62 / 150
第六章〜新たな世界〜
第57話 姫君の決断
しおりを挟む
「どうも、遅れてすみません」
シンシアが目覚めてから十数分後、公務を途中で終わらしてきた光成が、春菜や護衛を引き連れて、シンシアの病室にやってきた。
「私はこの日丸国首相、竹田光成であります」
「初めまして竹田首相。私はソウィエル王国第二王女、シンシア・S・ソウィエルです。このような状態で挨拶して申し訳ございません…」
「いえいえ、お構いなく」
二人は顔を合わせながら、互いの自己紹介を行う。
自己紹介を行い、光成は光太郎が持ってきた丸椅子に座り、ベットで上半身だけ起こしているシンシアと目線を合わせる。
「では、単刀直入にお聞きします。お話は聞いているかもしれませんが、ここは貴女方が居た世界ではございません…これから先、どうするおつもりですか?」
「…」
光成の質問に、シンシアは黙り込む。
「我々の国で暮らしてもらっても構いません。船をお譲りして、新天地を目指すのもよろしいでしょう。我々としては、貴女方を奴隷などのように扱うつもりは無いと、理解して欲しいのです」
光成はシンシア達を別世界の者だからといって酷い扱いを行うことは無いと、シンシアに伝える。
「少々お時間をくださいませんか?乗組員達とお話がしたいのです」
「無論構いません。皆が納得するまで、じっくりとお話ください」
シンシアの頼みに、光成は快く引き受けた。
「ありがとうございます。竹田首相…」
光成が頼みを引き受けてくれたことに、シンシアは頭を下げて礼を述べる。
「連絡将校として山本司令長官を残します。方針が決まり次第、山本司令長官にお伝えください…それでは、失礼致します」
光成は連絡将校として光太郎を残すと伝えた後、春菜達を引き連れて、病室を後にした。
「……山本司令長官、皆がいる場所に案内してくれますか…?」
早めに今後のことを決めるために、シンシアは乗組員達が運ばれた病室に向かうことにする。
「分かりました。ではこちらへ」
乗組員達がいる病室までの案内を頼まれた光太郎は、その事を快諾した。
「アーミヤ、肩を貸してちょうだい…」
「分かりました」
シンシアはアーミヤの肩を借りながらベットから立ち上がり、光太郎と雷の後に着いて行く。
○
光太郎達に案内され、乗組員達が休養している病室に着いたシンシアは、アーミヤが皆の顔が見えるよう椅子を用意し、その椅子に座った。
「…まず最初に、皆様に謝罪致します。私めのせいで、こんな事態になってしまい、申し訳ございません…」
椅子に座ったシンシアは、皆に向けて頭を下げながら謝罪する。
「頭上げてくだせぇ、シンシア様…」
「…」
一人の声が聞こえ、シンシアは頭を上げるのと同時に、声が聞こてえてきた方を見る。
声が聞こえてきた先には、頭と左眼右腕に包帯を巻いたモートルトが居た。
「俺たちは死を覚悟して、貴女を船で運ぶ任務を引き受けたんだ…それを謝られちゃあ、死んで逝った者達の立つ瀬がねぇ。貴女がドーンッと構えてくれりゃあ、彼奴らも守ってよかったと、喜ぶさ…!だから、自分のせいなんて、言わんでくだせぇ」
モートルトはニヤリと笑みを浮かべながら、シンシアに自分達の意思を伝える。
他の乗組員達もその通りだと頷く。
「シンシア様…我々護衛の者達は、貴女様に忠誠を誓っております。例え火の中、水の中、どのような場所でもお供致します……だから、そう自分を責めないでください…」
モートルトに続き、アーミヤが護衛達を代表して、意志を伝える。
「皆さん…ありがとうございます……」
皆の意志を聞き、シンシアは嬉しさのあまり、泣き始める。
「良かったッッッ!!」
光太郎は無言で、貰い泣きし始めた雷の溝に拳を入れて強制的に黙らせる。
「……それで皆さん…今後ことで、相談があります」
雷が無言でのたうち回る中、シンシアは涙を拭き取り、気持ちを切り替える。
「私としては、この日丸国に住み、できるだけ恩返しをしたいと思っているのですが…それで良いですか……?」
シンシアは皆に日丸国への恩返しを提案する。
「ハハッ!姫様がそう言ってんだ、反対する奴はいませんて!なぁお前ら!」
ソノトオリデス!!
「我々はシンシア様について行くだけです…」
シンシアの提案に、乗組員達と護衛の者達全員が、賛成する。
「…皆様……誠にありがとうございます…」
皆が賛成してくれる嬉しさに、シンシアは深々と頭を下げて礼を述べた。
「……では、全員がこの日丸国に住み、働くということでよろしいでしょうか?」
無言で話を聞いていた光太郎は、シンシアに今後のことについて再確認する。
「はい、竹田首相にそうお伝えください」
「分かりました。では、私はこのことを竹田首相にお伝えしてきます」
「ありがとうございます…」
光太郎は殴られた箇所を摩っている雷を連れ、光成にシンシア達が決めたことを報告するため、病室を後にした。
○
その後、シンシア達の意志を聞いた光成は、彼女らが日丸国に滞在することを承認し、衣食住の保証を確約した。
無論、タダではなく、見返りとして乗組員達は海軍に所属することになり、アーミヤ達王宮魔導師達は魔導炉などの開発に従事することになった。一方、シンシアは幼いながらも、光太郎や光成などの軍人に怯えない精神の強さ、話術の上手さを買われ、日丸国の外務大臣に任命された。
シンシアが目覚めてから十数分後、公務を途中で終わらしてきた光成が、春菜や護衛を引き連れて、シンシアの病室にやってきた。
「私はこの日丸国首相、竹田光成であります」
「初めまして竹田首相。私はソウィエル王国第二王女、シンシア・S・ソウィエルです。このような状態で挨拶して申し訳ございません…」
「いえいえ、お構いなく」
二人は顔を合わせながら、互いの自己紹介を行う。
自己紹介を行い、光成は光太郎が持ってきた丸椅子に座り、ベットで上半身だけ起こしているシンシアと目線を合わせる。
「では、単刀直入にお聞きします。お話は聞いているかもしれませんが、ここは貴女方が居た世界ではございません…これから先、どうするおつもりですか?」
「…」
光成の質問に、シンシアは黙り込む。
「我々の国で暮らしてもらっても構いません。船をお譲りして、新天地を目指すのもよろしいでしょう。我々としては、貴女方を奴隷などのように扱うつもりは無いと、理解して欲しいのです」
光成はシンシア達を別世界の者だからといって酷い扱いを行うことは無いと、シンシアに伝える。
「少々お時間をくださいませんか?乗組員達とお話がしたいのです」
「無論構いません。皆が納得するまで、じっくりとお話ください」
シンシアの頼みに、光成は快く引き受けた。
「ありがとうございます。竹田首相…」
光成が頼みを引き受けてくれたことに、シンシアは頭を下げて礼を述べる。
「連絡将校として山本司令長官を残します。方針が決まり次第、山本司令長官にお伝えください…それでは、失礼致します」
光成は連絡将校として光太郎を残すと伝えた後、春菜達を引き連れて、病室を後にした。
「……山本司令長官、皆がいる場所に案内してくれますか…?」
早めに今後のことを決めるために、シンシアは乗組員達が運ばれた病室に向かうことにする。
「分かりました。ではこちらへ」
乗組員達がいる病室までの案内を頼まれた光太郎は、その事を快諾した。
「アーミヤ、肩を貸してちょうだい…」
「分かりました」
シンシアはアーミヤの肩を借りながらベットから立ち上がり、光太郎と雷の後に着いて行く。
○
光太郎達に案内され、乗組員達が休養している病室に着いたシンシアは、アーミヤが皆の顔が見えるよう椅子を用意し、その椅子に座った。
「…まず最初に、皆様に謝罪致します。私めのせいで、こんな事態になってしまい、申し訳ございません…」
椅子に座ったシンシアは、皆に向けて頭を下げながら謝罪する。
「頭上げてくだせぇ、シンシア様…」
「…」
一人の声が聞こえ、シンシアは頭を上げるのと同時に、声が聞こてえてきた方を見る。
声が聞こえてきた先には、頭と左眼右腕に包帯を巻いたモートルトが居た。
「俺たちは死を覚悟して、貴女を船で運ぶ任務を引き受けたんだ…それを謝られちゃあ、死んで逝った者達の立つ瀬がねぇ。貴女がドーンッと構えてくれりゃあ、彼奴らも守ってよかったと、喜ぶさ…!だから、自分のせいなんて、言わんでくだせぇ」
モートルトはニヤリと笑みを浮かべながら、シンシアに自分達の意思を伝える。
他の乗組員達もその通りだと頷く。
「シンシア様…我々護衛の者達は、貴女様に忠誠を誓っております。例え火の中、水の中、どのような場所でもお供致します……だから、そう自分を責めないでください…」
モートルトに続き、アーミヤが護衛達を代表して、意志を伝える。
「皆さん…ありがとうございます……」
皆の意志を聞き、シンシアは嬉しさのあまり、泣き始める。
「良かったッッッ!!」
光太郎は無言で、貰い泣きし始めた雷の溝に拳を入れて強制的に黙らせる。
「……それで皆さん…今後ことで、相談があります」
雷が無言でのたうち回る中、シンシアは涙を拭き取り、気持ちを切り替える。
「私としては、この日丸国に住み、できるだけ恩返しをしたいと思っているのですが…それで良いですか……?」
シンシアは皆に日丸国への恩返しを提案する。
「ハハッ!姫様がそう言ってんだ、反対する奴はいませんて!なぁお前ら!」
ソノトオリデス!!
「我々はシンシア様について行くだけです…」
シンシアの提案に、乗組員達と護衛の者達全員が、賛成する。
「…皆様……誠にありがとうございます…」
皆が賛成してくれる嬉しさに、シンシアは深々と頭を下げて礼を述べた。
「……では、全員がこの日丸国に住み、働くということでよろしいでしょうか?」
無言で話を聞いていた光太郎は、シンシアに今後のことについて再確認する。
「はい、竹田首相にそうお伝えください」
「分かりました。では、私はこのことを竹田首相にお伝えしてきます」
「ありがとうございます…」
光太郎は殴られた箇所を摩っている雷を連れ、光成にシンシア達が決めたことを報告するため、病室を後にした。
○
その後、シンシア達の意志を聞いた光成は、彼女らが日丸国に滞在することを承認し、衣食住の保証を確約した。
無論、タダではなく、見返りとして乗組員達は海軍に所属することになり、アーミヤ達王宮魔導師達は魔導炉などの開発に従事することになった。一方、シンシアは幼いながらも、光太郎や光成などの軍人に怯えない精神の強さ、話術の上手さを買われ、日丸国の外務大臣に任命された。
148
あなたにおすすめの小説
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる