大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

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第六章〜新たな世界〜

第55話 異世界の魔術師

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「シンシア様…!?」

気がついたアーミヤは、シンシアの名を叫びながら、ベットから飛び起きる。

「あっ、起きましたかッ!」

「シンシア様は何処!?何か変なことをしていないでしょうね!!?」

発見された帆船の乗組員達を見ていた雷は、気がついたアーミヤに声をかけようとしたが、シンシアのことが気が気では無いアーミヤは、雷の胸ぐらを掴みシンシアの居場所を問い質す。

「く、首!首首首っ!締まってる締まってるッ!!!」

胸ぐらを掴まれ、首が絞まっている雷は、アーミヤに首が締まっていることを必死に伝える。

「あっ…すみません……取り乱してしまいました……」

首が絞まっていることに気づいたアーミヤは、雷から手を離す。

「ケホコホ!と、取り敢えず…貴女が言うシンシアという人は、別室で寝ておりますから、安心してください…」

シンシアを豪華な服を着た少女だと気づいた雷は、息を整えながら無事のことを伝える。

「すぐに案内してくれ!」

アーミヤはその部屋までの案内を雷に頼みながら、ベットから立ち上がろうとした。
だが、上手く身体に力が入らず、ベットから床に落ちかける。

「先程起きたばかりなのに、無理しないでください!」

ベットから落ちかけたアーミヤを助け、雷はアーミヤをベットに寝かせる。

「じゃあ、今から記憶障害とかがないか、調べるから、質問に答えてもらうよ」

「分かった」

質問をする許可を得て、雷はカルテを片手にアーミヤへ質問を始める。

「まず、名前と年齢、それとどこから来たかを答えて欲しい」

「ソウィエル王国、王宮魔術師筆頭、アーミヤ・アルデンテ、にひゃ…28歳です」

「……ソウィエル王国…?」

自己紹介を書きながら雷は、ソウィエル王国という国名を聞いたことがなく、首を傾げながら復唱する。

「世界に名を馳せるソウィエル王国ですよ!?何故知らないのですか…!?」

「…あー……」

アーミヤがソウィエル王国を知らないことに驚く中、雷は察した。
今いる世界の大国は、セレーネ連邦国、シュヴァルツ共和国、ソラリス大帝国の3つしかなく、ソウィエル王国という国は知らない。となると、自分達同様この世界に迷い込んでしまったことになる。

「ええーっと、説明が難しいのですが…ここは貴女達が居た世界では無い、異世界と呼ばれる場所なんです…」

「は?」

アニメ漫画ファンではない彼女が、ここが異世界だと信じるのは無理があり、アーミヤは豆鉄砲を食らったような表情を浮かべた。

「うーん、どうすれば分かってくれるかなぁ……」

アーミヤの表情を見た雷は、ここが異世界だという証明を考える。

「あっ、これなら…」

閃いた雷はポケットから護衛用の拳銃を取りだした。

「拳銃という武器なんだけど、君たちの世界にはこんな物なかったでしょ?」

魔法が中心の世界ならば、拳銃は存在しないと予測した雷は、拳銃が存在するかどうか尋ねる。

「……信じたくはありませんが、ここが私が知っている世界ではないということは理解出来ました…」

拳銃を見たアーミヤは、異世界だということを理解し、溜息を吐いた。

「一応聞いておきますが、戻る方法は…」

「分かってたら、僕達はここに居ないよ」

「ん?それはどう言う…」

戻る方法を尋ねたアーミヤは、雷の言葉が引っかかり、意味を尋ねた。

「ああそれは…」

雷は自分達も同じ異世界から来た者だということ、今までの経緯をアーミヤに話した。

「貴方達も苦労したのね…」

「まぁそうですね……それで、君達も濃霧に巻き込まれたの…?」

一通り話を終えた雷は、自分達のように濃霧に巻き込まれ、転移してきたのかと尋ねた。

「いいえ、私達は魔王軍からの攻撃を受け、転移ワープで逃げ、気がついたらここに居た感じね」

「ワープというのは分からないけど、濃霧に飲み込まれなかったから、海からじゃなくて、島に突如現れたのか…」

第九護衛艦隊や日米輸送艦隊と同じように海から現れなかった理由に、雷は納得した。

「それで、これからどうするおつもりですか?」

「シンシア様が起き、相談をしてからだな…私の一存で決める訳には行かない」

今後についての質問に、アーミヤは迷うことなく、シンシアが起きるまで決めれないと伝える。
それを聞いた雷は、

「分かりました。シンシア様のことはしっかりと見ておくので、アルデンテさんは、ゆっくりと休んでください。シンシア様が起きたら、必ず報告するので」

と笑みを浮かべながら言った。

「…本当は今すぐにでも、シンシア様の元に向かいけど、今は君達の行為に甘えましょうか…悪い人達では無さそうですし」

「そう言って貰えて、光栄です」

雷の笑みを見た後、アーミヤはシンシアのことを日丸国に任せ、休養のために寝ることにした。
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