DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フレデリック/しろさん編〉

第七話『もうひとつの顔』 1

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        『少しずつ大きさをます白い光のシルエット。
     その光が消えた時、もうひとりの見知らぬ人物が現れた。』

**************************************

 フリーナは全力ぜんりょくで気ばっていた。

 ジュンのやつが、フリーナだけじゃこころもとないと言いだし、
ブリーチみたいに恐竜きょうりゅうサイズになれるかどうかやってみろと、
フリーナをきつけたのだ。

「ほらほら、もっと気合きあいを入れろー!」

「アウゥゥゥ~!」

 わしとユカとタクが見守みまもるなか、
フリーナは両手りょうてをにぎりしめ、うなり声を上げながらりきんでいたが、
まるでトイレでもするかのようなポーズだった。

「あ~ん! もうだめぇぇ~……」

 フリーナはしおしおと小さくなっていった。
あんなに力をこめたのに、いつもの白くまサイズからちっとも大きくならなかった。

「やはり、素質そしつがものを言うのかのう」わしは腕をくんでいた。
「おぬしは、ブリーチのほかにも巨獣きょじゅうサイズになったドラギィを
見たことはあるのか?」

「ない~。ムリ~」フリーナはジュンの手のひらでダウンしていた。
「できたら、みんな大さわぎってところカナ。天才てんさいあかしだから。
でも、ブリーチが天才ドラギィだなんて、ナットクできない~……」


 さらわれたブリーチをってレンとフレディがび立ってから、
もうかれこれ三十分をすぎようとしていた。
いくらなんでもおそすぎるブリーチたちのかえりに、
子どもたちは不安ふあんをつのらせていた。――むろん、わしもだ。

「やっぱり、レンたちになんかあったんじゃねえ?」
と、ジュンが言った。

「もしかして、さらわれたブリーチがまだ見つからないとか」
と、ユカが推測すいそくした。

「アタシにいわせれば、探しても見つからないからって、
フレディがわんわんき出して、空から墜落ついらくしちゃったってとこカナ」

 フリーナは、エネルギー補給ほきゅうのために、
ユカのチョコマシュマロをまたもりもりと口に入れていた。

「アォン。コレ、ほんとにおいしいネ。ユカちゃん、おかわり!」

「え~! まだ食べるの? フリーナったら食べすぎ。
チョコマシュマロ、もう全部ぜんぶなくなっちゃったよ」

「ええ~?」フリーナがなげいた。

「え~、ではないわい」わしはユカの手のひらから、かおをしかめて言った。

「ブリーチとフレディがエネルギー切れを起こしていたらどうする。
おぬしが全部食べてしまったら、いざという時に補給できないじゃろう」

「レンくんたちの居場所いばしょ、分からないかな」と、ユカがたずねた。

「それなら大丈夫」自信じしんたっぷりに答えたのは、タクだった。
「今、ふしぎレーダーで調しらべてみたけど、
ブリーチとフレディの反応はんのうはあるよ。ふたりともレンのそばにいるみたい」

 わしの作ったふしぎレーダーアプリは、
表世界おもてせかい地図ちずデータしかインプットしていないから、
画面がめん表示ひょうじされるのは裏世界にぞくする生物せいぶつ生体反応せいたいはんのうだけ。
それにしても、ブリーチが見つかったのなら早くもどってくればいいものを、
フレディは何をもたもたとしているのか。

「しろさん、ネズミパッドでドローンの映像えいぞうを見れないの?」

「それが、撮影さつえいした映像えいぞうはラボでしか見られないのじゃ。
ラボと交信こうしんして報告ほうこくをうけたいが、それにはいったん表世界にもどらねば。
わしもずっとそばで見守るつもりじゃったので、よもやこうなるとは」

「らしくないなあ」タクがにんまりとした。
「もしかして、ネズミパッドで映像を見られるようにする設定せっていを、
わすれてきちゃったとか?」

 ドキッ! 図星ずぼしをさされて、わしはぶるっとぶるいした。

「アタシ、レンたちをさがしてくるヨ!」

 フリーナが、ジュンの手から飛び上がった。

「おいおい! 行くなよ、ボディガード!」

「あ」フリーナはピタリと止まった。

 わしはフリーナに、
うっかりとものわすれ以外いがい得意とくいなことはないのかとたずねた。

「ワゥワゥ! その言いかたー!」

 フリーナは空中でプンスカとはらを立てて、わしの目の前に飛んできた。

「なんだかよくわかんない研究しかできないしろさんに、
あれこれ言われたくないヨ」

「なんじゃと! 食料しょくりょうを全部食べておいて、なーにをえらそうに!
わしだって、長いさすらいのたびのなかで、
あらゆるスキルを身につけてきたんじゃぞ。
なかでも、護身術ごしんじゅつには自信があるのじゃ。
いたずらねことか、狂暴きょうぼうな鳥とか、天敵てんてきはわんさかおったからのう」

「じゃあ、証拠ショーコみせてヨ。
そんな小さい体じゃ、どうせなんにもできないでしょうけども!」

「あ、あのさ」ユカが口をはさんできた。
「取りこみ中のとこ悪いんだけど、なんか危なそうな恐竜きょうりゅうがこっちに――」

 見ると、草原そうげんのむこうからこちらめがけて走ってくる、
二頭にとう肉食恐竜にくしょくきょうりゅうの姿があった。大型ではないが、
手足のするどいかぎヅメとすばやいあしが、その危険性きけんせい物語ものがたっている。
赤い体に、みどりと白のすじや斑点はんてんがあって、どこか野蛮やばんそうだ。

「ディノニクスだ!」タクがさけんだ。
「やばい、やばい! フリーナ、なんとかして!」

「ふふん、いまこそアタシのハッピー☆スパークの出番でばんだネ。
見てな、ドラギィの電撃でんげきはすごいんだから」

 フリーナはかるくストレッチをしてから、
両手をにぎりしめて巨大化きょだいかしようとした。


 だがそのとき、わしはすでにユカの手のひらから飛び出していた。

 そして、わしはなんの前ぶれもなく、一瞬いっしゅんの白い光に体がつつみこまれた。
フリーナと子どもたちは、目を見張みはったことだろう。
すこしずつ大きさをます、わしの白い光のシルエット。


 その光が消えた時、もうひとりの見知らぬ人物じんぶつが現れた。


 二頭のディノニクスに向かっていくその人物じんぶつは、まさしくわしだった。
けれど、わしであってわしでないものだったのである。
 
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