DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト)2/18連載開始!】

Sirocos(シロコス)

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〈フロン編〉

15『君とのハグは、友情と幸せの約束』③

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「賞状か何か、ほしかったんだけどな、オレ」

「くすっ。レン君、それは欲張りだよ」ユカが言いました。



「レンよ、まったく、おぬしというやつは」

 ふいに、ベッドの上にいたしろさんが、やれやれと首を振って言いました。

「呑気なことを言っておる場合ではないぞ。
おぬしたち、これからが大変なんじゃからな。
わしはここでずーっと見ておったが、
あのフロンというドラギィ、わしにはなーんにもあいさつせんかった。
わしも一応、修行に手を貸した、重要な関係者のひとりなんじゃがのう」

「でも、ネズミパッドを持ってるってことは、
ずっとフロンさんのことを観察してたんでしょ、研究のために」

 しろさんの手には、たしかに、いつもの彼専用の平たい端末がありました。

「ま、そうなんじゃけどな」しろさんは、ペロッとイタズラな舌をのぞかせます。

「観察の結果、あやつはフラップたちよりもずっと強い力を持っておった。
あれが成熟したドラギィというものか。おぬしらとたいして変わらなそうじゃが」

「フロン先生は、すごいドラギィなんですよ」フラップはムッとしました。
「先生だった頃は、スクールでもひときわ輝いていたんです。
たくさんの生徒たちに人気だったんですよ。ぼくたちも憧れの先生です」

 フリーナとフレディも、コクコクと相づちを打ちました。

「分かった、分かった。まあ、あやつとはまた会う機会があるじゃろう。
その時に、より詳しく調べさせてもらうことにしようかの。

……フラップたちよ、わしもおぬしらを見ておるからのう。
修行をサボらず、常に成長する方法を考え、精進することじゃ。
さてと、わしはラボに帰るぞ。ジュンとタクにも、
今回の積もる話をちゃんと伝えておくことじゃな」

 しろさんは、そう言って本棚の最下段にあるラボドアから、帰っていきました。

「よし、さっそくテレビ電話だ」レンは言いました。
「あの二人もずっと待ってるだろうから、いろいろと報告しないと。
……報告すること多すぎて、何から話せばいいか分かんないけど」

「大丈夫。わたしもいっしょに話すから。ちゃんと順を追って説明しよう」

 レンとユカは、机のほうにむかって、
スマホによるテレビ電話の準備に取りかかりました。

 一方、ドラギィたちはベッドの上に飛んで移動していました。
フラップとフリーナは、フレディが先生にあんな質問をした理由が、
いまだ分からずにいました。

「どうしてあんな質問をしたのさ? 失礼だよ」

「そうそ。アタシたち、ヒヤヒヤしちゃった」

「……だって」フレディは、自信をなくしたように顔を曇らせていました。

「本気で気になってたから。ぼくが何か強い疑問を感じると、
相手がだれであれ真偽を問いたがるのは、ふたりとも知ってるだろ?」

「でもサ、まるで先生たちが、黒金魚にだーい変身して、
アタシたちをあんな風に追いつめたような聞き方。
アタシだったら、絶対にしないヨ」

「フリーナ、キミはそうだろうさ。
でも、ああ……そうだな。今回はぼくがいけなかった。
今後は気がかりのせいで向こう見ずな言動に走らないよう、注意するよ」


「――気がかりと言えば」フラップが天井を見上げながら言いました。

「じつはぼくも、ずっと気になっていたことがあるんだ。
でも、なかなかふたりに言い出せなくて」

「ナニナニ? アタシたちに言い出せなかったことって」

「ほら、あの大きい人間さんのことだよ。レンくんが、シロウ先生って呼んでる」

 フラップは、はじめてあの男性を目にした時から感じていたデジャヴ――
不思議な懐かしさのことを、フリーナとフレディに話しました。

「気のせいじゃないかと思って、ずっと話せなかったんだ。
でも今日、レンくんに真実を伝えて、気持ちが変わった。
あの時から感じている、シロウ先生への気持ち、たぶん普通じゃない。
会ったことのなかった人間さんのことを、懐かしいだなんて。
だからそれを、ふたりにも伝えたいって思ってたんだけど……」

 思い切った告白でした。しかし、フリーナとフレディは、
この話を聞いたとたん、何やら血相を変えてフラップを見たのです。

「ど、どうしたのふたりとも?」

「……なあ、フラップ。じつはそれ、ぼくも感じていたんだ。
あの人物にたいする、奇妙な懐かしさをね」

「えっ、フレディも?」

「アタシもなノ! あのヒトの顔をひと目見た時にサ、なんか懐かしいって」

「フリーナまで!? えっ、じゃあ、つまり……これってどういうこと?」

「ここに来て、大きな疑問が生まれてしまったな」

 フレディはあごに指をそえて、深く考えこみました。

「ぼくら三にんが、あのシロウという人物にたいして、同じ気持ちになるとは。
これは単なる偶然とは思えないな。でも、あまりに不可解すぎる。
ぼくら全員、あの人物とどこかで会ったことがあるのか?」

「「うーん」」

 三匹とも、どうしようもなく首をひねっていました。
頭に時計の音が聞こえてくるみたいに。
 
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