DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フレデリック/しろさん編〉

第八話 6

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   『ブリーチは、生々なまなましい恐竜きょうりゅうたちのたたかいを見られて、感動かんどうしただろう。
        このあと、自分のに何がこるかもらずに。』

**************************************

「まずいぜ! ありゃわれてるんだ!」

「ブリーチ、キミのチカラでなんとかできない?!」と、レンが言った。

「ガウ! まかしとけ」ブリーチがガッツポーズする。
「いまのオレさまならどんなやつにもける気が、あ、ああ~~……」


 ブリーチは、ゆるゆると仔犬こいぬサイズにもどっていった。
さしものブリーチにも、とうとうエネルギーれがきてしまったのだ。


「くぅ~ん、わるい……バテちゃったぁ~」

 ブリーチは地面じめんの上に落下らっかすると、したをむきだしにしてのびてしまった。

「ならばぼくが!」

 フレディは、すばやくティラノサウルスめがけてびだしていった。
そのすぐあとを、わしのドローンネズミが追っていく。
ブリーチを撮影さつえいするという最優先さいゆうせんプログラムをオフにしたので、
自分の意思いし自由じゆう撮影対象さつえいたいしょうりかえていかけられるようになったのだ。

「おい、そこいくデクのぼう!」

 フレディは果敢かかんにも、ケンカ文句もんくをふっかけた。
ティラノサウルスは、見慣みなれないあおいものがきゅうみちをふさいだので、
おもわず足を止めたようだった。

 フレディは両腕りょううでをひいてじゅつのかまえをとった。

「ぼくの水鉄砲みずでっぽうらってみろ! こいつはすごいぞ。
本気ほんきを出せば、いわだって簡単かんたんに、し、ながせぇ~~るぅ……」

 フレディにまでエネルギー切れがきてしまった。
空中でみるみる小さくなっていき、しまいには、
おしりから地面の上にすとんとっこちてしまったのだ。

 最悪さいあくのタイミングだ。
ティラノサウルスが、不思議ふしぎそうにフレディを見下ろし、
鼻先はなさきをすこしだけ近づけてくる。そのかおちたかげが、異様いようくなった。

「あ、ああ、あの……」

 まさに、ヘビににらまれたカエルだった。
こんな小さな体に、ち目なんてあるわけがない。
フレディは、土下座どげざのポーズをしてこう言った。

「ごごご、ごめんなさい! ぼく調子ちょうしのってました!
し、しっぽだけならおゆずり、ぐずっ、しますから、
どうか、ぐすん、見逃みのがしてください! ワゥゥゥ~~!」

 フレディが泣き出してしまった。これではもうダメだ。

 ティラノサウルスが大あごを開けはなつ。小物こもの捕食ほしょくする顔だ。

 そこへ、小さながイナズマのはやさで飛んできた。
それは、ティラノがガブリッ! と捕食ほしょくするすんでのところで、
フレディをさっとつかみ、救出した。

 二十メートルはなれた場所で、
フレディをつかんだまま空中で静止せいししたそれは――フリーナだった。
体のサイズも、わずか一回りくらいだが大きくなっている。

 わしのドローンネズミは、二匹のすがたをとらえるために急接近きゅうせっきんした。

「た、助かったよ、フリーナぁ! 食べられちゃうかと、ぐすっ、思った」

「アタシ」フリーナは、少々息しょうしょういきをきらしながら、こう言った。
「フレディのピンチだって思ったら、ハッハッ、なんだか急に力がわいてきたノ。
だって、ハッハッ、だってアタシ」

「?」



「アタシ、フレディのことが、好きなんだもん。食べられちゃったらヤダよ」

「ワゥ!? な、な、なな――」



 ティラノサウルスが、二匹めがけて走ってきた。意地いじっている。
はながきく肉食恐竜だ。ドラギィの肉がかなりの美味びみだと見たのだろう。

 フリーナは逃げ出した。
でも、逃げる方向ほうこうがまずかった。なんと、わしらのいる方向へ飛んできたのだ。

「なんでこっちに飛んでくるワケ!?」

 レンは、小さくなったブリーチをひろい上げ、まわみぎして走り出した。
わしは、いざとなったらしんがりとなってティラノを食い止めるつもりで、
こしベルトにはさんだでんでん丸に片手をそえていた。

「とにかく逃げるんじゃ! 全力ぜんりょくけ足! 走れ走れ走れーっ!」

 暗い空に稲光いなびかりがひらめき、
これまでにないほどの緊迫感きんぱくかん演出えんしゅつするかのようだった。

 わしらはいのちがけでもうダッシュした。
ドラギィたちはほぼ全滅ぜんめつ、エネルギーを補給ほきゅうする食料しょくりょうもない。
ティラノは全速力ぜんそくりょく距離きょりをちぢめてきて、人間の足ではとても逃げきれない。

 だめだ、やはりわしがたたかうしかない!
わしはピタリと足を止め、でんでん丸を引きぬき、
その顔にキツイ電撃でんげきを入れてやろうとがまえた。


 だがそこへ、ティラノの真横まよこからふいうちをかけるように、
べつの恐竜が突進とっしんしてきたのだ――トリケラトプスが!


 ダァ―――ンッ!!


 乱入者らんにゅうしゃ攻撃こうげきで、ティラノサウルスはよこざまにたおれこんだ。

「おぬしは!」

 間違まちがいない、あの三匹の子どもたちのおやだ。
わしらのピンチにかんづいて、もどってきたのだ。
ああ、そうとしかかんえられなかった。

 ギャオオオ―――ゥ!

 トリケラトプスがたけびを上げ、大地だいちをふみならした。

 ギャガアアアア――ッ!

 ティラノサウルスがすぐさまき上がり、すさまじい咆哮ほうこうをあげる。

 わしの目の前で、大恐竜たちがはげしい体のぶつけあいをはじめた。
ネズミの視点してんから見たボスねこどうしのケンカとは、まるでかくがちがう。
かたふがちつけられる音、ふがこすれあう音、
トリケラトプスがくびみつかれる痛々いたいたしい音、
トリケラトプスがけじとをひねり、ティラノの頭を地面にたたきつける音。
二体の恐竜たちのあらそいが、グラグラと大地をゆらし、
けたたましい咆哮ほうこうが、雷鳴らいめいとどろくなかで空気くうきをふるわせた。

「しろさん、しろさん。早くこっち!」

 レンが手をふって呼びかけてきた。
前方ぜんぽうに、背の高い針葉樹しんようじゅがぽつんとそびえているのが見える。
レンはその木の根元ねもとにいた。

 わしはすぐさまレンたちのもとへけよった。

「フリーナよ! もうすこし考えて行動こうどうできんのか!」

「しょうがないじゃん、ちゃんと考えるヒマなかったんだモン!」

「キミ、さっきぼくに――」

 フレディは、フリーナにかれたままなにかを言いかけたが、
それはブリーチのさけび声でさえぎられてしまった。

「す、すっげえ! あんなバトル、はじめて見たぜ!」

 ブリーチは、生々なまなましい恐竜たちのたたかいを見られて、感動かんどうしただろう。
このあと、自分のに何がこるかもらずに。

「あの三人は、いまどこじゃ!?」

「あそこ! 恐竜たちの背中せなかに乗ったまま、十分じゅうぶん距離きょりってるみたい」

 レンは、ここからそう遠くない小高い丘の上を指さした。

「うむ、トリケラトプスがやつをきつけておる。
いまのうちに、あの子たちと合流ごうりゅうして、異界穴いかいあな直行ちょっこうじゃ!」


 しかし、ちょうどその時だ。
ティラノがトリケラトプスを頭突きしてたおした。
その一瞬いっしゅんのスキをついて、やつはわしらの方へ走りこんできた。

「やばい!」

 しかし、トリケラトプスもひるまずにすぐ体勢たいせいをととのえ、
後ろからティラノの胴体どうたいにつっこんできた。
そして、二体は爆音ばくおんを上げて地面に倒れこみ、
スライドする二体の体がわしらのすぐ目の前までせまってきた。


「「「うわあああぁぁあああぁぁ!!」」」



 ドドォ―――――ン!!



 ――それは、恐竜たちが木にぶつかった音ではなかった。

 かみなりが落ちたのだ。わしらが立っていた木のてっぺんに。

 雷は、すさまじい七色の光をはなって、地面をゆるがした。
状況じょうきょう理解りかいすることもかなわず、わしらの視界しかいは白くまばゆい光につつまれた。
 
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