大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

文字の大きさ
80 / 150
第七章~日丸国建国祭~

第74話 慰労会

しおりを挟む
建国祭が終わってもなお、日丸国の者達は休むことなく、仕事に追われていた。
帰国者の誘導、露店の片付け、売り上げの集計などやることが多く、皆の疲労は溜まり始めていた。
それを見越した光成は、建国祭が終わった次の日、日和街の大宴会場で慰労会を開くことにした。





夕方、日和街にある大宴会場「富士」。その広さから富士と名付けられた西洋造りの宴会場には、様々な料理や酒が並べられており、今回の慰労会に参加する者達が大勢集まって居た。

「かなり集まって居るな…」

「まぁ、こういうことには参加する方が得だからな」

今回の慰労会に参加するため、光太郎と信介の2人もやってきていた。
2人は酒が入ったコップを片手に会場内を見渡し、光太郎は光成を信介は零を探していた。
すると、

「ろ、ローベルト首相!?」

っと、信介が声を出して驚いた。

「ローベルト首相達ならとっくに帰っているだ…ろ……」

信介を疑いながら、光太郎は信介の視線の先を見て言葉を失う。
2人の視線の先には、帰ったはずのトムヤードが、オーレルドと話しており、少し右に視線を向ければ桜花艦隊の者と話しているウルフの姿もあった。

「……ローベルト首相…」

光太郎はどうしてここにいる理由を聞くため、トムヤードに声をかけることにした。

「おお、山本くんに鳴門くんか」

「おっと、では私はこれで」

「ああ…!」

声をかけられたトムヤードは、オーレルドとの話を切り上げ、光太郎の方を向いた。

「何故、ここに…?」

トムヤードが居る理由が分からない2人は、恐る恐る理由を尋ねた。

「それか…実は部下達から少し休めと言われてな…明々後日まで休暇することになったんだ。まぁ、明日には帰るつもりだがな。アルシャー大統領はある程度安全が確認されるまで居るみたいだがな」

光太郎からの質問に、トムヤードは自身とウルフがここに居る理由を答えた。

「なるほど…そういうことだったんですか」

「嗚呼…ここにいる理由としては、竹田首相にパーティーへの参加を勧められてな。まぁ、我々のことを気にせず楽しんでくれ」

「「はっ、失礼します!」」

2人はトムヤードに敬礼し、その場を後にした。
トムヤードと別れた2人が会場内を歩いていると、

『皆様、お静かにお願い致します』

会場の前方にあるステージの上にたった者からアナウンスが入り、先程まで賑わっていた会場が静まり返る。

『それでは、これより慰労会を開始いたします。竹田首相、お願いいたします』

静かになったのを見て、司会の者はステージに上がって来た光成にマイクを渡し、そのまま端の方に移動して行った。

『日丸国首相、竹田光成だ。今回の日丸国建国祭は、君達の活躍のおかげで、無事に終えることができた。そんな君達を労わるため、今回の慰労会を企画した。今宵は無礼講だ。皆、飲んで食べて、楽しんでほしい。正し、光太郎以外は酒に飲まれないようにな!』

光成の言葉を聞いていた者達は、微笑んで少し笑う。

「…」

当の本人は頭を抱え、弄られたことに呆れる。

『それでは、気を取り直して…乾杯!』
カンパイ!!

光成の合図と共に、全員が空にコップを掲げ、慰労会を楽しみ始める。

「うむ…酒が美味い」

乾杯と同時に酒を一気飲みした光太郎は、酒の味に満足そうにしていた。

「俺は零ちゃん探してくるー」

「…本当に好きなんだな」

「まぁねぇ~!」

信介は光太郎に一言かけて、そのまま零を探しに向かって行った。

「山本司令…!」

信介と別れて光太郎に、誰かが声をかけた。
光太郎が声がした方を振り返ってみるとそこには、

「高野艦長、それに里水くん」

信濃艦長の光佑と通信長の美幸が居た。

「お疲れ様です、山本司令」

「お疲れ様です」

2人は敬礼しながら光太郎に労いの言葉を送る。

「私はあまり動いていないがな…そう言えば、2人は露店を出していたな?」

「ええ、良い小豆が見つかったので、大判焼きを部下と焼いていました」

光太郎からの質問に、光佑は笑みを浮かべながら答えるが、それを聞いた光太郎は首を傾げる。

「…今川焼きでは?」

「大判焼きかと…」

未来でも不毛な争いの種となっている今川焼き大判焼き回転焼きおやきetcの呼び方の違いに、2人は互いを見つめ合う。

「そこまでです。多分その言い合いは、お2人が他界した後でも続くと思うので、個人それぞれに任せましょう」

不毛な争いになる前に、美幸は2人を止めた。

「すまん。失礼な態度をとった」

「いえ、こちらも少々熱が入ってしまいました」

止められた2人は、お互いに謝った。

「それでは、山本司令、私達はこれで…」

「ああ」

2人はそのまま光太郎から別れて行った。
ふと、光太郎がステージの方を見てみると、何やら長テーブルと椅子が横一列に並べられていた。

「…嫌な予感がするな……」

テーブルと椅子を見た光太郎は、嫌な予感を感じとり、少しでも離れようとしたが、

「山本司令~!」

顔を赤くしている春菜に捕まった。

「山稜!?ど、どうした!?」

いきなり抱きつかれ、光太郎は頬赤らめながら、春菜との普段とは違う態度に戸惑う。

「見事に絡まれましたねー」

「なー」

春菜が光太郎の身体に頬をスリスリしていると、信介と零がやってきた。

「こ、これはどう言う!?」

動揺しながら光太郎は、今の春菜の状況を信介達に尋ねる。

「春菜は酒に弱い方でよくセーブしていたのですが…今回は慰労会ってことでセーブせずに飲み、その結果がそれです」

光太郎の質問に、零が自分たちが羽目を外すように唆したことを伏せて答える。

「と、とにかく。どうにかしてくれ!」

中々離れない春菜のことを光太郎は2人に頼む。

「え~…でも嬉しそうじゃ「信介ぇ~?」

茶化す信介に光太郎は本気で怒りそうになる。
そんなことをしている光太郎の肩を誰かが叩く。

「一文字さんっ!」

振り返った光太郎を眞が脇から抱きかえる。

「すまんな、光太郎。これからとある催しに参加してもらうぞ」

「それって、飲み対決じゃないですよね!?」

「…」

図星なのか、眞は無言を貫きそのまま光太郎を連れて行いこうとする。

「はい、春菜も離れなさい」

「や~~~~!!!」

眞と共に居た剛士により、光太郎に甘えていた春菜は強制的に引き剥がされ、光太郎は眞達に連れられて行った。

「………ねぇ、零…」

「ん?」

光太郎を連れられて、しょんぼりしている春菜を見ていた信介は、同じくそれを見ている零に声をかける。

「今こんなの持っているんだけど…」

信介が零に見せたのは、ボイスレコーダーのように音を録音できる魔法道具だった。
そして2人は互いの顔を見ながら悪い笑みを浮かべ、春菜の方を向きお互いに思ったことを実行することにした。
その後の慰労会では、光太郎が飲み勝負で20人に勝ったり、眞が芸を行ったり、酔った勢いでミスターコン、ミスコンの2つが急遽開催するなど、馬鹿騒ぎは朝まで続いた。
日丸国の東で、大変なことが起きているとも知らずに…
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

処理中です...