのが下手だし、距離の掴み方が分かんなくて逃げる方を選ぶけど、わかりやすい子だから。
ロクサーナがここ一番って時に頼るのは誰かな~? 『助けて』って言う勇気はなさそうだけど、心には誰かが思い浮かぶはずだよね~】
【⋯⋯ここ一番⋯⋯助けて?】
ロクサーナが窮地に陥る状況は考えたくもないが、もしそんなことがあったら⋯⋯ロクサーナは誰を頼るのか。
【ありがとう! ちょっとモヤモヤが消えた気がする】
パタパタと機嫌よく羽を動かしたドラ美がにっこりと微笑んだ。
【ミュウは誰にも負けてないからね、自信を持って】
ミュウが広場に戻ってきた時には、ロクサーナは地下室で作りかけの魔導具を弄っていた。
「ミュウ、マンゴスチンって知ってる? 果実の外皮は黄色の染料にもなるけど、粉末にしたら下痢・赤痢・皮膚病の薬になるんだ。でね、葉っぱでお茶を作ってみたから一緒に飲まない?」
マンゴスチンは柔らかい果肉で香りが良く、さわやかな甘味で上品な味わい。デリケートな食感を楽しめる生食の他に、ジュースやゼリーにしても美味しい。
「痛みやすいからなかなか手に入らなかったんだ~」
【戻ってきたのが、なんで分かったの? 姿消してたのにさ】
「へ? だってミュウだもん」
覗き込んでいた魔導具から顔を上げ、不思議そうな顔で首を傾げたロクサーナが、『変なの』と言いながら立ち上がり、お茶を淹れはじめた。
【決めた! 1票は⋯⋯】
でね、『風の皮袋』を取り上げたグラウコスには攻撃手段がないから、簡単に捕まえられるはず⋯⋯違ってたらその時考えるつもり」
海に沈むロクサーナをジルベルト司祭が見つけた時の様子からして、ほぼ間違いないと推測している。
ロクサーナの予測では⋯⋯ 海に沈みかけた時に包みこんだという気泡は、風に乗ったセイレーンの歌声を皮袋に詰めて運んだもの。
死に至らせるには時間が足りなかったのだろうが、グラウコスはロクサーナを死の眠りに落とすつもりだったはず。
「リラの音色で目が覚めたから、セイレーンのテクなのは間違いない。で、セイレーンとグラウコスには繋がりがなかったはずだけど、スキュラにならある。やっぱり共通の敵がいる女同士の結束は硬いって事だねぇ」
セイレーンの歌声から逃れる方法は、過去に2つ証明されている。
オデュッセウスがやった蜜蝋で耳栓をする方法と、吟遊詩人がやったリラをかき鳴らして歌を打ち消す方法。
「だから、ミュウはジルベルト司祭にリラを弾くように言ったんだよね」
【そう、あの時点だとアレしか方法がなかったからね】
理不尽な理由でキルケーに怪物にされたスキュラと、キルケーのせいで命を落としたセイレーンの共通の敵⋯⋯キルケー。
セイレーンの遺体が縛り付けられた島のそばに、カリュブディスとスキュラの棲む海域がある。
「シーサーペントを海に嗾けてたのがこの2人だろうとは思ってたんだけど、まさかグラウコスを使って仕返ししてくるとは思わなくて⋯⋯あの時は、みんなを驚かせてごめんね」
【ホントはさ、グラウコスくらいならどうにでもなったんだよね。でも、あれが最善だったと思ってる】
「うん、ありがとう」
ロクサーナが唯一特別な思い入れをもつ人間、ジルベルト司祭が助けに向かっているならと⋯⋯ミュウ達はギリギリまで手を出さないことに決めた。
【(ジルベルト司祭の本気は、きっとロクサーナの成長と進化に繋がるはず)】
ミュウ達や他種族のドワーフ達だけでは、手に入れられない世界がロクサーナにはあると考えた精霊達の苦渋の決断だった。
「なんであの領域に加害者と被害者が固まってるのかとか、シーサーペントを嗾けてたのは何故なのか⋯⋯理由が分かんないから、グラウコスをプチって潰す時に問い詰める。んで、スキュラ達に直談判しようと思ってる」
【ジルベルトには知らせないって言うんだろ?】
「バレたら叱られそうな⋯⋯てか、私の仕事のやり残しみたいな感じだし?」
6年やってきた仕事で、中途半端に終わったのはリューズベイの一件だけ。それ以外はほぼ瞬殺してきただけに、そのまま放置しておくのは心残りがありすぎる。
(スキュラ達が新しいネタを考えて、港になんかやってきても嫌だし)
「決行は明日、ジルベルト司祭が出勤した後ね!」
【ロクサーナを囮にするのはなんだかなぁ。なんかすごい無茶しそうで嫌なんだけど⋯⋯】
「大丈夫だよ! 相手は海神って言っても予言しかできないから、風の布袋だけどうにかすればいいんだもん」
カチッ
「さてと、村長さんとこに寄ってから、今日のアラクネのお茶会の準備してくるね」
ドワーフ達の作業小屋に向かって走るロクサーナの姿が見えなくなった途端、ミュウがピッピの背中に飛び乗った。
【さ~て、氷漬けにしようか?】
【だって、ピッピお約束したんだもん】
【奴は、人誑しだけじゃなく精霊誑しだもんな。で、どうするよ?】
カイちゃんが全員の顔を見回した。
【面白そうだからピッピの好きにやらせるに1票入れるぜ】byクロちゃん。
【僕は反対に1票かな。ロクサーナが叱られるだけだもん】byウルウル。
【ロクサーナの味方だから、反対モグッ】byモグモグ。
【反対しようかな】byルル。
【賛成しようかな】byミイ。
【ピッピの応援3票で、反対が3票。なら俺は⋯⋯無投票だな。って事で、ミュウの投票で決まるが、どうするよ?】byカイちゃん。
精霊達の中で誰がと決めているわけではないが、一番初めにロクサーナを見つけギリギリだった生命を繋いできたからか、ミュウがほぼリーダーのようになっている。
【⋯⋯ううっ、くそお! 先に1票入れとくんだった~】
ロクサーナを囮にしたくないが、ジルベルトが参加するのも気に入らない。
【⋯⋯(海に落ちた時だって、ジルベルトがいなきゃ僕が飛び込んでたのに⋯⋯そしたらセイレーンの歌なんて聞かせてなかったんだから!)】
ロクサーナには人間との関わりも必要だと思いつつも、ジルベルトとの距離が近付いていく気配に日々モヤモヤが募っているミュウ。
【夜までに考える! ピッピ、勝手なことをしたら氷河に連れてくからな!!】
転移で消えたミュウがいた場所を、首を傾げたまま見つめているピッピが呟いた。
【えーっと、ピッピなんかした? 氷河はちょっと嫌かも~】
【ヤキモチだな】
【拗ねてんだよ】
【ミュウ、お餅焼いたの?⋯⋯ピッピも食べたい】
ミュウが転移した先は山の上のドラゴンの巣。
【ミュウちゃん、どうしたの?】
【⋯⋯別に。ゴン太は?】
【う~ん、どこかなあ。お腹が一杯になったら帰ってくるんじゃないかな?】
産まれるまでまだ時間がかかりそうな卵のそばにいるのはいつもドラ美で、ゴン太はここ最近は特にふらふらと飛び回っていることが多い。
【それでいいの?】
【だって、必ずここに帰ってくるって知ってるもん。それにね、レアな餌を見つけると必ず持って帰ってくれるの。食べるのを我慢してるから、涎だらけなんだけどね~】
ふふっと笑ったドラ美が『秘密だよ』とウインクして、ミュウの顔を覗き込んだ。
一番大事だって教えてくれてるみたいだから、普段は何をしていても構わないんだと嬉しそうにしている。
【ロクサーナがミュウに教えてくれてるみたいにね】
【⋯⋯ロクサーナは違うし】
【そうかなぁ。よ~く考えてみるといいよ。ロクサーナは甘えるのが下手だし、距離の掴み方が分かんなくて逃げる方を選ぶけど、わかりやすい子だから。
ロクサーナがここ一番って時に頼るのは誰かな~? 『助けて』って言う勇気はなさそうだけど、心には誰かが思い浮かぶはずだよね~】
【⋯⋯ここ一番⋯⋯助けて?】
ロクサーナが窮地に陥る状況は考えたくもないが、もしそんなことがあったら⋯⋯ロクサーナは誰を頼るのか。
【ありがとう! ちょっとモヤモヤが消えた気がする】
パタパタと機嫌よく羽を動かしたドラ美がにっこりと微笑んだ。
【ミュウは誰にも負けてないからね、自信を持って】
ミュウが広場に戻ってきた時には、ロクサーナは地下室で作りかけの魔導具を弄っていた。
「ミュウ、マンゴスチンって知ってる? 果実の外皮は黄色の染料にもなるけど、粉末にしたら下痢・赤痢・皮膚病の薬になるんだ。でね、葉っぱでお茶を作ってみたから一緒に飲まない?」
マンゴスチンは柔らかい果肉で香りが良く、さわやかな甘味で上品な味わい。デリケートな食感を楽しめる生食の他に、ジュースやゼリーにしても美味しい。
「痛みやすいからなかなか手に入らなかったんだ~」
【戻ってきたのが、なんで分かったの? 姿消してたのにさ】
「へ? だってミュウだもん」
覗き込んでいた魔導具から顔を上げ、不思議そうな顔で首を傾げたロクサーナが、『変なの』と言いながら立ち上がり、お茶を淹れはじめた。
【決めた! 1票は⋯⋯】
109
あなたにおすすめの小説
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
妹に全てを奪われた令嬢は第二の人生を満喫することにしました。
バナナマヨネーズ
恋愛
四大公爵家の一つ。アックァーノ公爵家に生まれたイシュミールは双子の妹であるイシュタルに慕われていたが、何故か両親と使用人たちに冷遇されていた。
瓜二つである妹のイシュタルは、それに比べて大切にされていた。
そんなある日、イシュミールは第三王子との婚約が決まった。
その時から、イシュミールの人生は最高の瞬間を経て、最悪な結末へと緩やかに向かうことになった。
そして……。
本編全79話
番外編全34話
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
聖女は記憶と共に姿を消した~婚約破棄を告げられた時、王国の運命が決まった~
キョウキョウ
恋愛
ある日、婚約相手のエリック王子から呼び出された聖女ノエラ。
パーティーが行われている会場の中央、貴族たちが注目する場所に立たされたノエラは、エリック王子から突然、婚約を破棄されてしまう。
最近、冷たい態度が続いていたとはいえ、公の場での宣言にノエラは言葉を失った。
さらにエリック王子は、ノエラが聖女には相応しくないと告げた後、一緒に居た美しい女神官エリーゼを真の聖女にすると宣言してしまう。彼女こそが本当の聖女であると言って、ノエラのことを偽物扱いする。
その瞬間、ノエラの心に浮かんだのは、万が一の時のために準備していた計画だった。
王国から、聖女ノエラに関する記憶を全て消し去るという計画を、今こそ実行に移す時だと決意した。
こうして聖女ノエラは人々の記憶から消え去り、ただのノエラとして新たな一歩を踏み出すのだった。
※過去に使用した設定や展開などを再利用しています。
※カクヨムにも掲載中です。
辺境は独自路線で進みます! ~見下され搾取され続けるのは御免なので~
紫月 由良
恋愛
辺境に領地を持つマリエ・オリオール伯爵令嬢は、貴族学院の食堂で婚約者であるジョルジュ・ミラボーから婚約破棄をつきつけられた。二人の仲は険悪で修復不可能だったこともあり、マリエは快諾すると学院を早退して婚約者の家に向かい、その日のうちに婚約が破棄された。辺境=田舎者という風潮によって居心地が悪くなっていたため、これを機に学院を退学して領地に引き籠ることにした。
魔法契約によりオリオール伯爵家やフォートレル辺境伯家は国から離反できないが、関わり合いを最低限にして独自路線を歩むことに――。
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています
二度目の人生は離脱を目指します
橋本彩里(Ayari)
恋愛
エレナは一度死に戻り、二度目の人生を生きることになった。
一度目は親友のマリアンヌにあらゆるものを奪われ、はめられた人生。
今回は関わらずにいこうと、マリアンヌとの初めての顔合わせで倒れたのを機に病弱と偽り王都から身を遠ざけることにする。
人生二度目だから自身が快適に過ごすために、マリアンヌと距離を取りながらあちこちに顔を出していたら、なぜかマリアンヌの取り巻き男性、死に戻り前は髪色で呼んでいた五人、特に黒いのがしつこっ、……男たちが懐いてきて。
一度目の人生は何が起っていたのか。
今度こそ平穏にいきたいエレナだがいつの間にか渦中に巻き込まれ――。
婚約辞退いたします。だってこの国、沈みますもの
鍛高譚
恋愛
「婚約はお断りいたします――この国は近い将来、崩壊しますので」
そう言い放ったのは、社交界でも目立たない子爵令嬢、マリン・アクアリウム。
ある日、とある舞踏会に突如現れた王太子ガイア殿下。
誰もが驚く中、なんと彼はマリンに婚約を申し出る。
周囲は騒然。「子爵令嬢が王太子妃!?」「断る理由などないはず!」
――だが、彼女は断った。「この国は、もうすぐ滅びます」――と。
そんな不吉な言葉を口にしたことで、彼女は“狂言癖のある嘘つき令嬢”と噂され、
家族にさえ見放され、ついには国外追放の身に。
だが、彼女の予言は本物だった――
数年後、王国に未曾有の大災厄が迫る。
国土が崩れ、海に沈む都市。人々が絶望する中、思い出されるのは、
あの舞踏会でただひとり“滅び”を告げた少女の名。
「彼女なら、この国を救えるかもしれない……」
皮肉にも“追放令嬢”マリンは、再び王都に呼び戻され、
滅びゆく国で最後の希望として担ぎ上げられる。
信じてもらえなかった過去。
それでも人々の命を守ろうと奔走するマリン。
そして、王子ガイアが差し伸べた、あの日と変わらぬ手。
――たとえ国が滅んでも、あなたとともに歩んでいきたい。
【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜
ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。
しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。
生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。
それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。
幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。
「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」
初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。
そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。
これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。
これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。
☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆
【完結】聖女召喚に巻き込まれたバリキャリですが、追い出されそうになったのでお金と魔獣をもらって出て行きます!
チャらら森山
恋愛
二十七歳バリバリキャリアウーマンの鎌本博美(かまもとひろみ)が、交差点で後ろから背中を押された。死んだと思った博美だが、突如、異世界へ召喚される。召喚された博美が発した言葉を誤解したハロルド王子の前に、もうひとりの女性が現れた。博美の方が、聖女召喚に巻き込まれた一般人だと決めつけ、追い出されそうになる。しかし、バリキャリの博美は、そのまま追い出されることを拒否し、彼らに慰謝料を要求する。
お金を受け取るまで、博美は屋敷で暮らすことになり、数々の騒動に巻き込まれながら地下で暮らす魔獣と交流を深めていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる