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第四章
24.過去の記憶と見えてきた全体像
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ループ前、王宮図書館で生徒会用の資料集めをしていた時、たまたま見つけた新聞記事⋯⋯。
【検証、呪術は魔法に匹敵するか!? 建国王逝去から、様々な不運に見舞われ続けたビルワーツ公国】
その記事は、連合王国と公国の戦いが終結した直後に出されていた。
軍の指揮系統の混乱や伝達ミス、兵士の離反や原因不明の体調不良。内部分裂による議会の紛糾と、情報漏洩。国の至る所で起きた疫病や原因不明の出火。
(セルビアスの呪術で、これ程のことができるとは思えない。もしこんな事ができるなら、セルビアスの呪術はもっと有名になっているはずだもの)
時間を見つけては過去の史実を調べたが、エレーナの予想通り特に目立つものは見つからず、この戦いの時にだけ呪術が役に立ったとは考えられなかった。
戦争より前から兵が内部に侵入していれば、指揮系統を混乱させることや、情報を漏洩させる事など簡単に行える。
薬草に詳しいセルビアスなら原因不明の体調不良も、疫病に見せかけて病人を集団発生させることも、お手のものだろう。
エレーナが予測したのは⋯⋯。
オーレリアが参戦を決めるまで苦戦を強いられたのは呪術ではなく、事前の仕掛けを功を奏しただけ。それに加えて、国民全員が持つビルワーツ至上主義に起因した、戦意の低下や将来への不安。
呪術の有効性を示す記録は見つからなかったものの、同じ頃に出た新聞記事に少し気になるものがあった。
【傾国の美女ダニアは、かの建国王を超越。類稀なる美貌と際立った叡智の秘密は!?】
内容を読むと⋯⋯ラピスラズリにはいくつかの薬効が認められているが、原石から放たれるオーラから得られる老化防止と、美肌効果が公妾ダニアの美しさの源になっている。
公妾ダニアの知性・直観力・判断力が先の戦争でセルビアス軍の戦略に大いに役立ったのは、『パワーストーンであるラピスラズリの力ですわ』と語っていた。
そして、記事の最後には書かれていたのは。
【連合王国が戦争に踏み切ったのは侵略目的ではなく、大国の魔導士を後ろ盾に傲慢な政策を推し進める公国への警告だった】
「セルビアスか連合王国が全部計画して動いてるって事っすか?」
いまだ半信半疑のジェイクは、エレーナとルーナの様子をチラチラと窺いながら少し首を傾げた。
ループ前の記憶を辿っている時も話している最中も、帳簿を捲りメモを取り続けるエレーナのスピードは変わらない。
「昨日ジョーンズさんに話を聞いた後は、アメリア様の情報を掴んだセルビアスか連合王国が画策したと考えたのだけど、それでは辻褄が合わないの。
もしかしたら⋯⋯全ての絵図を描いたのはニール様かもしれないわ」
アメリアが亡くなったのは事故だったと信じ込んでいたが、その大前提が崩れると今まで見えていなかったものが見えてきた。
それは用意周到でタイミングの良すぎる開戦。
セロリとケールを植える、とてつもなく嫌らしい計画に犯人の心の闇を垣間見た気がする。堂々としていて陰湿で、搦手から隙を狙い後は高みの見物を決め込む。
「アメリア様が特定の日、特定の場所に護衛なしで出かけられるなんて、かなりの機密事項だわ。アメリア様の情報を外部に漏らした人が、何故そんなことをしたのかを考えてみたの」
公国内であれほど大切にされているアメリアの情報を知るのは、かなり身近な人物としか思えないが、宮殿内はアメリア至上主義者で固められている。
「そう言われてみれば⋯⋯どれだけ親しくなっても、余所者に口を滑らすとは思えませんね」
「でも、アメリアにめちゃくそ冷遇されているニールなら、やりかねないってこと? 確かにありえるかも」
「アメリア様の情報を流してセルビアスを唆し、ダニアを送り込んで連合王国を巻き込ませる。で、自身は離れたところから高みの見物をする。
ニール様は自分の手を汚さず恨みを晴らせるわ」
「セロリとケールをいつから植えはじめたのか分からないけど、侵略戦争の全体図ととても似通ってると思うの」
アメリアは決まった日に必ず一人であの丘に行く、セロリの好きな馬に乗っている、ケールは馬に 疝痛を起こさせる⋯⋯知っているだけでは罪にならない。
セルビアスにアメリアの情報を流した、次期王はマーカスになる可能性が高い、国はビルワーツの名前に依存している⋯⋯教えただけでは罪にならない。
どちらも、パズルを並べた奴が悪いと言い逃れられる。
「うーん、んん? えーっと⋯⋯そうか、バレたら確実に非難はされるけど、罪にならないっすね!」
「なにそれ、超胸糞悪い! 殺りたいなら堂々とやる。んで、潔く罪を認める」
ルーナらしい潔さにジェイクが苦笑いを浮かべた。
「恨みは晴らしたいけど、罪に問われるのは嫌だと思うのが普通ですからねぇ。ルーナ様のような考えの犯罪者がいたら、司法が喜ぶっしょ」
馬具に傷を入れて直接攻撃に出たのは今年だけ⋯⋯となると考えられるのは、セルビアスや連合王国の準備ができたから直接攻撃にでた、もしくは準備ができたと催促された、セルビアスか連合王国の独断⋯⋯。
「犯罪を実行する決断をさせた証拠が掴めなければ、教唆犯にも出来ないし、犯罪を犯す予定だとか計画を知っていたとか、それを証明できなければ幇助犯にも出来ないの」
「じゃあ、馬具に傷をつけたって証明できれば?」
「それは間違いなく罪になるわ」
恐らく、犯人は紛れ込んでいたセルビアスの兵の一人で、既に逃走していると推測している。
(先代当主様達が亡くなられた頃のアルムヘイル王宮のように、宮殿内には既に敵兵が潜んでいると、気付いていれば良いのだけど⋯⋯)
「全体像の中で『馬具の傷』だけが異質に感じられるから、セロリやケールを植える事を考えて実行させたのと、馬具に傷をつけさせたのは別人だと思う」
前者は理論的な間接攻撃で、後者は短絡的な直接攻撃。
「俺もそう思います。セロリ野郎はネチネチしてて変質者っぽいし、馬具男は工作員みたいな感じがしますもん」
ニールが主犯だとしたら、ある意味納得ができる。アメリアは多くの人々に愛され、国の至宝として華やかな場に立ち続けている。それに対してニールは、結婚はしたけれどなんの役得もなく、何年も離れに押し込められている。
長年の恨みや嫉みを拗らせて計画したとしたら、準備にかかる手間も復讐のスパイスだったのかもしれない。
(ループ前のニール様がそんな感じだったもの。恨みと怒りに凝り固まって、ネチネチと暴言を吐き続けたり、暴力を振るったり)
「ニール様が主犯格だと思うのは、この国の本質に気付くのはセルビアスや連合王国では難しいと考えたからなの。
公国の本質を見抜けるくらい身近にいて、アメリア様達を誰よりも恨んでいる。簡単に殺すだけじゃ気が済まないくらいに、根深く陰湿な恨みを抱いてる人」
ミセス・ブラッツと組み、エレーナの予算を流用して私腹を肥やし続けてきたが、そのやり方にニールの歪みきった性質が現れている気がする。
輸出先は、帝国・アルムヘイル・クレベルン・連合王国。連合王国内4部族の、ハザラス・セルビアス・フェドラム・ノルバイン。
「輸入先には他の国の住所もかなりあるけど、輸出先は公国と因縁のある国ばかりで、今のところ他の国のものは見つかっていないのも理由のひとつだわ」
「うげぇ、ニールってキモい! キモすぎ」
ビルワーツがアルムヘイルに所属していた頃から、敵対していた国だけを選んで取引しているニールに悪意がないとは思えない。
「取引の記録では、ある時期からセルビアスへラピスラズリの原石を輸出しなくなってて、それと同時に連合王国へ輸出しはじめてる。ダニアが公妾になった時期と重なるんじゃないかしら」
ラピスラズリは熱や衝撃に弱く扱いの難しい半貴石だが、薬として使っているダニアはかなりの量を必要としているはず。
「後、ちょっと変わった発注書を見つけたわ。一時期、ミセス・ブラッツはバロックパールの中でも、犬の歯形の真珠を執拗に探していて、実際に仕入れているの。
今のところ売り捌いた形跡がないから、まだ手元にあるのか誰かにプレゼントしたのか。
売っていなければ、ミセス・ブラッツはニール様の計画を知っているわ」
バロックパールは変形した歪なパールの事を言い、犬の歯形をした真珠は『激しい仕返し』という攻撃的で怖い宝石言葉を持つ。
「ええっ! そんなえげつない石言葉とか聞いた事ないよ! マジでそんなのがあるの!?」
「牙を剥いてでも飼い主を守る、って言うのが本当の意味なんだけど、言葉そのままならニール様の心情にピッタリって感じがしない?」
ミセス・ブラッツの過去は知らないが、宝石の石言葉を気にするタイプには見えなかった。恐らくは誰かからの受け売り。
「ミセス・ブラッツかぁ⋯⋯ニール様とは全く交流がないんで、なんとも言えないんすけど⋯⋯ミセス・ブラッツなら口を割りそうな気がしませんか?」
「あっ、アタシもそう思う! あのバカ女なら、上手く誘導すればポロポロ喋りそう」
そこはジョーンズに期待したいところ。アメリア至上主義なら『役立たずのニールめ!』と思っていてもおかしくない。
「俺、軍に顔出して来るんで、調べてる間は領地経営よろしくです。無理のない程度でいいっすからね」
「アタシは母ちゃんに聞いてみるよ。連合王国に公妾のダニアってのがいるか、いたらどんな奴なのか。女の情報は女の方が正確だからね。
それにしてもさあ、こんな難しい話をしてるのに、エレーナちゃんの手は、なんで止まんないの?」
ルーナとジェイクに説明をしている間に終わらせた帳簿を、メモの横に並べて次の帳簿に手を伸ばしたエレーナに、ルーナとジェイクが首を傾げた。
「えーっと、マルチタスク? 時間の有効活用で⋯⋯お二人とも、手が止まっておりますわよ?」
【検証、呪術は魔法に匹敵するか!? 建国王逝去から、様々な不運に見舞われ続けたビルワーツ公国】
その記事は、連合王国と公国の戦いが終結した直後に出されていた。
軍の指揮系統の混乱や伝達ミス、兵士の離反や原因不明の体調不良。内部分裂による議会の紛糾と、情報漏洩。国の至る所で起きた疫病や原因不明の出火。
(セルビアスの呪術で、これ程のことができるとは思えない。もしこんな事ができるなら、セルビアスの呪術はもっと有名になっているはずだもの)
時間を見つけては過去の史実を調べたが、エレーナの予想通り特に目立つものは見つからず、この戦いの時にだけ呪術が役に立ったとは考えられなかった。
戦争より前から兵が内部に侵入していれば、指揮系統を混乱させることや、情報を漏洩させる事など簡単に行える。
薬草に詳しいセルビアスなら原因不明の体調不良も、疫病に見せかけて病人を集団発生させることも、お手のものだろう。
エレーナが予測したのは⋯⋯。
オーレリアが参戦を決めるまで苦戦を強いられたのは呪術ではなく、事前の仕掛けを功を奏しただけ。それに加えて、国民全員が持つビルワーツ至上主義に起因した、戦意の低下や将来への不安。
呪術の有効性を示す記録は見つからなかったものの、同じ頃に出た新聞記事に少し気になるものがあった。
【傾国の美女ダニアは、かの建国王を超越。類稀なる美貌と際立った叡智の秘密は!?】
内容を読むと⋯⋯ラピスラズリにはいくつかの薬効が認められているが、原石から放たれるオーラから得られる老化防止と、美肌効果が公妾ダニアの美しさの源になっている。
公妾ダニアの知性・直観力・判断力が先の戦争でセルビアス軍の戦略に大いに役立ったのは、『パワーストーンであるラピスラズリの力ですわ』と語っていた。
そして、記事の最後には書かれていたのは。
【連合王国が戦争に踏み切ったのは侵略目的ではなく、大国の魔導士を後ろ盾に傲慢な政策を推し進める公国への警告だった】
「セルビアスか連合王国が全部計画して動いてるって事っすか?」
いまだ半信半疑のジェイクは、エレーナとルーナの様子をチラチラと窺いながら少し首を傾げた。
ループ前の記憶を辿っている時も話している最中も、帳簿を捲りメモを取り続けるエレーナのスピードは変わらない。
「昨日ジョーンズさんに話を聞いた後は、アメリア様の情報を掴んだセルビアスか連合王国が画策したと考えたのだけど、それでは辻褄が合わないの。
もしかしたら⋯⋯全ての絵図を描いたのはニール様かもしれないわ」
アメリアが亡くなったのは事故だったと信じ込んでいたが、その大前提が崩れると今まで見えていなかったものが見えてきた。
それは用意周到でタイミングの良すぎる開戦。
セロリとケールを植える、とてつもなく嫌らしい計画に犯人の心の闇を垣間見た気がする。堂々としていて陰湿で、搦手から隙を狙い後は高みの見物を決め込む。
「アメリア様が特定の日、特定の場所に護衛なしで出かけられるなんて、かなりの機密事項だわ。アメリア様の情報を外部に漏らした人が、何故そんなことをしたのかを考えてみたの」
公国内であれほど大切にされているアメリアの情報を知るのは、かなり身近な人物としか思えないが、宮殿内はアメリア至上主義者で固められている。
「そう言われてみれば⋯⋯どれだけ親しくなっても、余所者に口を滑らすとは思えませんね」
「でも、アメリアにめちゃくそ冷遇されているニールなら、やりかねないってこと? 確かにありえるかも」
「アメリア様の情報を流してセルビアスを唆し、ダニアを送り込んで連合王国を巻き込ませる。で、自身は離れたところから高みの見物をする。
ニール様は自分の手を汚さず恨みを晴らせるわ」
「セロリとケールをいつから植えはじめたのか分からないけど、侵略戦争の全体図ととても似通ってると思うの」
アメリアは決まった日に必ず一人であの丘に行く、セロリの好きな馬に乗っている、ケールは馬に 疝痛を起こさせる⋯⋯知っているだけでは罪にならない。
セルビアスにアメリアの情報を流した、次期王はマーカスになる可能性が高い、国はビルワーツの名前に依存している⋯⋯教えただけでは罪にならない。
どちらも、パズルを並べた奴が悪いと言い逃れられる。
「うーん、んん? えーっと⋯⋯そうか、バレたら確実に非難はされるけど、罪にならないっすね!」
「なにそれ、超胸糞悪い! 殺りたいなら堂々とやる。んで、潔く罪を認める」
ルーナらしい潔さにジェイクが苦笑いを浮かべた。
「恨みは晴らしたいけど、罪に問われるのは嫌だと思うのが普通ですからねぇ。ルーナ様のような考えの犯罪者がいたら、司法が喜ぶっしょ」
馬具に傷を入れて直接攻撃に出たのは今年だけ⋯⋯となると考えられるのは、セルビアスや連合王国の準備ができたから直接攻撃にでた、もしくは準備ができたと催促された、セルビアスか連合王国の独断⋯⋯。
「犯罪を実行する決断をさせた証拠が掴めなければ、教唆犯にも出来ないし、犯罪を犯す予定だとか計画を知っていたとか、それを証明できなければ幇助犯にも出来ないの」
「じゃあ、馬具に傷をつけたって証明できれば?」
「それは間違いなく罪になるわ」
恐らく、犯人は紛れ込んでいたセルビアスの兵の一人で、既に逃走していると推測している。
(先代当主様達が亡くなられた頃のアルムヘイル王宮のように、宮殿内には既に敵兵が潜んでいると、気付いていれば良いのだけど⋯⋯)
「全体像の中で『馬具の傷』だけが異質に感じられるから、セロリやケールを植える事を考えて実行させたのと、馬具に傷をつけさせたのは別人だと思う」
前者は理論的な間接攻撃で、後者は短絡的な直接攻撃。
「俺もそう思います。セロリ野郎はネチネチしてて変質者っぽいし、馬具男は工作員みたいな感じがしますもん」
ニールが主犯だとしたら、ある意味納得ができる。アメリアは多くの人々に愛され、国の至宝として華やかな場に立ち続けている。それに対してニールは、結婚はしたけれどなんの役得もなく、何年も離れに押し込められている。
長年の恨みや嫉みを拗らせて計画したとしたら、準備にかかる手間も復讐のスパイスだったのかもしれない。
(ループ前のニール様がそんな感じだったもの。恨みと怒りに凝り固まって、ネチネチと暴言を吐き続けたり、暴力を振るったり)
「ニール様が主犯格だと思うのは、この国の本質に気付くのはセルビアスや連合王国では難しいと考えたからなの。
公国の本質を見抜けるくらい身近にいて、アメリア様達を誰よりも恨んでいる。簡単に殺すだけじゃ気が済まないくらいに、根深く陰湿な恨みを抱いてる人」
ミセス・ブラッツと組み、エレーナの予算を流用して私腹を肥やし続けてきたが、そのやり方にニールの歪みきった性質が現れている気がする。
輸出先は、帝国・アルムヘイル・クレベルン・連合王国。連合王国内4部族の、ハザラス・セルビアス・フェドラム・ノルバイン。
「輸入先には他の国の住所もかなりあるけど、輸出先は公国と因縁のある国ばかりで、今のところ他の国のものは見つかっていないのも理由のひとつだわ」
「うげぇ、ニールってキモい! キモすぎ」
ビルワーツがアルムヘイルに所属していた頃から、敵対していた国だけを選んで取引しているニールに悪意がないとは思えない。
「取引の記録では、ある時期からセルビアスへラピスラズリの原石を輸出しなくなってて、それと同時に連合王国へ輸出しはじめてる。ダニアが公妾になった時期と重なるんじゃないかしら」
ラピスラズリは熱や衝撃に弱く扱いの難しい半貴石だが、薬として使っているダニアはかなりの量を必要としているはず。
「後、ちょっと変わった発注書を見つけたわ。一時期、ミセス・ブラッツはバロックパールの中でも、犬の歯形の真珠を執拗に探していて、実際に仕入れているの。
今のところ売り捌いた形跡がないから、まだ手元にあるのか誰かにプレゼントしたのか。
売っていなければ、ミセス・ブラッツはニール様の計画を知っているわ」
バロックパールは変形した歪なパールの事を言い、犬の歯形をした真珠は『激しい仕返し』という攻撃的で怖い宝石言葉を持つ。
「ええっ! そんなえげつない石言葉とか聞いた事ないよ! マジでそんなのがあるの!?」
「牙を剥いてでも飼い主を守る、って言うのが本当の意味なんだけど、言葉そのままならニール様の心情にピッタリって感じがしない?」
ミセス・ブラッツの過去は知らないが、宝石の石言葉を気にするタイプには見えなかった。恐らくは誰かからの受け売り。
「ミセス・ブラッツかぁ⋯⋯ニール様とは全く交流がないんで、なんとも言えないんすけど⋯⋯ミセス・ブラッツなら口を割りそうな気がしませんか?」
「あっ、アタシもそう思う! あのバカ女なら、上手く誘導すればポロポロ喋りそう」
そこはジョーンズに期待したいところ。アメリア至上主義なら『役立たずのニールめ!』と思っていてもおかしくない。
「俺、軍に顔出して来るんで、調べてる間は領地経営よろしくです。無理のない程度でいいっすからね」
「アタシは母ちゃんに聞いてみるよ。連合王国に公妾のダニアってのがいるか、いたらどんな奴なのか。女の情報は女の方が正確だからね。
それにしてもさあ、こんな難しい話をしてるのに、エレーナちゃんの手は、なんで止まんないの?」
ルーナとジェイクに説明をしている間に終わらせた帳簿を、メモの横に並べて次の帳簿に手を伸ばしたエレーナに、ルーナとジェイクが首を傾げた。
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