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第一章〜大和型戦艦異世界へ〜
第3話 異世界の地
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「救助活動に向かった短艇が、15名の生存者を連れて戻ってきました」
「分かった…」
短艇の帰還報告を聞き、光太郎は、会議室で戦況を見届けていた光成と眞と共に、生存者達が居る大和甲板へと向かった。
「っ!敬礼!!」
甲板に訪れると、短艇の乗組員達が光太郎に気づき、敬礼する。
「この者達が生存者か…」
光成は甲板の端の方に固まっている生存者達の方を見る。
生存者達を光成が見ると、生存者達は身体が震えるほど怯え始めた。
「はい。彼ら曰く、自分達はあの船、海賊船の奴隷だったとのことです…」
「奴隷だと?」
短艇の乗組員から、生存者全員が奴隷と聞いた光太郎達は、全員が驚き怒りが湧いてきた。
奴隷というのも許せない上に、更に生存者の中には子供が居るからだ。
「…君達、彼らを軍医の元に連れて行ってやってくれ。それから詳しい話を聞こう」
「はっ!」
光成に命じられ、短艇の乗組員達は、生存者達を軍医の元へ連れていくことにした。
生存者達を見送った光太郎は、
「海賊という者は、野蛮な者が多いですね…」
っと帽子の唾を少し上にあげながら呟いた。
「全くだ…山本艦長、後で浜辺に慰霊碑を建てておいてくれ、勿論海賊ではなく、彼らの船に無理矢理乗せさせられ、我々によって、命を絶たせてしまった者達のな…」
「はっ!それでは私は話が出来る生存者が居ないか、接触してきます」
「頼む」
光太郎の呟きに光成は同感しつつ、光太郎に海賊に乗せられていた奴隷達の慰霊碑を建てるように命じた。
そして光太郎は、敬礼して光成と眞を甲板に残し、医療室へ向かった。
「しかし、本物の海賊に奴隷とは…まるで、大昔に戻ったようですな」
「…それどころか我々は、未知の世界に来てしまったのかもしれんな……」
「…」
大和の甲板から水平線を見つめている光成と眞は、自分達は未知の世界来てしまったのではないかという不安を、心の奥底に押しやった。
○
「こちらへ…」
「分かりました」
軍医から大丈夫だと判断された、生存者の1人である赤髪の青年が、船長室に案内されていた。
生存者が艦長室に入ると、光太郎が立っていた。
「私は、大日本帝國海軍、第四聯合艦隊旗艦の戦艦大和艦長、山本光太郎であります」
光太郎は生存者に敬礼しながら、自己紹介を済ませる。
「して、貴方の名は…?」
「…奴隷身分の私達に、名前なぞありません……」
「そうでしたか…」
名前が無いと聞き、光太郎は海賊達の悪行に、再び怒りが湧いてくる。
「では、どうぞお掛けください」
「い、いいのですか?」
「ええ勿論、楽な姿勢でお座り下さい」
光太郎が向かい合うように置いてある椅子に、座るよう勧めると、生存者の1人は戸惑いながら恐る恐る椅子に座った。
「貴方方が奴隷として扱われていたのは知っております。ですがご安心ください、我々はそのような扱いはしないとお約束します。それと、知らなかったとは言え、貴方方のような無実の人間に向かって攻撃してしまったことを謝罪させてください……」
光太郎は椅子から立ち上がった後、頭を下げる。
その行為を見た生存者は、
「顔を上げてください!奴隷身分の私達に謝罪するなんて、恥べきことなんですよ!」
慌てた様子で顔を上げるよう伝えた。
「…いえ、そちらの文化がそうでも、謝罪しなければ、大日本帝國軍人としての、私のプライドが許しません。申し訳ありませんでした…!」
顔を上げるように言われても、光太郎は頭を下げたまま生存者に対して謝罪する。
「もう十分ですからおやめください!我々に治療をして頂いただけで、もう十分です!」
「…」
光太郎は顔を上げ、椅子に座り直す。
「そ、それで…私共はどうすれば…」
「そのことなのですが、我々はここ近辺の情報が欲しいのです…何せ、我々が知る情報と食い違う点が多いもので…」
「…分かりました、私が知る全てをお話します」
「お願いします」
生存者から光太郎は信じ難い情報を手に入れることとなる。
まず、この世界に大日本帝國という国は存在しない。この世界の大国は、西に位置するソラズム大陸の全域を支配するソラリア大帝国、ソラズム大陸と海を挟んで向こう側にあるセレーネ大陸の北にあるセレーネ連邦国、そして大和を襲った海賊船が所属している、セレーネ大陸の南にある社会主義国家シュヴァルツの3つのみである。
そして彼らは、そのシュヴァルツにて奴隷身分と定められている者とのことだ。
「…成程……色々とありがとうございます」
話を聞いていた光太郎が生存者に礼を述べた。
「あの…お1つ聞いても良いですか?」
「なんでしょう?」
恐る恐る生存者は、光太郎の方を見た。
「今後、私共はどうすれば…」
生存者が光太郎に聞いたのは、生存者達の今後についてだ。
乗ってきた船は無くなったため、帰ることは出来ない。もっとも、帰った所で奴隷として働かされるだけだが…
少し考えたあと、光太郎は口を開く
「……そうですね…当面の間は、身体を休めてくださいとしか言えませんね…我々もこれからの方針が決まっていないので…」
「分かりました。ただ、これだけは言わしてください。我々はあの国に!あの悪魔が住むう国は戻りたくありません…っ!」
光太郎の問いを聞いた生存者は、光太郎に縋るように、自国には帰りたくないと懇願する。
「…分かりました、できるだけそうならないよう努力致します」
「ありがとうございます!ありがとうございます…!」
生存者は乗組員に案内され、艦長室から医務室へ戻って行った。
その後、名前がないと不便ということで、生存者たちには、それぞれの特徴や文字から名前が付けられた。
「分かった…」
短艇の帰還報告を聞き、光太郎は、会議室で戦況を見届けていた光成と眞と共に、生存者達が居る大和甲板へと向かった。
「っ!敬礼!!」
甲板に訪れると、短艇の乗組員達が光太郎に気づき、敬礼する。
「この者達が生存者か…」
光成は甲板の端の方に固まっている生存者達の方を見る。
生存者達を光成が見ると、生存者達は身体が震えるほど怯え始めた。
「はい。彼ら曰く、自分達はあの船、海賊船の奴隷だったとのことです…」
「奴隷だと?」
短艇の乗組員から、生存者全員が奴隷と聞いた光太郎達は、全員が驚き怒りが湧いてきた。
奴隷というのも許せない上に、更に生存者の中には子供が居るからだ。
「…君達、彼らを軍医の元に連れて行ってやってくれ。それから詳しい話を聞こう」
「はっ!」
光成に命じられ、短艇の乗組員達は、生存者達を軍医の元へ連れていくことにした。
生存者達を見送った光太郎は、
「海賊という者は、野蛮な者が多いですね…」
っと帽子の唾を少し上にあげながら呟いた。
「全くだ…山本艦長、後で浜辺に慰霊碑を建てておいてくれ、勿論海賊ではなく、彼らの船に無理矢理乗せさせられ、我々によって、命を絶たせてしまった者達のな…」
「はっ!それでは私は話が出来る生存者が居ないか、接触してきます」
「頼む」
光太郎の呟きに光成は同感しつつ、光太郎に海賊に乗せられていた奴隷達の慰霊碑を建てるように命じた。
そして光太郎は、敬礼して光成と眞を甲板に残し、医療室へ向かった。
「しかし、本物の海賊に奴隷とは…まるで、大昔に戻ったようですな」
「…それどころか我々は、未知の世界に来てしまったのかもしれんな……」
「…」
大和の甲板から水平線を見つめている光成と眞は、自分達は未知の世界来てしまったのではないかという不安を、心の奥底に押しやった。
○
「こちらへ…」
「分かりました」
軍医から大丈夫だと判断された、生存者の1人である赤髪の青年が、船長室に案内されていた。
生存者が艦長室に入ると、光太郎が立っていた。
「私は、大日本帝國海軍、第四聯合艦隊旗艦の戦艦大和艦長、山本光太郎であります」
光太郎は生存者に敬礼しながら、自己紹介を済ませる。
「して、貴方の名は…?」
「…奴隷身分の私達に、名前なぞありません……」
「そうでしたか…」
名前が無いと聞き、光太郎は海賊達の悪行に、再び怒りが湧いてくる。
「では、どうぞお掛けください」
「い、いいのですか?」
「ええ勿論、楽な姿勢でお座り下さい」
光太郎が向かい合うように置いてある椅子に、座るよう勧めると、生存者の1人は戸惑いながら恐る恐る椅子に座った。
「貴方方が奴隷として扱われていたのは知っております。ですがご安心ください、我々はそのような扱いはしないとお約束します。それと、知らなかったとは言え、貴方方のような無実の人間に向かって攻撃してしまったことを謝罪させてください……」
光太郎は椅子から立ち上がった後、頭を下げる。
その行為を見た生存者は、
「顔を上げてください!奴隷身分の私達に謝罪するなんて、恥べきことなんですよ!」
慌てた様子で顔を上げるよう伝えた。
「…いえ、そちらの文化がそうでも、謝罪しなければ、大日本帝國軍人としての、私のプライドが許しません。申し訳ありませんでした…!」
顔を上げるように言われても、光太郎は頭を下げたまま生存者に対して謝罪する。
「もう十分ですからおやめください!我々に治療をして頂いただけで、もう十分です!」
「…」
光太郎は顔を上げ、椅子に座り直す。
「そ、それで…私共はどうすれば…」
「そのことなのですが、我々はここ近辺の情報が欲しいのです…何せ、我々が知る情報と食い違う点が多いもので…」
「…分かりました、私が知る全てをお話します」
「お願いします」
生存者から光太郎は信じ難い情報を手に入れることとなる。
まず、この世界に大日本帝國という国は存在しない。この世界の大国は、西に位置するソラズム大陸の全域を支配するソラリア大帝国、ソラズム大陸と海を挟んで向こう側にあるセレーネ大陸の北にあるセレーネ連邦国、そして大和を襲った海賊船が所属している、セレーネ大陸の南にある社会主義国家シュヴァルツの3つのみである。
そして彼らは、そのシュヴァルツにて奴隷身分と定められている者とのことだ。
「…成程……色々とありがとうございます」
話を聞いていた光太郎が生存者に礼を述べた。
「あの…お1つ聞いても良いですか?」
「なんでしょう?」
恐る恐る生存者は、光太郎の方を見た。
「今後、私共はどうすれば…」
生存者が光太郎に聞いたのは、生存者達の今後についてだ。
乗ってきた船は無くなったため、帰ることは出来ない。もっとも、帰った所で奴隷として働かされるだけだが…
少し考えたあと、光太郎は口を開く
「……そうですね…当面の間は、身体を休めてくださいとしか言えませんね…我々もこれからの方針が決まっていないので…」
「分かりました。ただ、これだけは言わしてください。我々はあの国に!あの悪魔が住むう国は戻りたくありません…っ!」
光太郎の問いを聞いた生存者は、光太郎に縋るように、自国には帰りたくないと懇願する。
「…分かりました、できるだけそうならないよう努力致します」
「ありがとうございます!ありがとうございます…!」
生存者は乗組員に案内され、艦長室から医務室へ戻って行った。
その後、名前がないと不便ということで、生存者たちには、それぞれの特徴や文字から名前が付けられた。
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