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第五章〜南北大戦争〜
第35話 影の暗躍
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軍港都市バリアルが、桜花艦隊により壊滅状態に陥ったという情報は、直ちにザルラの耳に入ることになる。
「港にターミナル駅が使用不可能だと……」
被害報告が書かれた書類を、怒りのあまりクシャクシャにしながら、ザルラは怒りに満ちていた。
「復旧にはどれだけかかる!」
ザルラは机を叩きながら、ルーバルを怒鳴りつける。
「それが…港とターミナル駅は徹底的に破壊されておりまして…仮復旧の見込みすら不明です」
ザルラに怯えながら、ルーバルは、港とターミナル駅の復旧の見込みが分からないことを伝える。
「忌々しき、弱小極東の国々め…っ!!」
握り拳を作りながら、ザルラは日丸国に対して怒りを向ける。
「総統閣下、少し提案があるのですが…」
「何かね?」
ルーバルは恐る恐るザルラに、とある提案をする。
「奴らは現在、我が本土の近くにいます。そこで、残存している艦艇と戦闘機で、奴らに奇襲を行うのはどうでしょう?」
「ふむ……」
ルーバルからの提案を聞き、ザルラは腕を組みながら思考を巡らす。
「機関を上手く破壊することが出来れば、大和を鹵獲することも可能かと……」
もう一押しと思ったルーバルは、大和を鹵獲できる可能性があると、ザルラに伝える。
「分かった。やりたまえ…但し、失敗は許されないからな?」
「ザー・クラー!!」
ルーバルは責任の重さを実感しつつ、執務室から退出して行った。
作戦がとある者に盗聴されているとは知らずに…
○
「戦闘機と艦艇による大和への攻撃か…」
総統府の執務室の置物の中に設置している、盗聴用の魔法通信機を使い、エルラは大和への奇襲作戦の内容を聞いていた。
「ふむ…これは使えるかもしれないな……」
大帝国から送られたスパイ、帝国の影のエルラは現在、皇帝直々に、第七艦隊による日丸国への強襲作戦をサポートするように、命令を受けている。
そのため、今回のシュヴァルツによる大和への奇襲作戦が使えると判断する。主力艦隊である桜花艦隊がこれないだけで、強襲作戦の成功率が上がるからだ。
「出撃命令を書き換え、戦闘機の数を増やすか…ついでに移動する艦艇の数も増やそう」
エルラは顎に手を置きながら、出撃命令の書き換えを行うことにする。
エルラ視点、大帝国の真似しか出来ないシュヴァルツが、異世界の戦艦である大和に勝つ事は出来ないと思っている。だが、いくら大和でも数が多ければ、シュヴァルツ相手に手こずり、帰投する時間を稼げると思ったのだ。それにシュヴァルツの海軍力や空軍力を無駄に出撃させ、消耗させることができれば、大帝国としては一石二鳥だからだ。
「大和がシュヴァルツを蹴散らすことができれば、シュヴァルツが勝つことはもうないでしょう…そうしたら、私は雲隠れでもしましょうか」
大和が勝つと思っているエルラは、逃亡先を何処にしようか考えながら、動き出すことにした。
○
アーガス大陸の南にある国、ロレック王国。アーガス大陸を統一しようとしている国の一つだが、実際は大帝国の属国である。
ロレック王国には現在、大東洋の安全を守るということで、大帝国から派遣された第七艦隊が、港町に停泊していた。
第七艦隊。魔導戦艦五隻、魔導空母二隻、魔導巡洋艦九隻、魔導駆逐艦十五隻の計三十一隻で編成されている上に、全艦艇に魔導炉が搭載されているという、他国から見たら、主力艦隊だと思ってもおかしくない艦隊編成なのだが、大帝国ではこれが一般的な艦隊編成である。
「なんで俺がこんな辺境の地にやってこなきゃならねぇーんだ…」
第七艦隊旗艦、スネイク級魔導戦艦三番艦ヴァイパーの第一艦橋にて、煙草を吸いながら、艦隊司令長官のチャルス・ケレットが文句を述べていた。
「良いではありませんか、ウェルバージ司令長官…大東洋の島々には、美女や財宝が多くあると聞きます…少しばかり頂いても、問題は無いでしょう?」
ニヤニヤと笑っている、ヴァイパー艦長ピタト・カイコムは、部下から聞いた美女と財宝の話をして、苛立っているチャルスを宥める。
「それもそうだな。皇民でもないから、好き放題にできる…今から考えるだけで楽しみだ……」
ピタトに宥められ、チャルスは怒りを忘れ、噂の美女や財宝を好きなようできることに、心を踊らせる。
「全艦、出航準備整いました……」
帝国兵の一人が、ピタトとチャルスに、出航準備が整ったことを報告した。
「よーし、楽園が待っている大東洋に向かうぞ!!全艦、出航せよーー!!」
まるで蛮族を連想させる口調で、チャルスは全艦に出港命令を出し、命令を受けた第七艦隊の所属艦艇は動き出す。
帝国軍内部でも、蛮族の艦隊と呼ばれる第七艦隊は、大東洋に向けて出航する。
楽園と噂されている島を目指して…
「港にターミナル駅が使用不可能だと……」
被害報告が書かれた書類を、怒りのあまりクシャクシャにしながら、ザルラは怒りに満ちていた。
「復旧にはどれだけかかる!」
ザルラは机を叩きながら、ルーバルを怒鳴りつける。
「それが…港とターミナル駅は徹底的に破壊されておりまして…仮復旧の見込みすら不明です」
ザルラに怯えながら、ルーバルは、港とターミナル駅の復旧の見込みが分からないことを伝える。
「忌々しき、弱小極東の国々め…っ!!」
握り拳を作りながら、ザルラは日丸国に対して怒りを向ける。
「総統閣下、少し提案があるのですが…」
「何かね?」
ルーバルは恐る恐るザルラに、とある提案をする。
「奴らは現在、我が本土の近くにいます。そこで、残存している艦艇と戦闘機で、奴らに奇襲を行うのはどうでしょう?」
「ふむ……」
ルーバルからの提案を聞き、ザルラは腕を組みながら思考を巡らす。
「機関を上手く破壊することが出来れば、大和を鹵獲することも可能かと……」
もう一押しと思ったルーバルは、大和を鹵獲できる可能性があると、ザルラに伝える。
「分かった。やりたまえ…但し、失敗は許されないからな?」
「ザー・クラー!!」
ルーバルは責任の重さを実感しつつ、執務室から退出して行った。
作戦がとある者に盗聴されているとは知らずに…
○
「戦闘機と艦艇による大和への攻撃か…」
総統府の執務室の置物の中に設置している、盗聴用の魔法通信機を使い、エルラは大和への奇襲作戦の内容を聞いていた。
「ふむ…これは使えるかもしれないな……」
大帝国から送られたスパイ、帝国の影のエルラは現在、皇帝直々に、第七艦隊による日丸国への強襲作戦をサポートするように、命令を受けている。
そのため、今回のシュヴァルツによる大和への奇襲作戦が使えると判断する。主力艦隊である桜花艦隊がこれないだけで、強襲作戦の成功率が上がるからだ。
「出撃命令を書き換え、戦闘機の数を増やすか…ついでに移動する艦艇の数も増やそう」
エルラは顎に手を置きながら、出撃命令の書き換えを行うことにする。
エルラ視点、大帝国の真似しか出来ないシュヴァルツが、異世界の戦艦である大和に勝つ事は出来ないと思っている。だが、いくら大和でも数が多ければ、シュヴァルツ相手に手こずり、帰投する時間を稼げると思ったのだ。それにシュヴァルツの海軍力や空軍力を無駄に出撃させ、消耗させることができれば、大帝国としては一石二鳥だからだ。
「大和がシュヴァルツを蹴散らすことができれば、シュヴァルツが勝つことはもうないでしょう…そうしたら、私は雲隠れでもしましょうか」
大和が勝つと思っているエルラは、逃亡先を何処にしようか考えながら、動き出すことにした。
○
アーガス大陸の南にある国、ロレック王国。アーガス大陸を統一しようとしている国の一つだが、実際は大帝国の属国である。
ロレック王国には現在、大東洋の安全を守るということで、大帝国から派遣された第七艦隊が、港町に停泊していた。
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「なんで俺がこんな辺境の地にやってこなきゃならねぇーんだ…」
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「良いではありませんか、ウェルバージ司令長官…大東洋の島々には、美女や財宝が多くあると聞きます…少しばかり頂いても、問題は無いでしょう?」
ニヤニヤと笑っている、ヴァイパー艦長ピタト・カイコムは、部下から聞いた美女と財宝の話をして、苛立っているチャルスを宥める。
「それもそうだな。皇民でもないから、好き放題にできる…今から考えるだけで楽しみだ……」
ピタトに宥められ、チャルスは怒りを忘れ、噂の美女や財宝を好きなようできることに、心を踊らせる。
「全艦、出航準備整いました……」
帝国兵の一人が、ピタトとチャルスに、出航準備が整ったことを報告した。
「よーし、楽園が待っている大東洋に向かうぞ!!全艦、出航せよーー!!」
まるで蛮族を連想させる口調で、チャルスは全艦に出港命令を出し、命令を受けた第七艦隊の所属艦艇は動き出す。
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