DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フレデリック/しろさん編〉

第七話 4

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   『「ここはすばらしい場所ですわ! おかしな恐竜に、おかしな植物。
       科学かがく進歩しんぽ役立やくだちそうな、研究けんきゅうテーマの宝庫ほうこ!」』

**************************************

 ――フリーナは、七色なないろにかがやいていた。

 裏世界の天気てんき無理むりやりに雷雲らいうんえ、落雷らくらいをおこし、
すさまじいりょう電気でんきべたフリーナは、ほとばしるオーラにつつまれている。

「どうだぁ! 元気百倍げんきひゃくばい、パワー全開ぜんかいな、アタシのもうひとつの姿すがたであーる!」

 フリーナはいつにもましてドヤ顔を決めこんでいた。わしのマネだろうか?
ドラギィの生みだす電気は、七色のかがやきをはなつ。
体の治癒ちゆだけでなく、肉体にくたいつよくする効果こうかもある。
わしは以前に彼女自身の口から聞いていたので、いちおう知ってはいたが、
フリーナが恐竜きょうりゅう勝負しょうぶしようとするほど、好戦的こうせんてきなやつとはおもえない。

 ユカ、ジュン、タクがあっけにとられている。
この時点でのわしもはじめての光景こうけいだったので、
彼女かのじょ神々こうごうしいような姿をあなくほど見つめていた。

「すごい! そんなことまでできちゃうんだ」と、ユカがった。

「ほーお、それがイエロー種の『かみなりオーラ』か」

 人間姿にんげんすがただったわしは、実物じつぶつを見て感心かんしんし、両腕りょううでをくんだ。

「それで強くなれたのなら、ブリーチの修行相手しゅぎょうあいてになりそうじゃがのう。
本当に元気百倍、パワー全開なのか?」

「ガゥガゥ! まだ信用しんようしてないノ!?」

 フリーナはカリカリしながら、白くまサイズのままでわしの目の前にりてきた。
着地ちゃくち瞬間しゅんかん、ずしりとした両脚りょうあし地面じめんがゆれたような気がした。

「アタシ、強くなったんだから。いまならそのかっこうのしろちゃんだって
ぺしゃんこにできちゃうんだからネ! ガウ!」

「ハハハッ、ぺしゃんこにするのだけはよしてくれ。
証拠しょうこをみせたいなら、あそこでのんびり歩いているブラキオサウルスを、
ひっくり返して見せてみろ」

 ここから百メートル以上先いじょうさき野原のはらでこちらを見つめていた、
紫色のブラキオサウルス。

「あれは――」フリーナはきゅう態度たいどをひるがえし、モジモジしだした。
「あれは、その――恐竜はよしてくれない?
だって、なにも知らずにひっくり返されたら、かわいそうだし」

「やっぱり強くなってねーの?」

 ジュンがからかった。
フリーナはうなり声をあげて、いまにもあばれだしそうだった――が、その時だ。
わしらのすぐ近くからだれかの声がした。


「まあ、この世界には光る恐竜もいますのねえ。
ただずいぶんと――毛の多い恐竜と見受みうけられますけど」


 わしの背後はいごに、一匹いっぴきねこがいた。黒猫だ。むろん、ただの黒猫じゃない。
――二本足で立っている。白衣はくいている。
ボストンがたの金ぶちメガネに、セットされた頭の白い毛。
まるでアニメに出てきそうないで立ちで登場とうじょうした黒猫は、
あやしげなみをうかべながら、片手かたて電子でんしパッドをかかえている。

「うわっ! あれって――えっ、猫? 猫だよね?」

 タクが目をしばたたいている。

「どうしてあたまかみの毛をセットしてるんだろ」

 ジュンがすぐさまつっこむ。「気にするとこ、そこかよ!」

 黒猫の科学者かがくしゃは、猫らしい愛嬌あいきょうとそこはかとない色気いろけをふりまくように、
たおやかにしっぽを左右さゆうにふりながら二、三歩こちらにあゆみよった。

「ふふっ、おはつにお目にかかりますわ、人間のみなさま。
わたくし、黒猫科学者くろねこかがくしゃのビオラといいますの」

 ビオラ博士は、深々ふかぶかとおじぎをしてみせた。

「じつはわたくし、月夜つきよをのんびり散歩さんぽしていたおりに、
あの公園こうえんでおかしな光の穴を発見はっけんいたしまして。
むこうがわにはなにがあるのやらと、科学者の血がさわいでしまい、
ついつい穴を通りぬけたところ、この奇妙な世界に来てしまいましてね」

「ほーう?」わしは冷めた笑みをうかべた。

「ここはすばらしい場所ばしょですわ! おかしな恐竜きょうりゅうに、おかしな植物しょくぶつ
科学かがく進歩しんぽ役立やくだちそうな、研究けんきゅうテーマの宝庫ほうこ
まあ、しかし、あれやこれやと目移めうつりしているうちに、道にまよってしまい。
そんなときに、あなたがたをお見かけしたというわけですわ。
ほっといたしました。人間のみなさまに保護ほごしていただけるなら、
猫のわたくしにとってこれほど心安らぐことはありません。もっとも――」

 わしの人間姿に、ビオラ博士の目がキラリとあやしく光った。

「このなかにはひとりだけ――人に化けている方がいらっしゃるようですが」

 わしは、彼女のバカげたあいさつにすっかりあきれ返ってしまい、
単刀直入たんとうちょくにゅうに切りだすことにした。

「もっとマシなウソをつけんのか、ビオラ博士。
ひさしぶりに会えたと思ったのに、わりえしないやつじゃのう。
どうせ、ドラギィに興味があるだけなんじゃろ」

「しろさん、知りあい?」と、ユカがたずねてきた。

「おう。古~いわしの同業者どうぎょうしゃじゃ。
便利べんりアイテムの開発かいはつやら、くすり開発かいはつやらはもちろん、
ふしぎ生物の研究までも行っておる。
わしを見破みやぶったのも、おなじふしぎ研究者のカンじゃろう。さすがじゃな」

「あ~らまあ」ビオラ博士はいたずらっぽく言った。
「わたくしはただ、超小型ちょうこがたの黒猫ドローンのカメラで、
あなたがたをずっと監視かんししていただけですわ。ほら、あそこに」

 後ろの木の上をふりかえると、
枝葉えだはに見え隠れしながらおともなくんでいる、一台いちだいの黒い小型のメカが見えた。
頭のほそいアンテナの先にあるのは、電波でんぱ発信機はっしんきだろう。
ごていねいにも、黒い球体きゅうたいにちゃんと黒いみみまでつけている。

 なるほど、このあいだのしっぺ返しということか。

「あれ? あのメカ、前に一度見たような――」

 タクが過去かこのできごとをふり返ろうとしている。

 頭に引っかかるのも当然とうぜんだろう。
あの黒猫ドローンは、前に巨大イカの住むみずうみ調査ちょうさしたとき、
ドラギィたちをつかまえるためにあらわれたメカと、ほぼおなじなのだから。

「ぼく、思い出した! くろさまだよ。あの悪い黒猫のメカだ!」

 タクが先に思い出した。ビオラ博士がパチパチと小さな手をたたく。

「ご明察めいさつ! よくおぼえてらっしゃいましたね。そのとおり。
わたくし、なにを隠そう、彼に契約けいやくされた科学者かがくしゃですのよ」
  
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