DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フレデリック/しろさん編〉

第九話 2

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            『しんじられないことがきた。
       ハッピーな奇跡きせきは、まだわりではなかったのだ。』

**************************************

 ――フラップがもとに戻れたのは、やはりフリーナのちからのおかげだった。
ああ、解決かいけつの光は、ずっとわしらのそばでかがやきつづけていたのだ。
わしはどうして、一度いちどでもためしてみようと提案ていあんしなかったのだろう。
フリーナのハッピー☆スパークを、完全かんぜん過小評価かしょうひょうかしていた。

 あの時、木に落ちたかみなりは、その前に彼女が発生はっせいさせた雷雲らいうんから生まれたもの。
恐竜たちの激闘げきとうを見ていたわしらも、ちょうどたれるハメになったようだ。
ただ、そのおかげでフリーナは、多少たしょうのエネルギーをえることができたらしい。
大きくなった体でわしらの体をかかえてび、ユカたち三人と合流ごうりゅう
ボディガードをつとめつつ、みんなで異界穴いかいあなからそとに出た、というあらましだった。


 ところで、なぜユカたちがこちらの世界せかいもどらず、
裏世界うらせかいにとどまっていたかというと、これがまたあきれた話である。
ユカたちは、タクが見ていたふしぎレーダーアプリで異界穴をめざしていたものの、
途中とちゅうでタクのスマホの電池dえんちれたらしい。
そしてなんと、ユカのスマホも電池切でんちぎれをおこしていた。
ジュンはというと、そもそもスマホを家にわすれてきてしまったらしい。

薄暗うすぐらいジャングルのどん中だったため、三人はみちまよい、途方とほうれていた。
しかしその時、偶然ぐうぜんにもパキケファロサウルスの三兄弟さんきょうだい? と出会であった。
ユカが、かわいいねといって接近せっきんしても、おそってくる気配けはいはなかったという。
異界穴へれていってほしいと、ダメもとでたのんでみたところ、
恐竜たちは不思議ふしぎなことに、三人を背中せなかせてくれたようだ。
しかし、場所ばしょが分からないのか、ジャングルの中をあっちへこっちへ走りまわり、
いつまでたっても異界穴へたどりけなかったようだ。
そんな時に、運悪うんわるくティラノサウルスに遭遇そうぐうし、
ジャングルの外までまわされたということだった。


「すまんな。わしらがちゃんと送りとどけてやればよかったのに。
しかしまあ、よく生きていてくれたのう。わしはうれしいぞ」

 わしは、ユカの手のひらからねぎらいの言葉ことばをかけていた。
ジュンとタクは、スリルがあって面白おもしろかったというが、
ユカは正反対せいはんたいで、わしの言葉をくなりきだしてしまった。
よっぽどこわい思いをしていたのだろう。

「ほら、ユカちゃんこれ、つかう?」

 レンがほほを赤らめながら、ハンカチをさしだしてきた。
黒いドラゴンのキャラクター刺繍ししゅうが入った、レンのお気にいりのアイテムだ。
ユカは、はずかしそうにわらいながら、「ありがと」とうけとった。
今回こんかいのことで、わしはズシリと思い知った。裏世界を調査ちょうさするときは、
何があっても、子どもたちはドラギィたちと別行動べつこうどうになってはいけないことを。
それと、これからはできるだけ、わし自身じしんも裏世界の調査ちょうさ
同行どうこうしたほうがよいということをだ。


 わしらが今いるのは、あの恐竜公園きょうりゅうこうえんのなかにある、展望広場てんぼうひろばだった。
小高い段差だんさの上にある場所で、ベンチから深夜しんやまちを見わたすことができた。
はるか一億年いちおくねんの時をこえる調査からかえってきて、
現代げんだいつめたい夜風よかぜと、点々てんてんと光る町の街灯がいとうが、心地ここちよいほどにしみる。

「フラップ、本当に体はなんともないんだね?」

 レンが、自分の右肩みぎかたに乗っていたフラップの体調たいちょうを気にかけていた。

「ワンッ! エネルギー切れなので、ちょっと力が入りませんけど、
このとおり、はい、健康けんこうそのものですよ」

「そっか。そんならよかったよ。ただ――」

 フラップが戻ってきたかわりに、ブリーチがいなくなった。
かれは――えてしまったのだ。さよならの言葉ことばもかわせないまま。

「彼は、ぐすん……彼はちゃんと星に、ぐすん、なれたんだろうか。
結局けっきょくぼくは、彼のためになにも、うぅ、してあげられなかった」

 ちゅうをうかんでいたフレディはめそめそと泣きだして、レンの左肩ひだりかたにすがった。
そこへ、フリーナが心配しんぱいそうにんできて、その背中に手を当てた。

「だいじょうぶだヨ。ブリーチはきっと、あの星空ほしぞらのどこかで、
アタシたちのことをずっと見下ろしてる。ニカニカわらいながらネ……」

 いきなり、しめっぽい空気になった。
フリーナとフレディは、またたく星空を遠い目で見上げ、
子どもたちは何も言わずにそれを見守みまもっていた。
むろん、わしも一言も口をきかなかった。
あいつは大切たいせつ研究対象けんきゅうたいしょう――いや、よいダチになりつつあったのだ。
一度くらい、人間にんげんの姿で相撲勝負すもうしょうぶでもしてやればよかった。
まあ、どちらがつかは予想よそうするまでもないがな。



「そのことなんですけど――」



 フラップがひょいと手を上げて、レンの肩からはなれた。

「じつはみなさんに、お話したいことがありまして。
あのう、なんていえばいいのか……自分でもよく分かんないんですけど、
その――アウ? えっ、なに?」

 フラップは、急に視線しせんを上にむけた。だれかにこえをかけられたみたいに。

「自分で話す? え、でも、ここはぼくから話した方が――」


 するとその時だ。フラップの体が白い光のうずにつつまれた。
しぼりたてのミルクがかきぜられているような色の光だ。
そのうず一瞬いっしゅんのうちに消えさり、かわりに、べつのものがそこにいた。

 わしらはだれもが目をうたがった。
しんじられないことがきた。ハッピーな奇跡きせきは、まだわりではなかったのだ。



 そこにいたのは――白いドラギィ。あの、ブリーチだった!
 
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