緑の指を持つ娘

Moonshine

文字の大きさ
4 / 130
べスの村

しおりを挟む
「ここまで送ってくださってありがとうございます。ぐすっ」

誤解が解けて、あの恐ろしい地下牢からはすぐに出してもらったものの、手塩にかけて育てていた、大事な百年草をカーターにちぎられてしまった。
カーターにも、そしてカーターが百年草をちぎる理由になったこの魔術師にもべスは怒り心頭だし、悲しくて涙が止まらない。

大体最初にこの男が早とちりせずに、しっかり話を聞いてくれていたら、牢屋に閉じ込められる事もなかったし、百年草が犠牲になる事もなかったのだ。

流石に悪いと思ったのか、王都から、ベスの住む森のほとりの粉挽き小屋までわざわざ自分で馬車を出して送ってくれた魔術師には礼を言ったが、まだ涙がとまらない。

花の咲くのを今か今かと待っていた、恋人のいない村の若い娘たちはどれほどがっかりする事だろう。

こんな美貌の、王都の魔術師様に家までエスコートされて、普通であれば心が浮き立ってもいいようなものだ。

だがこの男のせいで百年草の開花がみられなくなってしまったのかと思うと、カーターはあとで村の娘たちが総出でリンチするとして、この美貌の魔術師にも、一言いってやらないとベスの気が済まない。

「ほら、魔術師様。ここが私の畑です。カーターが勝手にとっていった薬草はこれです」

ベソベソ泣きながらも、そういって畑の隅っこの、薬草やらハーブやらを植えている場所を魔術師に示した。そこは、カーターがむしっていった薬草の束がきっちり、三束分消え去っていた。

(ここを、魔術師様たちが最初に確かめにきていたら、すぐに誤解は解けたのよ。私に自分の勘違いで酷い目に合わせた事、大切な百年草が台無しになった事、もっともっと反省したらいいわ)

べスは、ちょっとでもこの魔術師の罪悪感を募らせてやろうと、薬草の茂っている畑をみせたつもりだったのだが、魔術師はどうも、ベスの畑を見てから様子がおかしくなった。

「ほう・・」

急にがばりと地面にしゃがみ込んで、じっと、まるで宝石でも愛でるかのように、ベスの農作物を観察し出したのだ。

「素晴らしい・・何という高品質な仕上がりの薬草だ。お前は本当に植物を育てる才能に恵まれているのだな」

マジマジと魔術師は、薬草の葉を手にとってみたり、少しちぎって魔力を当ててみたり、色々触りながら、そう感心した様に独り言をつぶやいた。

「そ、そそうですか? えへ、私ちょっと植物育てるの得意なんですよ。お陰で果物とか野菜を育てるには困らないので、助かってますけど、村のお年寄りもみんな畑仕事は上手なんで、褒められるほどでも」

(あれ、この方結構いいお人かも)

お調子者のべスは、褒められて少しいい気分だ。

なにせ、(非常に迷惑を被ったが)べスが憧れてやまない王都の魔術師様から褒められているのだ。
しかも、怒りで顔など何も気にもしていなかったが、良く見るとこの男は大変な美貌の若い男だ。
非常に整った顔立ちに、濃紺の瞳。そして肩までの銀の真っ直ぐな髪。
王都の流行など何一つわからないベスでもわかるほどに素晴らしい仕立ての装い。
明らかに、貴族階級の魔術師だ。

まじまじと地面にしゃがみ込んでいる美しい貴族の男に見惚れる。

(後でエイミーに自慢できるかも。王都のものすごく美形な魔術師様に家まで送ってもらってきたって)

恋愛脳のエイミーは、きっと羨ましがるだろう。
ちょっと気分があがっていたべスは、だが、すぐにそんな気持ちになった事を後悔させられる。

「これほどに高品質の薬草は、王宮植物園で環境管理されているものの中でも滅多にお目にかかる事ができない・・それがなんだこのチャチな畑でなぜだ?」

「チャチ!」

せっかくこの男を見直して、少しいい気分になっていたのだが、人の大切な畑を、チャチとはなんだ。

「この娘も、頭はそう良さそうではない、魔力も無いただの田舎娘だし、農具もなんの魔力処理もされてない。土はいい土だが、魔素も量もたいした事のない、至って普通の土だ・・」

「ちょっと!あんた失礼よ!」

美しい唇からはロクでもない失礼な内容が紡がれている。ベスなどもう存在しないかのように、何か自分の世界に入り込んでいる様子。
そして、今度はなんと断りもなく隣に植えている、べスの畑の人参を、いきなりひっこぬいた。
ベスは絶叫する。

「ちょっと!人の畑をなにしてんのよ!!」

「ほう、やはり、これは見事な人参だ。これほどの植物の完全体は滅多にお目にかかれない」

そして、なんと土がまだついている人参をそのままガブリ!とかじりだした。

「ちょっと!ちょっと!」

べスがあわてて止めるのも、何も聞こえていない様子。

「なんと甘い。なんとみずみずしい。すばらしい。完璧たる人参だ・・」

そして、信じられない事に、次々にべスが丹精込めて育てている野菜をポイポイと引っ張ったり引きちぎったり、食べてみたり。まるで頭のおかしくなったかの所業だ。

「ちょっと!頭おかしいんですか!本当にいい加減にしてください!」

ベスは魔術師に大声で懇願したり、袖を引っ張ったりしてみるが、魔術師は、何かの考えに夢中で、ベスの声など何も聞こえてはいない様子。

(これ以上畑を荒らされちゃ、本当にたまらないわ!)

べスはたまりかねて、水車の横に置いていたバケツで川の水をくんで、ばしゃん!と魔術師にぶちまけた。
美しい銀色の髪も、黒い上質のローブも水浸しだ。

(不敬罪・・とか大丈夫よね)

水を頭から浴びせかけて、ようやくこの魔術師の男が、かなりの高位貴族だろう事に、青くなる。

水を頭からかぶってようやく正気をとりもどした魔術師は、

「あ、すまない、つい」

そう言って、ブワッと熱風を魔術で起こした。
瞬時にずぶ濡れの体は一瞬で乾燥する。

(これが、魔術・・)

ベスは生まれて初めて実際に見る魔術に、驚きで我を忘れそうになってしまったが、魔術師の手に、食べ頃になるのが楽しみだったイチゴの青い実を見つけて、また怒りが蘇る。

「すまないじゃないわよ!人を攫ったと思ったら人の大切な畑を荒らして!今日は水車の修理の予定だから粉ひきを入れてないのに、修理どころじゃないわ!どうしてくれんのよ!一体私になんの恨みがあるっていうの!」

憧れの魔術師様ではあるが、早とちりで人攫いはするは、人の大事な畑は荒らすわ、今の所この魔術師様は、ただの疫病神だ。

「ん?水車のどこかが壊れているのか?」

魔術師は、特にベスの怒りなど気にしていない様子で、水車に目をやった。

「ほら、あそこの金具が壊れているのよ。今日は上流の水をせき止めて、動かなくなってからはしごをかけて金具をかえなくちゃいけないの。結構な大仕事なんだから、あんたに構ってる暇なんてないのよ。もう帰って!」

ベスはそう言って、水車の軸の摩耗した金具を指差した。もう、これ以上この疫病神のような男に関わるのはやめる事にする。早く修理しないと、雨が降って川の水が増えたら、水車の修理はとても面倒なのだ。

「あれを直せばいいんだな」

魔術師は、懐からなにか棒のようなものを取り出すと、ブツブツと口の中で呪文を唱えて、魔術を発動させた。摩耗していた金具は、ベスの目の前でふわりと浮き上がり、光を放って真新しい金具に変わると、スッと水車に吸い込まれていった。

あっけにとられているべスに、魔術師は、

「軸棒がすり減っていただけだから、元の状態に戻して、つなげた」

と、事もなさげにいった。

(すごい・・)

一人でやれば、3日はかかる大作業だ。
この男に大変な迷惑をかけられて、先ほども大事な畑を荒らされた事など、すっかりベスの頭から抜け落ちてしまった。

「あの、魔術師様、先ほどからの、それが魔法ですか」

「ん?なんだ魔法も見た事ないのか?そうだ、これは魔法だが・・そうか、俺は魔法を見た事すらない田舎娘を魔女と勘違いしたのか・・いや、俺が悪いわけではない、あのポーションは間違いなく純度を上げると毒化するほどの質だったし、こんな有り得ない質の薬草が、こんなド田舎の、あんな鈍臭い低級冒険者から渡される予想など、誰もできないはずだ」

ブツブツとまた口の中で失礼極まりない事を呟いているが、一方のベスは、本で読んだ事だけしかなかった魔法を目の前で錬成されて、そして修理に3日はかかる大作業を魔術で一瞬で終わらせてもらって、息もつけないほど興奮していた。

「ま、ま、魔術師様、ありがとうございます!!」

「他に修繕が必要なものは?お前の畑を荒らした詫びに、直してやる」

やはりあまりベスに興味がなさそうに魔術師は言った。

「えええ!で、でしたらどうぞ!小屋の中にはいってください!」

ベスは粉挽き小屋の中に魔術師を案内した。
一人で何も不自由なく暮らしてはいるが、おじいちゃんが亡くなってからは水車の修理修繕など、ベスに手に負えない仕事があり実は少し困っていたのだ。

「ここの歯車の歯が一本かけてて」

ベスが言い終わらない内に、歯車の歯は、新しいものに編成される。

「ここのネジがわれてて」

これも同じく、光が一瞬光ったかと思えば、割れたネジが新品のように戻る。

「すごーい!!」

ベスはもう、大興奮だ。
どうやって修理しようかと何年も頭を抱えていた部品が、次々にベスの目の前で新品のように変わっていき、ほかにもなんだかベスが気がついていないような部分にも、魔術師は小さな光の塊のようなものを当てていた。

光が当てられるたびに、何か悪かった部分が直っているのだろう。水車は今まで聞いたことのないような音を出して、滑車はクルクルと非常に調子良く滑らかに走り出した。

まさに奇跡だ。魔法だ。
興奮で失神しそうなベスを横目に、魔術師の男は興味なさげに、小屋の椅子においてあった本を拾って目を通した。

「これはお前の本か?」

「ええ、本物の魔術をみるのは初めてなんですけど、よく魔術の書いてある本を読んでいるんです」

魔術師の男は、本のページをペラペラとめくって、けっと、小馬鹿にしたように言った。

「この魔術を使うにはこんなに人数もポーションもいらん。こっちの魔術は逆に魔石がいる。あまり魔術を知らない作者の描いたくだらん娯楽作品だな。この人物のモデルになった主人公も実際はこんなに正義漢ではないし、実に愚かしい」

その本はベスの一番のお気に入りの、魔術師の冒険譚だ。
村の図書館で借りてきて、どうしても自分で欲しくなって行商にわざわざ注文して、三ヶ月も到着を待った大切な本だ。
それだと言うのに、人の大切な本にこんな言い方。

(このお方、ものすごく綺麗なお顔立ちだし、すごい魔術師様なんだろうけど、性格はかなり悪いわね・・)

ベスがそう結論つけて、言葉もなく立っていると、魔術師の男は少し考えてから、ベスに振り返って、言った。

「見たいか?」

「え?」

「ここに書いてある魔術だ。何度も読んだのだろう、このくだらない本のこのページを」

トントン、と魔術師の男が指を差したのは、この本のシーンの中で、ベスが一番のお気に入りのシーンだ。
そのシーンで魔術師が展開する魔法は、夜の星が一斉に落ちてくるような、まさに夢の世界のごとく美しい魔法だ。ベスは想像の中で何度も何度もその魔術の発動した光景を再現して、うっとりとしていたのだ。

「本当に、その魔術がこの世に存在しているなら、是非見てみたいです」

魔術師の男は、ニヤリと悪い顔をした。

「ああ。これは実在する魔術だ。そう難しい術式でもない。ちょっとお前が力を貸してくれるなら、この魔術を実際に見せてやらないでもない」

「力?」

「ああ。私の管理している温室にある薬草の様子をみてほしい。状態を良い方に持って、実をつけさせる事に協力してくれたら、私が直々にこの魔術を見せてやろう」

「そんな事ならお安い御用ですよ!そんな事で見せてもらえるんですか!!」

何せ植物はベスの得意分野だ。エイミーの家の庭のぶどうのように、この魔術師様の持っている、調子の悪い植物の状態をみてあげるだけで、憧れの魔術を見せてもらえるなら願ったりだ。

だがべスは知らなかった。この時に気軽に引き受けたこの役割こそが、ベスと、そして魔術師と、そしてこの国命運すらかえてしまう、大きな出来事であった事に。



しおりを挟む
感想 174

あなたにおすすめの小説

冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました

鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」 そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。 しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!? だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。 「彼女を渡すつもりはない」 冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!? 毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし! さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜―― リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される! 政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー! 「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」

『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』

鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」 王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。 感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、 彼女はただ――王宮を去った。 しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。 外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、 かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。 一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。 帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、 彼女は再び“判断する側”として歩み始める。 やがて明らかになるのは、 王国が失ったのは「婚約者」ではなく、 判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。 謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。 それでも―― 選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。 これは、 捨てられた令嬢が声を荒げることなく、 世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。

稲垣桜
恋愛
「君と取引がしたい」 兄の上司である公爵家の嫡男が、私の前に座って開口一番そう告げた。 「取引……ですか?」 「ああ、私と結婚してほしい」 私の耳がおかしくなったのか、それとも幻聴だろうか…… ああ、そうだ。揶揄われているんだ。きっとそうだわ。  * * * * * * * * * * * *  青薔薇の騎士として有名なマクシミリアンから契約結婚を申し込まれた伯爵家令嬢のリディア。 最低限の役目をこなすことで自由な時間を得たリディアは、契約通り自由な生活を謳歌する。 リディアはマクシミリアンが契約結婚を申し出た理由を知っても気にしないと言い、逆にそれがマクシミリアンにとって棘のように胸に刺さり続け、ある夜会に参加してから二人の関係は変わっていく。 ※ゆる〜い設定です。 ※完結保証。 ※エブリスタでは現代テーマの作品を公開してます。興味がある方は覗いてみてください。

成功条件は、まさかの婚約破棄!?

たぬきち25番
恋愛
「アリエッタ、あなたとの婚約を破棄する……」 王太子のアルベルト殿下は、そう告げた。 王妃教育に懸命に取り組んでいたアリエッタだったが、 それを聞いた彼女は……? ※他サイト様にも公開始めました!

夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~

狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない! 隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。 わたし、もう王妃やめる! 政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。 離婚できないなら人間をやめるわ! 王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。 これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ! フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。 よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。 「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」 やめてえ!そんなところ撫でないで~! 夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――

婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました

鍛高譚
恋愛
「経済を握る者こそ、世界を動かす――」 前世、日本の証券会社で働いていた**瑞穂紗羅(みずほ さら)**は、異世界に転生し、サラ・レティシア伯爵令嬢として生まれ変わった。 貴族社会のしがらみや婚姻政策に巻き込まれながらも、彼女はひそかに動き始める。 「まずは資金を確保しなくちゃね」 異世界の為替市場(FX)を利用し、通貨の価値変動を読み、巨額の富を得るサラ。 次に狙うは株式投資――貴族の商会やギルドに出資し、国の経済に食い込んでいく。 気づけば彼女は、両替所ネットワークと金融システムを構築し、王国の経済を裏から支配する影の実力者となっていた。 そんな中、彼女に公爵令息との婚約話が舞い込む。 しかし、公爵令息は「格下の伯爵令嬢なんて興味がない」と、一方的に婚約破棄。 それを知った公爵は激怒する―― 「お前は何も分かっていない……! あの女は、この国の経済を支配する者だぞ! 世界すら掌握しかねないのだ!」 サラの金融帝国の成長は止まらない。 貴族たちは彼女にひれ伏し、国王は頼り、王太子は取り込もうとし、帝国は彼女の影響力に戦慄する。 果たしてサラは、異世界経済の頂点に立ち、さらなる世界の覇権を握るのか――?

処理中です...