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第五章〜南北大戦争〜
第33話 桜花艦隊出撃す
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シュヴァルツ進行を受け、光太郎は海軍司令部の会議室に、桜花艦隊の艦長達を集めていた。
会議室では、大きな机の上に広げられている地図の上に、兵棋が乗せられており、艦長達がそれを取り囲んで、光太郎から今回の作戦の説明を行っていた。
「現在、セレーネ連邦国の連邦陸軍は、シュヴァルツとの国境から、ここまでの撤退を余儀なくされている…」
セレーネ連邦国とシュヴァルツの国境付近に置いてあった連邦陸軍を表している兵棋を、参棒で光太郎は後ろの方へと移動させる。
「そして今、軍隊の数が少ないのが、内陸国のコパン国だ。シュヴァルツが首都の目前まで迫っているという…もし、ここが突破されたら、セレーネ連邦国は更に不利になると言えるだろう…」
兵棋を動かしながら、光太郎はセレーネ連邦国の劣勢を各艦の艦長達に説明した。
「そこで我々は、このシュヴァルツ軍の補給を少しでも圧迫させるために、シュヴァルツの軍港を破壊する。セレーネ連邦国曰く、シュヴァルツの軍港は、大東洋には4つ、中央東洋に3つあるという。桜花艦隊は陽動の意味も含め、大東洋の軍港を破壊。その後はできる限りシュヴァルツの残存艦艇を引き付け、中央東洋の軍港を、連邦海軍が全て破壊するという算段になっている…」
味方の艦隊を表した白い兵棋を参棒で動かしながら、光太郎は軍港破壊の作戦を説明する。
そんな中、黒髪短髪の若い艦長が手を挙げた。
「山本司令長官、意見具申…我々の実力ならば、艦隊を分散させ、各艦で敵軍港を襲撃すれば、時間をかけずに敵軍港の破壊が可能かと思います…!」
軍港破壊作戦の説明を受け、大海型駆逐艦海原の艦長を任されることになった、元大和乗組員一条 五郎が、光太郎に対して質問をする。
五郎は士官学校を出たばかりの海兵で、実力自体は艦長として申し分ないが、精神面がまだまだ未熟と判断され、大和乗組員に抜擢されていた。本人はそのことを不満に思っており、転移先であるこの世界で海原の艦長を任されたことと、シュヴァルツとの差で、少々に調子に乗っている。
「一条艦長、それを慢心というのだ…確かに、我々はこの世界にない技術を保有し、一度シュヴァルツの大艦隊を退けている…だが、慢心すれば思いもよらない危機をもたらすことになる。それをしっかり理解しろ…」
「……はっ…」
光太郎に慢心していることを注意され、五郎は不満そうに返事を返した。
「では、この作戦を波浪作戦と命名する。艦隊出港時間は、翌朝の〇五〇〇とする…総員準備に掛かれ!」
ハッ!!!!
波浪作戦と名付けられた、シュヴァルツの軍港破壊作戦を遂行するべく、桜花艦隊は翌朝の五時に出撃するため、準備に取り掛かった。
〇
早朝、大和率いる桜花艦隊は、日丸島の入り江にて出港準備を整えていた。
天気は快晴で、朝日が入り江に停泊している桜花艦隊を照らしていた。
「…いよいよ出撃か…」
入り江に停泊している桜花艦隊を、大和甲板から見渡しながら、光太郎は呟いた。
「我が艦隊は、セレーネ連邦国に期待されている…必ず波浪作戦を成功させなければ…」
潮風に当たりながら、光太郎はセレーネ連邦国からの期待を実感しつつ、作戦の成功を誓う。
少し水平線を見つめていた光太郎は、第一艦橋に向かい始めた。
「各艦状況はどうだ?」
第一艦橋に上がった光太郎は、第一艦橋に居た者達に艦隊の状況を尋ねた。
「はっ、現在ながと、むつが出港準備を完了させています」
「早いな…未来の日本海軍は我々に劣らないようで安心した」
「ですね」
乗組員から、ながととむつが既に出港準備を整えていると聞き、光太郎は海上自衛隊の準備の速さに満足した。
「それで?大海型駆逐艦の方はどうだ?」
「志願兵を採用しているため、もうしばらくかかるかと」
「分かった」
光太郎は大海型駆逐艦四隻の準備状況を聞き、準備が完了するまでしばらく待つことにした。
大海型駆逐艦には保護した者達の中から、海兵を志願してきた者達が搭乗しており、数ヶ月訓練をしていたとはいえ、まだまだ新兵。そのため、四隻とも出港準備が遅れているのだ。
なお、百数名の大和乗組員が志願者達の指導のため、大海型駆逐艦の方に移動しているのもあり、大和にも志願者達が乗っているが、数が少ないため大和の出港準備に支障が出ることはなかった。
光太郎が第一艦橋に上がってから数分後、
「各艦出港準備完了!」
各大海型駆逐艦から、第一艦橋に出港準備完了の報告が入ってくる。
それを聞き、光太郎は撮っていた帽子を深く被って、気を引き締めた。
そして、
「抜錨!全艦、出港せよ!!」
光太郎から桜花艦隊に出港命令が下り、大和は汽笛を鳴らして進み始める。
大和が動き出したことにより、ながと、むつ、大海、雲海、荒海、海原が、後に続いて動き出す。
辺りに汽笛を鳴り響かせながら、戦場へ向かう桜花艦隊を、桜守艦隊の乗組員達、光成、眞、剛士、更には日丸国の全国民が、敬礼をして見届ける。
「頼んだぞ…桜花艦隊、光太郎…」
朝日に向けて進む桜花艦隊を見送りながら、光成は桜花艦隊の奮闘を期待した。
会議室では、大きな机の上に広げられている地図の上に、兵棋が乗せられており、艦長達がそれを取り囲んで、光太郎から今回の作戦の説明を行っていた。
「現在、セレーネ連邦国の連邦陸軍は、シュヴァルツとの国境から、ここまでの撤退を余儀なくされている…」
セレーネ連邦国とシュヴァルツの国境付近に置いてあった連邦陸軍を表している兵棋を、参棒で光太郎は後ろの方へと移動させる。
「そして今、軍隊の数が少ないのが、内陸国のコパン国だ。シュヴァルツが首都の目前まで迫っているという…もし、ここが突破されたら、セレーネ連邦国は更に不利になると言えるだろう…」
兵棋を動かしながら、光太郎はセレーネ連邦国の劣勢を各艦の艦長達に説明した。
「そこで我々は、このシュヴァルツ軍の補給を少しでも圧迫させるために、シュヴァルツの軍港を破壊する。セレーネ連邦国曰く、シュヴァルツの軍港は、大東洋には4つ、中央東洋に3つあるという。桜花艦隊は陽動の意味も含め、大東洋の軍港を破壊。その後はできる限りシュヴァルツの残存艦艇を引き付け、中央東洋の軍港を、連邦海軍が全て破壊するという算段になっている…」
味方の艦隊を表した白い兵棋を参棒で動かしながら、光太郎は軍港破壊の作戦を説明する。
そんな中、黒髪短髪の若い艦長が手を挙げた。
「山本司令長官、意見具申…我々の実力ならば、艦隊を分散させ、各艦で敵軍港を襲撃すれば、時間をかけずに敵軍港の破壊が可能かと思います…!」
軍港破壊作戦の説明を受け、大海型駆逐艦海原の艦長を任されることになった、元大和乗組員一条 五郎が、光太郎に対して質問をする。
五郎は士官学校を出たばかりの海兵で、実力自体は艦長として申し分ないが、精神面がまだまだ未熟と判断され、大和乗組員に抜擢されていた。本人はそのことを不満に思っており、転移先であるこの世界で海原の艦長を任されたことと、シュヴァルツとの差で、少々に調子に乗っている。
「一条艦長、それを慢心というのだ…確かに、我々はこの世界にない技術を保有し、一度シュヴァルツの大艦隊を退けている…だが、慢心すれば思いもよらない危機をもたらすことになる。それをしっかり理解しろ…」
「……はっ…」
光太郎に慢心していることを注意され、五郎は不満そうに返事を返した。
「では、この作戦を波浪作戦と命名する。艦隊出港時間は、翌朝の〇五〇〇とする…総員準備に掛かれ!」
ハッ!!!!
波浪作戦と名付けられた、シュヴァルツの軍港破壊作戦を遂行するべく、桜花艦隊は翌朝の五時に出撃するため、準備に取り掛かった。
〇
早朝、大和率いる桜花艦隊は、日丸島の入り江にて出港準備を整えていた。
天気は快晴で、朝日が入り江に停泊している桜花艦隊を照らしていた。
「…いよいよ出撃か…」
入り江に停泊している桜花艦隊を、大和甲板から見渡しながら、光太郎は呟いた。
「我が艦隊は、セレーネ連邦国に期待されている…必ず波浪作戦を成功させなければ…」
潮風に当たりながら、光太郎はセレーネ連邦国からの期待を実感しつつ、作戦の成功を誓う。
少し水平線を見つめていた光太郎は、第一艦橋に向かい始めた。
「各艦状況はどうだ?」
第一艦橋に上がった光太郎は、第一艦橋に居た者達に艦隊の状況を尋ねた。
「はっ、現在ながと、むつが出港準備を完了させています」
「早いな…未来の日本海軍は我々に劣らないようで安心した」
「ですね」
乗組員から、ながととむつが既に出港準備を整えていると聞き、光太郎は海上自衛隊の準備の速さに満足した。
「それで?大海型駆逐艦の方はどうだ?」
「志願兵を採用しているため、もうしばらくかかるかと」
「分かった」
光太郎は大海型駆逐艦四隻の準備状況を聞き、準備が完了するまでしばらく待つことにした。
大海型駆逐艦には保護した者達の中から、海兵を志願してきた者達が搭乗しており、数ヶ月訓練をしていたとはいえ、まだまだ新兵。そのため、四隻とも出港準備が遅れているのだ。
なお、百数名の大和乗組員が志願者達の指導のため、大海型駆逐艦の方に移動しているのもあり、大和にも志願者達が乗っているが、数が少ないため大和の出港準備に支障が出ることはなかった。
光太郎が第一艦橋に上がってから数分後、
「各艦出港準備完了!」
各大海型駆逐艦から、第一艦橋に出港準備完了の報告が入ってくる。
それを聞き、光太郎は撮っていた帽子を深く被って、気を引き締めた。
そして、
「抜錨!全艦、出港せよ!!」
光太郎から桜花艦隊に出港命令が下り、大和は汽笛を鳴らして進み始める。
大和が動き出したことにより、ながと、むつ、大海、雲海、荒海、海原が、後に続いて動き出す。
辺りに汽笛を鳴り響かせながら、戦場へ向かう桜花艦隊を、桜守艦隊の乗組員達、光成、眞、剛士、更には日丸国の全国民が、敬礼をして見届ける。
「頼んだぞ…桜花艦隊、光太郎…」
朝日に向けて進む桜花艦隊を見送りながら、光成は桜花艦隊の奮闘を期待した。
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