大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

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第五章〜南北大戦争〜

第48話 大和型航空戦艦信濃

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航空母艦信濃。元々は大和型戦艦三番艦として建造されていた戦艦だったが、戦局の変化で空母に設計を変化させられた航空母艦。竣工してから約10日後、空襲を避けるために横須賀から出航。呉に向かう最中に、アメリカの潜水艦アーチャーフィッシュによって撃沈されてしまった悲運な艦艇。
だが、そんな悲運な艦艇でも、世界が少し違えば運命が大きく変わってくる。





その世界の日本は、史実より早く完成した、大和、武蔵による艦砲射撃で真珠湾を攻撃。艦砲射撃で航空機が破壊されたことで、アメリカの戦艦不要論は息を潜め、戦艦や巡洋艦、駆逐艦を量産。それを受け、日本海軍は信濃を予定通り戦艦として建造した。
その後の戦局は、日本が優勢だったのだが、ナチス・ドイツが連合軍に降伏。お互い疲弊していたのもあり、日本はナチス・ドイツ降伏から一週間後、アメリカ優位の和平交渉を行った。GHQの統治下になることはなかったが、アメリカと同盟締結した日本は、現代社会と同じ政治体制に、緩やかに向かうことになった。日米和平交渉によって、大和は記念艦として除籍され、武蔵は解体。日本海軍の超弩級戦艦は信濃のみとされた。
そして時は流れ、1964年11月5日。日本は同盟国アメリカからの要請で、史実より長引き、泥沼化しているベトナム戦争に食わることになった。
その一環として、1964年11月28日に、ベトナムの資本主義陣営にアメリカが送る物資輸送の護衛任務を行うことになった。任務は、アメリカ軍人、M551を乗せたLST-1級戦車揚陸艦3隻、74式戦車を載せた日本の戦車揚陸艦2隻を護衛してベトナムに輸送せよという内容だった。
そして、軍令部はその護衛任務の旗艦として、現代改修が終わったばかり信濃を出撃することしたのだ。





遠州難付近に、横須賀から出港した巨大な航空戦艦が、艦隊を編成して進んでいた。
大和型航空戦艦信濃。第二次世界大戦時に活躍した大和型戦艦三番艦信濃を大規模改装行い、完成した世界初の航空戦艦。
全長266m、最大幅38.0m。主缶としてNAM加圧水型原子炉を2基搭載、主機も艦本式タービンを信濃のために改良した艦本式タービン改二を4基搭載。そして信濃が航空戦艦と呼ばれる由来は、 後部甲板の第三主砲、第二副砲などを撤去し、そこに飛行甲板を設けているからである。
前部は戦艦、後部はヘリ空母、それぞれの機能を有しているのが、大和型航空戦艦信濃なのだ。
そして今回、信濃は日米輸送艦隊の旗艦として、出撃することになったのだ。
輸送艦隊の護衛は、大和型航空戦艦信濃、ファラガット級ミサイル駆逐艦ファラガット、ファラガット級ミサイル駆逐艦ルース、そして陽炎型駆逐艦の設計図を改良して建造された改陽炎型駆逐艦、浜風、磯風、雪風の計六隻が、護衛に当たっていた。

「……このままだと、到着予定時刻を過ぎてしまいますね…」

信濃の第一艦橋から、荒れている海を双眼鏡で見つめながら、到着時間が遅れることに一人の青年がボヤいていた。
彼は、大和型航空戦艦信濃艦長兼艦隊司令長官の高野たかの 光佑こうすけ

「Oh…そうですか…まぁこの天候では仕方ありません」

俊文の後ろから、一人の黒人が顔を出す。
カイル・ネルソン。今回アメリカから派遣された海軍中将である。

「高野艦長。信濃に乗艦しているアメリカの軍人達が、不満ばかり言っているのですが…」

通信長里水りすい 美幸みゆきは、アメリカ軍人の不満を聞いていたのか、疲弊した様子で光佑に報告した。
この世界では、男女平等や実力至上主義が史実以上に進んでおり、日本はその一環として、数年前から能力がある若者や女性を軍人として雇っているのだ。

「……Sorry , fleet commander takano…レディを困らせるなぞ言語道断…私の方からキツく言っておきます」

美幸の話を聞いたカイルは、頭をかかえて軍人達に忠告すると謝りながら光佑に伝えた。
紳士的なカイルの怒りに触れた軍人達はこの後、アメリカの男性軍人達は、(物理的に)大人しくなった。
そんなことがありつつ、艦隊はベトナムに向けて進んでいく。





艦隊は数時間をかけ、潮岬沖に到達していた。
それと同時に、濃霧が立ち込め始める。

「…高野艦長!レーダーとソナー反応しません!」

「通信も反応無しです」

濃霧が立ちこめてから数分後、電子機器の不具合の報告が、次々と上がってくる。

「両舷半速!発光信号にて、各艦艇と連絡を取りながら進め」

「はっ!」

報告を受け、光佑は艦長として的確な命令を出す。

「この濃霧の影響と見ていいですね」

「デスネ…しかし、電子機器に異常をきたす濃霧とは、見たことも聞いたこともありませんね」

ゆっくりと信濃が進む中、光佑とカイルは濃霧ことについて話し合っていた。
濃霧の中、艦隊は点滅信号でお互いの安否を確認しながら、進み続ける。今居る世界が、自分達が居た世界でないことに気づくことなく──
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