大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

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第七章~日丸国建国祭~

第72話 建国祭の夜

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日丸国建国祭は、順調に進んで行った。度々、小さな喧嘩が起こることがあるが、直ぐに憲兵に押されられるため、大事になることは無い。
日が経つに連れ、建国祭に訪れる者の数は増え、それと同時に、露店や宿泊施設の売上は鰻登りとなっている。
そして、その賑わいは夜になってもなお続いていた。

「本当に賑わっているな…普段なら、この時間帯はとっくに静かになっているのだが…」

窓を開けて外の景色と、人々が楽しむ声を聞きながら、自宅で酒を飲んでいる光太郎は、呟きながら酒を飲み干す。

「たまにはこういうのいいと思うぜ?」

光太郎の呟きに返事を返しながら、信介は空になった光太郎のコップに酒を注ぐ。

「だな」

ツマミとして用意した焼き鳥の塩モモを食べながら、光太郎は注いでくれた酒を飲む。

「しかし、もう少し催し物があっても良かったんじゃないか…?」

光太郎はまた違い、焼き鳥のタレモモを食べながら、信介は光太郎に聞いた。
信介の言う通り、今回の日丸国建国祭では、イベント事が少なかった。勿論、音楽隊の演奏やイルカショーなどのことはやっていたが、武道大会やパレードなど、大々的なことはやっていなかったのである。

「光成さん曰く、今回の建国祭は、日丸国の文化を宣言するのがメインだ。食文化やちょっとしたことでも、この世界の者にとっては、新鮮だろう…」

信介の質問に、光太郎は酒を飲みながら答える。

「なるほどなぁ~…」

光成の意図に納得しながら、信介は光太郎の焼き鳥をどさくさに紛れて取ろうとした。

「おい、自分の分があるだろ?」

それに気が付いた光太郎は、伸びて来た信介の手を払い、冷たい目で見つめる。

「俺のやるから、一本くれよ~…!」

「断る。焼き鳥は塩に限るからな」

焼き鳥は塩派の光太郎は、タレしかない信介の焼き鳥との交換を拒否する。

「そう言えば、あの計画はどうなっている?」

「F計画か?」

「ああ」

酒を飲みながら光太郎は、F計画の話を持ち出す。
F計画。あかぎに搭載されているFー3を解析、そのデータを元に新型のジェット機を作る計画だ。

「順調だ。だけどまぁ、M551のもあるから、少し遅れているのは否めないがな…」

「F計画やM551は、セレーネやシュヴァルツにも秘匿で、解析しているからな…本当に猫の手も借りたい」

「だな」

2人は酒とつまみを飲み食いしながら、人手不足を嘆く。
その後、2人は街が静まり返るまで、共に夜景を見ながら酒を呑んだという。





日和街から少し離れた所にある料亭。そこに、光成、トムヤード、ウルフの三人が食事を終え、酒を呑みながらゆっくりとして居た。

「こういった。静かな場所で食べる和風料理もいいものですな…」

「ええ、こういった自室が欲しい物ですよ」

御猪口を片手に、外の小さな庭を見つめながらトムヤードが呟き、それに続くようにウルフも発言する。

「それだけではありません。ここは特別な部屋でしてな…魔法で声が聞こえないように細工されております」

光成の言葉に、笑みを浮かべていたトムヤードとウルフが、真剣な顔つきになる。

「つまり、国家間のやり取りを行いたいと…?」

「その通りです」

ウルフの質問に光成は頷きながら答え、机の上に資料を出した。

「これは…航空機ですか…?」

資料を見たトムヤードが呟く。

「その通りです。この航空機は、鹵獲した大鷹に搭載されていた予備機で、そこには分析して得た性能が記載されています」

「我々の複葉機とは、大きく違いますな…」

軍人のウルフは、一目で性能の差を理解する。

「そこで提案なのですが、日丸国は海軍力シーパワー、セレーネ連邦国は空軍力エアパワー、シュヴァルツ共和国は陸軍力ランドパワーと、言った感じに、陸海空それぞれの力を特化させてみるのはいかがでしょう?」

カーン!

光成の提案に、トムヤードとウルフは黙り込み、獅子落としの音が鳴り響く。

「セレーネ連邦国の大量生産と航空機は相性が良く、シュヴァルツ共和国は軍縮した後でも陸軍が多い故に、戦車の量産が出来れば機甲師団を大量に作れるはずです」

なんとしてでも、世界共栄連盟の陸海空軍力トライパワーを実現したい光成は、2人を懸命に説得する。

「…なるほど……」

「全てを研究開発するには、相当な時間がかかる…ならば、分担して大帝国以上の力を蓄え、協力し合い対抗していこうということですな?」

光成の説明を聞いたウルフとトムヤードは納得し、光成の案を受け入れ始める。

「では、セレーネ連邦国はこのウィンドを元に新型戦闘機の開発、シュヴァルツ共和国は九七式戦車の開発…この2つで生産技術、並びに運用スキルを得た後に、次の段階に向かうということでよろしいですな?」

「はい」

「ええ」

光成が再確認すると、2人はそれぞれ返事を返した。

「それでは、世界共栄連盟の未来に乾杯!」
「「乾杯!」」

3人は、世界共栄連盟の未来を願い、それぞれの酒が入ったお猪口を掲げて一気飲みする。
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