DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フレデリック/しろさん編〉

第四話 3

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   『かれらに自分の秘密を明かす日は、もうそれほどとおくない気がする。』

**************************************

 わしは自分の部屋へやのデスクにあるモニターの前で、
カップからゆうゆうとまめスープをいただきながら、
一連いちれん入手映像にゅうしゅえいぞうにたいして思いをめぐらせていた。

 ――ルドルフめ、あんなところにアジトをかまえていたとは。

 ひさしぶりに再会するときが、近づきつつあるようだ。
しかも、耳よりの情報じょうほうが手に入った。
とうとう異界穴いかいあなをひらく技術ぎじゅつを、独自どくじにつくりあげてしまうとは。
ビオラ博士はかせ、あいかわらずすみにおけないレディキャットだ。

「まあでも、このわしにはまだまだとうてい、いついておらんがのう」

 来るなら来い。そうしたら、わしのとっておきの新発明で、
おぬしらをむかってやろう――などと思っていたら、
部屋のドアがすっと開いて、部下ぶかのこまつくんがてくてくと入ってきた。

「フレデリック博士、そろそろ懇親会こんしんかいへむかわれるお時間では?」

「おおっと、そうじゃったな! こんなところでのんびりしていられん」

 わしはモニターの電源げんげんを切り、イスからぴょんとびおりると、
今日の懇親会こんしんかいで会う人間たちのかおを思いうかべた。
いつも天竺てんじくチーズに必要ひつようなあんな素材そざい、こんな素材そざい提供ていきょうしてくれる、
化学製品かがくせいひんメーカーの取引担当者とりひきたんとうしゃたちだ。
わしはそのすじではけっこう顔が知られている方なので、取引とりひきのお相手あいてから
かくメーカー同士どうししんぼくをふかめるための集まりにさそわれることがあるのだ。
――とはいえ、わしのチーズ研究は人間のために行っているものではない。
なので、たとえラボについてあれこれ詮索せんさくされても、
ろらりくらりとテキトーなウソを返すだけなのだが。

「いやあ、博士もブリーチさまけんでおいそがしいのに、よく行かれますね。
ぼくもたくさんの人間とおしゃべりしてみたいものです。見聞けんぶんを広めるためにね」

「人間を相手あいてにする以上いじょう、つきあいが肝心かんじんじゃからのう。
さあてと、また変身へんしんしなければいかんなあ」

直接会ちょくせつあ必要ひつようがないときは、
映像改えいぞうかいざんソフトで人間のふりをして、モニターごしで取引とりひきしますからね。
それでは、お気をつけていってらっしゃいませ」

 *

 どうしてネズミのわしが、
なんでも調査隊ちょうさたいの子どもたち以外いがいの人間と直接会ちょくせつあうことができるのか。
すくなくとも、ドラギィたちには分かりにくいものがあるだろう。
子どもたちなら、ラボが開発したメカかくすりをつかって人間にけるのだろうと、
推理すいりすることくらいはできるかもしれない。
だが、はっきり言わせてもらいたいのだが、けしてそうではない。
これはそんなに単純たんじゅんはなしなんかじゃないのだ。
この小さな体にめられたなぞは、く、深く、そしてとてもフクザツなのである。

 わしは夕陽ゆうひらされた大通おおどおりの歩道ほどうを、えきにむかって歩いていた。
懇親会こんしんかい会場かいじょうがある、都会とかいのみらいまちへと移動いどうするためだ。
白とグレーのストライプがらちょうネクタイに、白くまぶしいようなパーティースーツ。
奇異きいの目にさらされないよう、
くるっとした白いかみはいつもどおりに目立たない程度ていどにセット。
片手かたて革製かわせいバッグには、だれにも見せられない秘密ひみつアイテムを数種類すうしゅるい
こんなに堅苦かたくるしく、男前おとこまえなかっこうなど、特段とくだん用事ようじがなければまずはしない。

(わしがネズミであることは、まだだれにも秘密じゃ)

 人知れずニヤリとわらうわしの脳裏のうりに、レンとドラギィたちの姿すがたがうかんだ。
かれらの自分の秘密をかす日は、もうそれほどとおくない気がする。
わしらはかなりしたしくなった。そろそろ真実しんじつを話してもいい頃合ころあいだろう。


 今まさに、夕陽の光をにして歩くわしの後ろ姿は、
人間のそれとまったくわらない。
 
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