【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との

文字の大きさ
12 / 21

12.女の子の話題はやっぱりドレスよね〜

しおりを挟む
 午前中の卒業式を無事に終えて、夕方から謝恩パーティーが開催された。

 パーティーに参加するのは二年生と三年生及び卒業生の親族。来賓として宰相や一部の有力貴族が参加予定で、卒業生は一旦自宅に戻り、着替えた後パーティー会場に集まる事になっている。

 盛装用のアビ・ア・ラ・フランセーズのウエストコートとコートを着た男性陣は、其々精緻な刺繍や宝石で意匠を凝らしている。
 女性陣は皆、主流のローブ・ア・ラ・フランセーズ。

 煌びやかな衣装を身に纏った卒業生が到着する度にパーティー会場には溜息や歓声が溢れていた。



 会場入りした四人組は周りの喧騒を気にすることなく、其々のドレスの品評会に忙しくしていた。


「リリアーナのドレス、スピタルフィールズでしょう? 白地の縫取織ぬいとりおり。一体何種類の絹糸で織り込まれているのか想像もつかないわ。
二段のパゴダ型袖やストマッカーのレースとフライ・フリンジの飾りもとっても上品で最高に似合ってる」


「“ポワン・ラントレ” ね。立体感のある織りが本当に見事だわ。絵画の技法って言われてるのがよく分かる。嘘!エリオット様からなの? 一体何時から準備しておられたのかしら。一ヶ月じゃ間に合わないでしょう? ふふ、愛されてるのね~。
アクセサリーはエリオット様の色ね」


「キールと袖口のアンガジャントはアルジャンタン・レースね。こんなに繊細なのは見た事ないくらいとっても素敵。マシューからのプレゼントだったらちょっと見直してあげるんだけど?」


「シネ・ア・ラ・ブランシュ? この水に濡れて滲んだような感じ。解しほぐし織りって言うんだったかしら?
軽快な風合いとパステル調の色使い、マチルダにピッタリだわ。流石はジュード様ね」



 パーティーの開始が宣言され宰相による祝辞の後に楽団による演奏がはじまった。
 婚約者や親族とダンスを踊り始める人達が増え始めた頃、ジュード・ランカスター第三王子がやって来た。

 四人はカーテシーをしてジュードの言葉を待った。

「堅苦しいのはなしだよ、今日の主役は君達なんだから。
久しぶりだね、こんなに美しい令嬢が揃って壁の花になってるなんて勿体ない。ここだけ別世界のように見えたよ」

「お久しぶりです。お会い出来るのを楽しみにしておりました」

「ありがとう、マチルダからみんなの話は聞いている。とても楽しそうで羨ましくもあり申し訳なくもありと言うところだね」

「もしかして出発が早まりました?」

「いや、本当はこのまま攫って行きたいんだがマチルダのお父上に断固拒否されてしまった。半年後に迎えに来るから、結婚式にはみんなで参加してくれるよね」

「勿論、全員で参加させて頂きますわ。楽しみにしております」

「マチルダをお借りしていいかな?」

 ジュードにエスコートされて中央に向かうマチルダは少し頬を染め、いつもの数倍可愛らしく見えた。

「ジュード様ったら、ダンスが待ちきれないって感じだったわね。エリオット様は今頃悔し涙かも」

「みっミリアったら揶揄わないで」




「ミリア・・あの」

 シエナが真っ赤な顔でミリアに抗議していると後ろからマシューが声をかけてきた。振り向くとマシューと一緒にグレッグシエナの兄が立っていた。

「ミリア、ダンスをお願いしても良いかな?」

「・・、ええ」

「リリアーナ様お久しぶりです。益々お綺麗になられて」
「ありがとうございます。グレッグ様も素敵になられて、ご活躍の噂お聞きしておりますわ」


 ミリアとシエナもダンスに向かいリリアーナは一人残された。

(覚悟してた事とは言え、一人になると結構寂しいわね。お父様には別件をお願いしてるからいらっしゃらないし、お母様は足を捻挫して動けなかったし・・)


 三人はダンスの後パートナーと共に親族や友人へ挨拶回りに向かう。この後もリリアーナは暫く一人ぼっちの時間が続く予定なので軽食でも・・と歩き出した。




 パーティーも中盤に差し掛かる頃、

「リリアーナ・カートレット伯爵令嬢! 前に出て来て貰おう」


 予想通りの展開がはじまった。

しおりを挟む
感想 23

あなたにおすすめの小説

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。

しげむろ ゆうき
恋愛
 姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。 全12話

(完)婚約破棄ですか? なぜ関係のない貴女がそれを言うのですか? それからそこの貴方は私の婚約者ではありません。

青空一夏
恋愛
グレイスは大商人リッチモンド家の娘である。アシュリー・バラノ侯爵はグレイスよりずっと年上で熊のように大きな体に顎髭が風格を添える騎士団長様。ベースはこの二人の恋物語です。 アシュリー・バラノ侯爵領は3年前から作物の不作続きで農民はすっかり疲弊していた。領民思いのアシュリー・バラノ侯爵の為にお金を融通したのがグレイスの父親である。ところがお金の返済日にアシュリー・バラノ侯爵は満額返せなかった。そこで娘の好みのタイプを知っていた父親はアシュリー・バラノ侯爵にある提案をするのだった。それはグレイスを妻に迎えることだった。 年上のアシュリー・バラノ侯爵のようなタイプが大好きなグレイスはこの婚約話をとても喜んだ。ところがその三日後のこと、一人の若い女性が怒鳴り込んできたのだ。 「あなたね? 私の愛おしい殿方を横からさらっていったのは・・・・・・婚約破棄です!」 そうしてさらには見知らぬ若者までやって来てグレイスに婚約破棄を告げるのだった。 ざまぁするつもりもないのにざまぁになってしまうコメディー。中世ヨーロッパ風異世界。ゆるふわ設定ご都合主義。途中からざまぁというより更生物語になってしまいました。 異なった登場人物視点から物語が展開していくスタイルです。

幼馴染に夢中の夫を捨てた貴婦人は、王太子に熱愛される

Narian
恋愛
アイリスの夫ロイは、新婚の頃から金髪の愛らしい幼馴染・フローラに夢中で、妻には見向きもしなかった。 夫からは蔑ろにされ、夫の両親からは罵られ、フローラからは見下される日々。そしてアイリスは、ついに決意する。 「それほど幼馴染が大切なら、どうぞご自由に。私は出て行って差し上げます」 これは、虐げられた主人公が、過去を断ち切り幸せを掴む物語。 ※19話完結。 毎日夜9時ごろに投稿予定です。朝に投稿することも。お気に入り登録していただけたら嬉しいです♪

婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~

ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」 義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。 父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。 けれど―― 公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。 王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。 さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。 そして下されたのは――家ごとの褫奪。 一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。 欲しがったのは肩書。 継いだのは責任。 正統は叫びません。 ただ、残るだけ。 これは、婚約を奪われた公爵令嬢が “本当に継がれるべきもの”を証明する物語。

【完結】新婚生活初日から、旦那の幼馴染も同居するってどういうことですか?

よどら文鳥
恋愛
 デザイナーのシェリル=アルブライデと、婚約相手のガルカ=デーギスの結婚式が無事に終わった。  予め購入していた新居に向かうと、そこにはガルカの幼馴染レムが待っていた。 「シェリル、レムと仲良くしてやってくれ。今日からこの家に一緒に住むんだから」 「え!? どういうことです!? 使用人としてレムさんを雇うということですか?」  シェリルは何も事情を聞かされていなかった。 「いや、特にそう堅苦しく縛らなくても良いだろう。自主的な行動ができるし俺の幼馴染だし」  どちらにしても、新居に使用人を雇う予定でいた。シェリルは旦那の知り合いなら仕方ないかと諦めるしかなかった。 「……わかりました。よろしくお願いしますね、レムさん」 「はーい」  同居生活が始まって割とすぐに、ガルカとレムの関係はただの幼馴染というわけではないことに気がつく。  シェリルは離婚も視野に入れたいが、できない理由があった。  だが、周りの協力があって状況が大きく変わっていくのだった。

妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます

tartan321
恋愛
最後の結末は?????? 本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。

(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?

青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。 けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの? 中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。

処理中です...