129 / 130
緑の指を持つ娘 温泉湯けむり編
66
しおりを挟む
フェリクスの立太子の儀式は、ただの一国の立太子の儀式であるにも関わらず、大陸中で映像魔法が飛び交うほどに衝撃的なものだった。
外見の美しさに重きを置くこの封建的なアビーブという国において、フェリクスの完全無欠の王太子姿は、次期王にふさわしいと、大いに期待されていた。
だが病気の療養から数年ぶりに表舞台に登場したフェリクスは、立太子の儀式の際、顔中まだらのあざだらけ、頭は半分禿げているという凄まじい姿で、だが実に堂々とした振る舞いで、国民の前に現れたのだ。
大いに困惑する国民の前で、フェリクスはアビーブの火山で起こった真実を全て国民の前に明らかにした。
そしてジア殿下はじめ、歴史の闇に葬り去られた雷属性の王族男子の犠牲の歴史をつぶさににしていった。発表には王と王妃の猛反対があったとのことだが、その反対を振り切っての発表だったらしい。
今までこの歴史が表に出てこなかったのは、皮膚の状態の崩壊した王族が歴史上存在するという事実が、王族にも、アビーブの国民にも受け入れられない時代があったからだ。
だが、数世代後の未来にも、アビーブ火山がある限り、雷属性の王族の男子が現れる運命だ。
その際に、ジア殿下やフェリクスの巻き込まれた運命の轍には、決して誰も引き込まない。
雷属性の王族の男子が生まれたら、国全体で一丸となって噴火の対策をすれば良い。一人の王子を犠牲にして、歴史の闇に葬り去るよりも、皆で戦えば良い。
ーーー離宮の温室の温泉を、皆で作り上げたように。
「私はこの不完全で醜い姿形を心から誇りに思う。私の皮一枚で、国民の安全がアビーブ火山の噴火より守られたのだから」
そう、化粧であざを隠す事もなく、ハゲて赤いマダラの顔で、堂々たる態度で国民に宣言をしたフェリクスに、国民は熱狂的な歓迎を見せた。
外見の美しさを以て力の定義とするアビーブの時代が変わった瞬間だ。
・・・ちなみに、完全な外見からはほど遠くなったフェリクスが次期王として国民からこうも熱狂的に受け入れられたのには、かなり現金な他の理由もある。
「アビーブ・アーク」
フェリクスが療養に滞在していた鄙びた温泉村は、フェリクスの手により今大陸一の一大高級リゾートに様変わりしたのだ。この地の税収は今や国家予算の観点から見ても無視できないほどの巨大なものになっている。
最初フェリクスと村人たちだけで楽しんでいた離宮の温室の温泉だが、噂が噂を呼んで、近隣の住民や他国からの旅行者まで、是非とも温泉に入りたいと要望が多く出ていたのだ。
良い温泉は皆のもの。
だが温泉が混んで自分達が温泉の順番待ちするのは絶対嫌だ。
わがままな村人たちとフェリクスはいつもの満月の風呂の日の定例会議で相談を重ねて、みんなで温室と似たような入浴施設を観光客用に建築する事としたのだ。
一応は王太子のフェリクス。
フェリクスが入浴施設の建設に口を出すものだから、一般庶民にも入場できる施設であるにも関わらず、実に高級感あふれる素晴らしい施設となったのだ。
この地はさびれているとはいえ、一応は建国神話の温泉伝説もあるような格式の高い歴史ある温泉の土地。
すぐに村はあれよあれよという間に一大高級リゾート地と化した。
次から次への大観光ラッシュで、大工のロベルトはもう何ヶ月も休みを取れていないし、女将さんの宿など次の数年は予約も取れないほどの特需に村は沸いている。
今まで、温泉といえば王都の温泉広場のような遊興施設か、療養の為の施設しかなかったこの国で、「心と体と魂の回復」を謳った高級リゾート温泉地という考えは、画期的なものだったのだ。
道は舗装され、お土産物屋は乱立し、病院や学校も立って、どんどん村は巨大な観光名所に早変わりだ。
また、フェリクスが非業の死を遂げたジア殿下の人生を明らかにした事で、メイソンしか訪れなかった王家の淋しい丘にも参拝客が途切れなくなった。
王家の丘は賑やかな温泉地から少し外れた丘にあるので、隠れた癒しスポットとして密かに人気になっている。
体のあまり動かないミリアは、ジア殿下の墓の暗い地下の部屋に行きたい参拝客の為に、墓の前で椅子に座ってランプを貸し出すだけの商売を始めてみたのだが、これが儲かって儲かって仕方がない。
ついには先月のミリアの収入は王都に出稼ぎに出ている夫の仕送りを超えた。
村に帰った方が実入りが良いので、来年には夫も息子も王都から村に帰ってくる。
(一体何の奇跡が起こっているのかしら)
ベスが隣国からやってきて、みんなの為に風呂を整えるまで、この地はただの寂れた悲しい村だった。
だが今や、村のみんなが笑い合い、喜び合い、家族は帰ってくるし、何なら懐までほくほくあったかい。
「みなさん、ここが王家の森です!ここにジア殿下の生まれ変わったお姿だという黒亀が出没する事がありますが、見つけたら運がよくなるそうなので、みなさん張り切って見つけてくださいね!」
現金なオリビアは、フェリクスが離宮を去ってより、すぐに村の観光ガイドとなった。
何かいいネタはないかと、ベスからちょっとだけ聞いた黒亀の話を良いように脚色して、観光客を喜ばせている。
おかげで哀れな黒亀は、永遠の孤独を彷徨うどころか観光客に探され触られ、拝まれ、絵姿を描かれ、高級野菜を貢がれ、なかなか王様のような扱いを受けているらしい。
そういう訳で、アビーブ王国のどこにでもある鄙びた温泉地を、アビーブ屈指の金のなる木に生まれ変わらせたフェリクスの経営者としての見事な手腕に、封建的な社会に辟易としていた若い貴族や、利に聡い商人たちが熱狂したのだ。
そんな折だ。
正式に次期王となった暁には、フェリクスは悪名高いアビーブの身分制度の見直しを提案し、まずは先住民族への差別の撤廃と補償策を打ち出すと、かなり革新的な挑戦を打ち出した。
相当の反発があると覚悟しての政策発表だったのだが、一刻も早く自分の領にアビーブ・アーク高級リゾートの誘致を願う貴族達にとっては、そんな瑣末な事を反発して、大きな商機を逃している場合ではないらしい。
率先してフェリクスのこの政策に賛同して、自領に誘致が許された暁には、優先的に先住民をリゾートに雇用する事を競って宣言した。
懐のあったかくなったオリビアとロナルドは、来年オリビアの家族の帰りを待って結婚する。
当然のようにフェリクスも二人の結婚式に出席をする予定だ。
「私が人生で一番苦しい時に、私を支えてくれた友の結婚式に出席するのは友達として当然だろう?」
王太子直々に賎民の結婚式の出席をするなど、とてもでは無いが恐れ多いとフェリクスの出席を断ろうとした先住民族の代表に、フェリクスはそう答えて、全ての先住民族は大いに涙にくれたという。
長く、苦しい被差別の歴史は、この瞬間過去のものとなったのだ。
外見の美しさに重きを置くこの封建的なアビーブという国において、フェリクスの完全無欠の王太子姿は、次期王にふさわしいと、大いに期待されていた。
だが病気の療養から数年ぶりに表舞台に登場したフェリクスは、立太子の儀式の際、顔中まだらのあざだらけ、頭は半分禿げているという凄まじい姿で、だが実に堂々とした振る舞いで、国民の前に現れたのだ。
大いに困惑する国民の前で、フェリクスはアビーブの火山で起こった真実を全て国民の前に明らかにした。
そしてジア殿下はじめ、歴史の闇に葬り去られた雷属性の王族男子の犠牲の歴史をつぶさににしていった。発表には王と王妃の猛反対があったとのことだが、その反対を振り切っての発表だったらしい。
今までこの歴史が表に出てこなかったのは、皮膚の状態の崩壊した王族が歴史上存在するという事実が、王族にも、アビーブの国民にも受け入れられない時代があったからだ。
だが、数世代後の未来にも、アビーブ火山がある限り、雷属性の王族の男子が現れる運命だ。
その際に、ジア殿下やフェリクスの巻き込まれた運命の轍には、決して誰も引き込まない。
雷属性の王族の男子が生まれたら、国全体で一丸となって噴火の対策をすれば良い。一人の王子を犠牲にして、歴史の闇に葬り去るよりも、皆で戦えば良い。
ーーー離宮の温室の温泉を、皆で作り上げたように。
「私はこの不完全で醜い姿形を心から誇りに思う。私の皮一枚で、国民の安全がアビーブ火山の噴火より守られたのだから」
そう、化粧であざを隠す事もなく、ハゲて赤いマダラの顔で、堂々たる態度で国民に宣言をしたフェリクスに、国民は熱狂的な歓迎を見せた。
外見の美しさを以て力の定義とするアビーブの時代が変わった瞬間だ。
・・・ちなみに、完全な外見からはほど遠くなったフェリクスが次期王として国民からこうも熱狂的に受け入れられたのには、かなり現金な他の理由もある。
「アビーブ・アーク」
フェリクスが療養に滞在していた鄙びた温泉村は、フェリクスの手により今大陸一の一大高級リゾートに様変わりしたのだ。この地の税収は今や国家予算の観点から見ても無視できないほどの巨大なものになっている。
最初フェリクスと村人たちだけで楽しんでいた離宮の温室の温泉だが、噂が噂を呼んで、近隣の住民や他国からの旅行者まで、是非とも温泉に入りたいと要望が多く出ていたのだ。
良い温泉は皆のもの。
だが温泉が混んで自分達が温泉の順番待ちするのは絶対嫌だ。
わがままな村人たちとフェリクスはいつもの満月の風呂の日の定例会議で相談を重ねて、みんなで温室と似たような入浴施設を観光客用に建築する事としたのだ。
一応は王太子のフェリクス。
フェリクスが入浴施設の建設に口を出すものだから、一般庶民にも入場できる施設であるにも関わらず、実に高級感あふれる素晴らしい施設となったのだ。
この地はさびれているとはいえ、一応は建国神話の温泉伝説もあるような格式の高い歴史ある温泉の土地。
すぐに村はあれよあれよという間に一大高級リゾート地と化した。
次から次への大観光ラッシュで、大工のロベルトはもう何ヶ月も休みを取れていないし、女将さんの宿など次の数年は予約も取れないほどの特需に村は沸いている。
今まで、温泉といえば王都の温泉広場のような遊興施設か、療養の為の施設しかなかったこの国で、「心と体と魂の回復」を謳った高級リゾート温泉地という考えは、画期的なものだったのだ。
道は舗装され、お土産物屋は乱立し、病院や学校も立って、どんどん村は巨大な観光名所に早変わりだ。
また、フェリクスが非業の死を遂げたジア殿下の人生を明らかにした事で、メイソンしか訪れなかった王家の淋しい丘にも参拝客が途切れなくなった。
王家の丘は賑やかな温泉地から少し外れた丘にあるので、隠れた癒しスポットとして密かに人気になっている。
体のあまり動かないミリアは、ジア殿下の墓の暗い地下の部屋に行きたい参拝客の為に、墓の前で椅子に座ってランプを貸し出すだけの商売を始めてみたのだが、これが儲かって儲かって仕方がない。
ついには先月のミリアの収入は王都に出稼ぎに出ている夫の仕送りを超えた。
村に帰った方が実入りが良いので、来年には夫も息子も王都から村に帰ってくる。
(一体何の奇跡が起こっているのかしら)
ベスが隣国からやってきて、みんなの為に風呂を整えるまで、この地はただの寂れた悲しい村だった。
だが今や、村のみんなが笑い合い、喜び合い、家族は帰ってくるし、何なら懐までほくほくあったかい。
「みなさん、ここが王家の森です!ここにジア殿下の生まれ変わったお姿だという黒亀が出没する事がありますが、見つけたら運がよくなるそうなので、みなさん張り切って見つけてくださいね!」
現金なオリビアは、フェリクスが離宮を去ってより、すぐに村の観光ガイドとなった。
何かいいネタはないかと、ベスからちょっとだけ聞いた黒亀の話を良いように脚色して、観光客を喜ばせている。
おかげで哀れな黒亀は、永遠の孤独を彷徨うどころか観光客に探され触られ、拝まれ、絵姿を描かれ、高級野菜を貢がれ、なかなか王様のような扱いを受けているらしい。
そういう訳で、アビーブ王国のどこにでもある鄙びた温泉地を、アビーブ屈指の金のなる木に生まれ変わらせたフェリクスの経営者としての見事な手腕に、封建的な社会に辟易としていた若い貴族や、利に聡い商人たちが熱狂したのだ。
そんな折だ。
正式に次期王となった暁には、フェリクスは悪名高いアビーブの身分制度の見直しを提案し、まずは先住民族への差別の撤廃と補償策を打ち出すと、かなり革新的な挑戦を打ち出した。
相当の反発があると覚悟しての政策発表だったのだが、一刻も早く自分の領にアビーブ・アーク高級リゾートの誘致を願う貴族達にとっては、そんな瑣末な事を反発して、大きな商機を逃している場合ではないらしい。
率先してフェリクスのこの政策に賛同して、自領に誘致が許された暁には、優先的に先住民をリゾートに雇用する事を競って宣言した。
懐のあったかくなったオリビアとロナルドは、来年オリビアの家族の帰りを待って結婚する。
当然のようにフェリクスも二人の結婚式に出席をする予定だ。
「私が人生で一番苦しい時に、私を支えてくれた友の結婚式に出席するのは友達として当然だろう?」
王太子直々に賎民の結婚式の出席をするなど、とてもでは無いが恐れ多いとフェリクスの出席を断ろうとした先住民族の代表に、フェリクスはそう答えて、全ての先住民族は大いに涙にくれたという。
長く、苦しい被差別の歴史は、この瞬間過去のものとなったのだ。
653
あなたにおすすめの小説
冷酷侯爵と政略結婚したら、実家がざまぁされました
鍛高譚
恋愛
「この結婚は、家のため。ただの政略結婚よ」
そう言い聞かせ、愛のない結婚を受け入れた公爵令嬢リゼット。
しかし、挙式後すぐに父が「婚約破棄しろ」と命じてきた!?
だが、夫であるアレクシス・フォン・シュヴァルツ侯爵は冷たく言い放つ。
「彼女を渡すつもりはない」
冷酷無慈悲と噂される侯爵が、なぜかリゼットを溺愛し始める!?
毎日甘やかされ、守られ、気づけば逃げ場なし!
さらに、父の不正が明るみに出て、公爵家は失墜――
リゼットを道具として利用しようとした者たちに、ざまぁの鉄槌が下される!
政略結婚から始まる、甘々溺愛ラブストーリー!
「愛なんてないはずなのに……どうしてこんなに大切にされるの?」
『婚約破棄された令嬢ですが、王国は私抜きでは立てなかったようですね』
鷹 綾
恋愛
「愛しているのは彼女だ」
王太子ロネスにそう告げられ、婚約を破棄された侯爵令嬢エルゼリア・クローヴェル。
感情をぶつけることも、復讐を誓うこともなく、
彼女はただ――王宮を去った。
しかしその直後から、王国は静かに崩れ始める。
外交は滞り、判断は遅れ、市場は揺れ、
かつて「問題なく回っていた」はずの政務が、次々と行き詰まっていった。
一方、エルゼリアは帝国で新たな立場を得ていた。
帝国宰相ハインリヒ・ヴォルフの隣で、
彼女は再び“判断する側”として歩み始める。
やがて明らかになるのは、
王国が失ったのは「婚約者」ではなく、
判断を引き継ぐ仕組みそのものだったという事実。
謝罪も、復縁も、感情的なざまあもない。
それでも――
選ばれ、認められ、引き継がれていくのは、誰なのか。
これは、
捨てられた令嬢が声を荒げることなく、
世界のほうが彼女を必要としてしまった物語。
キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる
藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。
将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。
入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。
セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。
家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。
得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。
【完】瓶底メガネの聖女様
らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。
傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。
実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。
そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。
【完結】令嬢憧れの騎士様に結婚を申し込まれました。でも利害一致の契約です。
稲垣桜
恋愛
「君と取引がしたい」
兄の上司である公爵家の嫡男が、私の前に座って開口一番そう告げた。
「取引……ですか?」
「ああ、私と結婚してほしい」
私の耳がおかしくなったのか、それとも幻聴だろうか……
ああ、そうだ。揶揄われているんだ。きっとそうだわ。
* * * * * * * * * * * *
青薔薇の騎士として有名なマクシミリアンから契約結婚を申し込まれた伯爵家令嬢のリディア。
最低限の役目をこなすことで自由な時間を得たリディアは、契約通り自由な生活を謳歌する。
リディアはマクシミリアンが契約結婚を申し出た理由を知っても気にしないと言い、逆にそれがマクシミリアンにとって棘のように胸に刺さり続け、ある夜会に参加してから二人の関係は変わっていく。
※ゆる〜い設定です。
※完結保証。
※エブリスタでは現代テーマの作品を公開してます。興味がある方は覗いてみてください。
成功条件は、まさかの婚約破棄!?
たぬきち25番
恋愛
「アリエッタ、あなたとの婚約を破棄する……」
王太子のアルベルト殿下は、そう告げた。
王妃教育に懸命に取り組んでいたアリエッタだったが、
それを聞いた彼女は……?
※他サイト様にも公開始めました!
夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~
狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない!
隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。
わたし、もう王妃やめる!
政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。
離婚できないなら人間をやめるわ!
王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。
これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ!
フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。
よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。
「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」
やめてえ!そんなところ撫でないで~!
夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――
婚約破棄された伯爵令嬢ですが、国の経済を掌握しました
鍛高譚
恋愛
「経済を握る者こそ、世界を動かす――」
前世、日本の証券会社で働いていた**瑞穂紗羅(みずほ さら)**は、異世界に転生し、サラ・レティシア伯爵令嬢として生まれ変わった。
貴族社会のしがらみや婚姻政策に巻き込まれながらも、彼女はひそかに動き始める。
「まずは資金を確保しなくちゃね」
異世界の為替市場(FX)を利用し、通貨の価値変動を読み、巨額の富を得るサラ。
次に狙うは株式投資――貴族の商会やギルドに出資し、国の経済に食い込んでいく。
気づけば彼女は、両替所ネットワークと金融システムを構築し、王国の経済を裏から支配する影の実力者となっていた。
そんな中、彼女に公爵令息との婚約話が舞い込む。
しかし、公爵令息は「格下の伯爵令嬢なんて興味がない」と、一方的に婚約破棄。
それを知った公爵は激怒する――
「お前は何も分かっていない……! あの女は、この国の経済を支配する者だぞ! 世界すら掌握しかねないのだ!」
サラの金融帝国の成長は止まらない。
貴族たちは彼女にひれ伏し、国王は頼り、王太子は取り込もうとし、帝国は彼女の影響力に戦慄する。
果たしてサラは、異世界経済の頂点に立ち、さらなる世界の覇権を握るのか――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる