大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生

文字の大きさ
85 / 150
第八章〜統一戦争〜

第79話 集まる連盟軍

しおりを挟む
「桜花艦隊がまもなく到着する?」

旧大帝国海軍基地の執務室にて、バエルラはギバラから桜花艦隊がまもなく到着するという報告を受けていた。

「はい、先程魔法通信で報告が入りました。ここへの入港を求めているようです」

ギバラから詳細を聞きながら、バエルラは煙草を1本出して、火を着けて吸いながら少し考える。

「同陣営だからな、入港を許可し、持ってきた兵器や物資を空き地に運ばせろ」

「ではそのように…失礼します」

桜花艦隊の扱いを決めたギバラは、そのまま退出して行った。

「さて、どんな船で来るのやら……」

ギバラが退出した後、バエルラは煙草を吸いながら椅子から立ち上がり、窓から海を見つめて桜花艦隊の到着を待つ。

「………な、なんだあれは…!?」

窓から海を見つめていたバエルラは、水平線の彼方から見えてきた巨大船を見て、思わず口に加えていた煙草を床に落とした。

「おっと!」

バエルラは煙草を落としたことに気づき、足で火を消した後、再び巨大船の方を見つめる。
200m以上の大きさがある船体、人何倍もの大きさがある三連装の主砲。

「まさか…あれが大和か…!」

船の全貌が見えるようになった時、バエルラはその船が噂の大和ということに気がついた。

「……日丸国の認識を改めないと行けんな…」

大和を見たバエルラは、日丸国の認識を改めることにした。





5日かけて桜花艦隊は大東洋を横断し、アーガス共和国の臨時首都ミルバルに到着した。

「うっぷ…酔った……」

「うえ゛ぇ…」

ミルバルに到着してそうそう、船酔いしていた陸軍達が港に降り始める。

「陸の者は船酔いに弱いようだな…」

「お恥ずかしい、要塞化と同時に鍛え治さないといけないですな……」

船酔いでダウンしている者達を見ながら、降りてきた光太郎が呟き、それに続くように人魔混合大隊の大隊長を任せられた虎哲は頭を抱える。

「取り敢えず、戦車や物資を降ろさないと行けないので、アーガス共和国の者と話ましょう」

機甲部隊隊長のルビットはやることを先に済ますため、2人と共にアーガス共和国の者の元へと向かう。

「初めまして、私がアーガス共和国国防軍最高司令官のライアッド・ギバラです」

3人がギバラの元にやってくると、ギバラは自己紹介を行いながら、握手を求める。

「初めまして、私は桜花艦隊司令長官兼戦艦大和艦長、山本光太郎であります」

「日丸国陸軍人魔混成大隊大隊長、宮下虎哲です。そしてこちらが…」

「日丸国陸軍機甲部隊隊長のルビット・アルフレッドです」

3人はそれぞれギバラと握手をしながら、自己紹介を行った。

「それで…もしやあの船が……?」

「ええ、桜花艦隊旗艦戦艦大和、そしてその横にあるのが、同型艦の信濃です」

ギバラから船が大和かどうか聞かれた光太郎は、大和だと答えながら、大和と桟橋を挟むよう並んでいる同型艦の信濃も紹介する。

「なんという大きさ……」

噂の大和だと聞いたギバラは、その大きさに驚く中、彼の中の噂の信憑性が増した。

「それで、軍事物資などを降ろしたいのですが…」

「分かりました、倉庫などに案内致します」

虎哲に言われ、ギバラは連れと共に資材置き場や物資起き場などに案内することにした。
ギバラに案内され、置き場を確認したルビットと虎哲は部下に命令し、M551や小銃、砲弾などの軍事物資の積み下ろしを始めた。
積み下ろしは、人魔混成大隊に編入された一部巨人族ジャイアンや獣人の力により、順調に進んだ。





一方その頃、大東洋では、シュヴァルツ陸軍を乗せた輸送艦隊と合流した連邦海軍第一主力艦隊が、進んでいた。
連邦海軍第一主力艦隊。新開発の40cm連装砲を3基搭載した、連邦海軍初の戦艦、アルタイル級弩級戦艦アルタイルが旗艦を務めている艦隊で、この第一主力艦隊には、大和の副砲を真似して制作した15cm連装砲を2基搭載したカルデア級巡洋艦が4隻、オーシャン級駆逐艦が10隻の計15隻が所属しており、更に建造が終わり次第、プレアデス級航空母艦1隻、アルタイル級弩級戦艦2隻、カルデア級巡洋艦2隻を配備する予定である。

「しかし、日丸国のお陰で、我が海軍力は一瞬にして増したな…」

アルタイルの第一艦橋にて、艦隊司令長官のハイレイ・アルターレは、アルタイルの40cm連装砲塔を見つめながら、そう呟く。

「陸上兵器はシュヴァルツに、艦艇は日丸国に、そして航空機は我々が…三国間がそれぞれの技術開発に注力することで、大帝国との技術格差を一気に詰める…一部海軍軍人や陸の者は不満そうでしたけど、上手いこと、短時間で陸海空の技術力を延ばせるようにしましたよ…」

アルターレの呟きに、アルタイル艦長サーリアス・レフィーが反応する。

「そうだな……まぁ私としては、桜花艦隊の旗艦、大和が見れるのが楽しみなんだがな…!」

「それは皆同じですよ。日丸国建国祭の映像で見た、大和型戦艦の全門斉射は圧巻でした……あれを生で見られると思うだけで、夜も眠れないですよ…!」

2人は興奮気味に、大和を見れることを待ち遠しそうに話をする。

「確か、明日にはアーガス共和国に着くのだな?」

「その通りです。桜花艦隊は既に到着しているとの事なので、我々も到着次第、体勢を整えて、北部海域の海上封鎖を行います」

アルターレの質問に、レフィーはそれであっていることと、到着後の動きを話した。

「分かった。では、私は司令室に戻る。何かあったら直ぐに報告してくれ」

「はっ!」

予定を再確認したアルターレは、第一艦橋から艦内にある司令室へと戻って行った。
その後、シュヴァルツの輸送艦隊を率いた第一主力艦隊は、桜花艦隊が到着した次の日の朝に、アーガス共和国臨時首都ミルバルに到着した。
しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

異世界に迷い込んだ盾職おっさんは『使えない』といわれ町ぐるみで追放されましたが、現在女の子の保護者になってます。

古嶺こいし
ファンタジー
異世界に神隠しに遭い、そのまま10年以上過ごした主人公、北城辰也はある日突然パーティーメンバーから『盾しか能がないおっさんは使えない』という理由で突然解雇されてしまう。勝手に冒険者資格も剥奪され、しかも家まで壊されて居場所を完全に失ってしまった。 頼りもない孤独な主人公はこれからどうしようと海辺で黄昏ていると、海に女の子が浮かんでいるのを発見する。 「うおおおおお!!??」 慌てて救助したことによって、北城辰也の物語が幕を開けたのだった。 基本出来上がり投稿となります!

処理中です...