38 / 150
第五章〜南北大戦争〜
第33話 桜花艦隊出撃す
しおりを挟む
シュヴァルツ進行を受け、光太郎は海軍司令部の会議室に、桜花艦隊の艦長達を集めていた。
会議室では、大きな机の上に広げられている地図の上に、兵棋が乗せられており、艦長達がそれを取り囲んで、光太郎から今回の作戦の説明を行っていた。
「現在、セレーネ連邦国の連邦陸軍は、シュヴァルツとの国境から、ここまでの撤退を余儀なくされている…」
セレーネ連邦国とシュヴァルツの国境付近に置いてあった連邦陸軍を表している兵棋を、参棒で光太郎は後ろの方へと移動させる。
「そして今、軍隊の数が少ないのが、内陸国のコパン国だ。シュヴァルツが首都の目前まで迫っているという…もし、ここが突破されたら、セレーネ連邦国は更に不利になると言えるだろう…」
兵棋を動かしながら、光太郎はセレーネ連邦国の劣勢を各艦の艦長達に説明した。
「そこで我々は、このシュヴァルツ軍の補給を少しでも圧迫させるために、シュヴァルツの軍港を破壊する。セレーネ連邦国曰く、シュヴァルツの軍港は、大東洋には4つ、中央東洋に3つあるという。桜花艦隊は陽動の意味も含め、大東洋の軍港を破壊。その後はできる限りシュヴァルツの残存艦艇を引き付け、中央東洋の軍港を、連邦海軍が全て破壊するという算段になっている…」
味方の艦隊を表した白い兵棋を参棒で動かしながら、光太郎は軍港破壊の作戦を説明する。
そんな中、黒髪短髪の若い艦長が手を挙げた。
「山本司令長官、意見具申…我々の実力ならば、艦隊を分散させ、各艦で敵軍港を襲撃すれば、時間をかけずに敵軍港の破壊が可能かと思います…!」
軍港破壊作戦の説明を受け、大海型駆逐艦海原の艦長を任されることになった、元大和乗組員一条 五郎が、光太郎に対して質問をする。
五郎は士官学校を出たばかりの海兵で、実力自体は艦長として申し分ないが、精神面がまだまだ未熟と判断され、大和乗組員に抜擢されていた。本人はそのことを不満に思っており、転移先であるこの世界で海原の艦長を任されたことと、シュヴァルツとの差で、少々に調子に乗っている。
「一条艦長、それを慢心というのだ…確かに、我々はこの世界にない技術を保有し、一度シュヴァルツの大艦隊を退けている…だが、慢心すれば思いもよらない危機をもたらすことになる。それをしっかり理解しろ…」
「……はっ…」
光太郎に慢心していることを注意され、五郎は不満そうに返事を返した。
「では、この作戦を波浪作戦と命名する。艦隊出港時間は、翌朝の〇五〇〇とする…総員準備に掛かれ!」
ハッ!!!!
波浪作戦と名付けられた、シュヴァルツの軍港破壊作戦を遂行するべく、桜花艦隊は翌朝の五時に出撃するため、準備に取り掛かった。
〇
早朝、大和率いる桜花艦隊は、日丸島の入り江にて出港準備を整えていた。
天気は快晴で、朝日が入り江に停泊している桜花艦隊を照らしていた。
「…いよいよ出撃か…」
入り江に停泊している桜花艦隊を、大和甲板から見渡しながら、光太郎は呟いた。
「我が艦隊は、セレーネ連邦国に期待されている…必ず波浪作戦を成功させなければ…」
潮風に当たりながら、光太郎はセレーネ連邦国からの期待を実感しつつ、作戦の成功を誓う。
少し水平線を見つめていた光太郎は、第一艦橋に向かい始めた。
「各艦状況はどうだ?」
第一艦橋に上がった光太郎は、第一艦橋に居た者達に艦隊の状況を尋ねた。
「はっ、現在ながと、むつが出港準備を完了させています」
「早いな…未来の日本海軍は我々に劣らないようで安心した」
「ですね」
乗組員から、ながととむつが既に出港準備を整えていると聞き、光太郎は海上自衛隊の準備の速さに満足した。
「それで?大海型駆逐艦の方はどうだ?」
「志願兵を採用しているため、もうしばらくかかるかと」
「分かった」
光太郎は大海型駆逐艦四隻の準備状況を聞き、準備が完了するまでしばらく待つことにした。
大海型駆逐艦には保護した者達の中から、海兵を志願してきた者達が搭乗しており、数ヶ月訓練をしていたとはいえ、まだまだ新兵。そのため、四隻とも出港準備が遅れているのだ。
なお、百数名の大和乗組員が志願者達の指導のため、大海型駆逐艦の方に移動しているのもあり、大和にも志願者達が乗っているが、数が少ないため大和の出港準備に支障が出ることはなかった。
光太郎が第一艦橋に上がってから数分後、
「各艦出港準備完了!」
各大海型駆逐艦から、第一艦橋に出港準備完了の報告が入ってくる。
それを聞き、光太郎は撮っていた帽子を深く被って、気を引き締めた。
そして、
「抜錨!全艦、出港せよ!!」
光太郎から桜花艦隊に出港命令が下り、大和は汽笛を鳴らして進み始める。
大和が動き出したことにより、ながと、むつ、大海、雲海、荒海、海原が、後に続いて動き出す。
辺りに汽笛を鳴り響かせながら、戦場へ向かう桜花艦隊を、桜守艦隊の乗組員達、光成、眞、剛士、更には日丸国の全国民が、敬礼をして見届ける。
「頼んだぞ…桜花艦隊、光太郎…」
朝日に向けて進む桜花艦隊を見送りながら、光成は桜花艦隊の奮闘を期待した。
会議室では、大きな机の上に広げられている地図の上に、兵棋が乗せられており、艦長達がそれを取り囲んで、光太郎から今回の作戦の説明を行っていた。
「現在、セレーネ連邦国の連邦陸軍は、シュヴァルツとの国境から、ここまでの撤退を余儀なくされている…」
セレーネ連邦国とシュヴァルツの国境付近に置いてあった連邦陸軍を表している兵棋を、参棒で光太郎は後ろの方へと移動させる。
「そして今、軍隊の数が少ないのが、内陸国のコパン国だ。シュヴァルツが首都の目前まで迫っているという…もし、ここが突破されたら、セレーネ連邦国は更に不利になると言えるだろう…」
兵棋を動かしながら、光太郎はセレーネ連邦国の劣勢を各艦の艦長達に説明した。
「そこで我々は、このシュヴァルツ軍の補給を少しでも圧迫させるために、シュヴァルツの軍港を破壊する。セレーネ連邦国曰く、シュヴァルツの軍港は、大東洋には4つ、中央東洋に3つあるという。桜花艦隊は陽動の意味も含め、大東洋の軍港を破壊。その後はできる限りシュヴァルツの残存艦艇を引き付け、中央東洋の軍港を、連邦海軍が全て破壊するという算段になっている…」
味方の艦隊を表した白い兵棋を参棒で動かしながら、光太郎は軍港破壊の作戦を説明する。
そんな中、黒髪短髪の若い艦長が手を挙げた。
「山本司令長官、意見具申…我々の実力ならば、艦隊を分散させ、各艦で敵軍港を襲撃すれば、時間をかけずに敵軍港の破壊が可能かと思います…!」
軍港破壊作戦の説明を受け、大海型駆逐艦海原の艦長を任されることになった、元大和乗組員一条 五郎が、光太郎に対して質問をする。
五郎は士官学校を出たばかりの海兵で、実力自体は艦長として申し分ないが、精神面がまだまだ未熟と判断され、大和乗組員に抜擢されていた。本人はそのことを不満に思っており、転移先であるこの世界で海原の艦長を任されたことと、シュヴァルツとの差で、少々に調子に乗っている。
「一条艦長、それを慢心というのだ…確かに、我々はこの世界にない技術を保有し、一度シュヴァルツの大艦隊を退けている…だが、慢心すれば思いもよらない危機をもたらすことになる。それをしっかり理解しろ…」
「……はっ…」
光太郎に慢心していることを注意され、五郎は不満そうに返事を返した。
「では、この作戦を波浪作戦と命名する。艦隊出港時間は、翌朝の〇五〇〇とする…総員準備に掛かれ!」
ハッ!!!!
波浪作戦と名付けられた、シュヴァルツの軍港破壊作戦を遂行するべく、桜花艦隊は翌朝の五時に出撃するため、準備に取り掛かった。
〇
早朝、大和率いる桜花艦隊は、日丸島の入り江にて出港準備を整えていた。
天気は快晴で、朝日が入り江に停泊している桜花艦隊を照らしていた。
「…いよいよ出撃か…」
入り江に停泊している桜花艦隊を、大和甲板から見渡しながら、光太郎は呟いた。
「我が艦隊は、セレーネ連邦国に期待されている…必ず波浪作戦を成功させなければ…」
潮風に当たりながら、光太郎はセレーネ連邦国からの期待を実感しつつ、作戦の成功を誓う。
少し水平線を見つめていた光太郎は、第一艦橋に向かい始めた。
「各艦状況はどうだ?」
第一艦橋に上がった光太郎は、第一艦橋に居た者達に艦隊の状況を尋ねた。
「はっ、現在ながと、むつが出港準備を完了させています」
「早いな…未来の日本海軍は我々に劣らないようで安心した」
「ですね」
乗組員から、ながととむつが既に出港準備を整えていると聞き、光太郎は海上自衛隊の準備の速さに満足した。
「それで?大海型駆逐艦の方はどうだ?」
「志願兵を採用しているため、もうしばらくかかるかと」
「分かった」
光太郎は大海型駆逐艦四隻の準備状況を聞き、準備が完了するまでしばらく待つことにした。
大海型駆逐艦には保護した者達の中から、海兵を志願してきた者達が搭乗しており、数ヶ月訓練をしていたとはいえ、まだまだ新兵。そのため、四隻とも出港準備が遅れているのだ。
なお、百数名の大和乗組員が志願者達の指導のため、大海型駆逐艦の方に移動しているのもあり、大和にも志願者達が乗っているが、数が少ないため大和の出港準備に支障が出ることはなかった。
光太郎が第一艦橋に上がってから数分後、
「各艦出港準備完了!」
各大海型駆逐艦から、第一艦橋に出港準備完了の報告が入ってくる。
それを聞き、光太郎は撮っていた帽子を深く被って、気を引き締めた。
そして、
「抜錨!全艦、出港せよ!!」
光太郎から桜花艦隊に出港命令が下り、大和は汽笛を鳴らして進み始める。
大和が動き出したことにより、ながと、むつ、大海、雲海、荒海、海原が、後に続いて動き出す。
辺りに汽笛を鳴り響かせながら、戦場へ向かう桜花艦隊を、桜守艦隊の乗組員達、光成、眞、剛士、更には日丸国の全国民が、敬礼をして見届ける。
「頼んだぞ…桜花艦隊、光太郎…」
朝日に向けて進む桜花艦隊を見送りながら、光成は桜花艦隊の奮闘を期待した。
163
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる