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第九章〜世界大戦〜
第138話 G作戦開始
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大帝国の帝国宮殿を重々しい空気が支配していた。
「それで、戦況はどうなっている…」
「はっ…現在敵はルマンドに強襲上陸を成功させ、各国家で別れて進軍中であります。今1番この帝都に近いのは、シュヴァルツ陸軍と思われます。奴らは、複数の機甲師団でむかっていると、帝国の影から連絡がありました。そのため現在、歩兵師団4個、機甲師団6個で、奴らの侵攻先に防衛線を形成中であります。一方のアーガス戦線ですが、海上補給路を例のunknownにより完全に封鎖されているため、直ぐに負けることは無いでしょうが…いずれ物資不足に陥り、降伏する可能性が十分にあります」
バルトは浮かない顔でローレンスの質問に答えた。
「…今防衛に着けている師団で、敵を追い返すことはできるか?」
「通常であれば可能ですが…敵は上陸の際、高魔導爆裂弾に似た新型兵器を導入したとのことで…これを使われた場合、多くの人命を失い、更に本土防衛が難しくなってしまいます」
「そうか……ドラス、サリス…君達も報告があるのではないか?」
「「はっ…」」
報告を聞いたローレンスは、海軍と空軍の報告を聞くことにした。
「まず、海軍の報告を致します。現在の海軍戦力は、損害がないのが、本土防衛用の第3艦隊と、予備役の艦で編成された第4艦隊、アーガス東海岸を防衛している第6艦隊のみです。第6艦隊は、アーガス東海岸から本土まで移動するのに、多くの燃料と時間を使う上、彼らにはアーガス側の中央西洋を守るという役目があるため、動かしずらい状態です。かと言って、第3艦隊と第4艦隊のみでは、連盟海軍の撃破は少々難しい状態です。無論、陛下のご命令とあらば、全力を尽くしたいと思っております」
「…分かった…ドラス。第3艦隊と第4艦隊、第6艦隊は、現状を維持つつ、徹底抗戦を行うように伝え…」
「はっ」
海軍の状態を聞き、ローレンスは命令を出す。
「では続きまして、空軍の報告を致します。帝国空軍では現在、ハルピュイアやカイム、量産が着々と進んでいるフレズベルクによる防空網を形成しております。ですが、ロンゼル港が攻撃を受けた際、時速2000kmの航空機が確認されており、それらはアーガス西海岸から中央西洋を超えて、襲ってきたと予測されております。もし仮にこれらが大量量産され、セレーネ大陸から飛んでこられますと、防衛は少々難しい可能性があります」
サリスは事実を隠すことなく、ローレンスに正確な情報を伝える。
潜水空母という発想がない彼らは、嵐龍を星を1周できる超長距離ジェット攻撃機と誤認しており、その誤認よる作戦行動の変更や敵軍の行動抑制などもまた日丸国の戦略の1つである。
「……軍の状況はよく分かった。我が帝国はまだ負けておらぬ…最後の最後まで、君たちの力を貸して欲しい」
「「「はっ!」」」
ローレンスは3人を鼓舞すると、自室へと戻って行った。
自室へと戻ったローレンスは、ベットの上に寝転がり、
「いざとなったら…余の首で…」
と、小さく呟いた。
〇
ルマンドの街中。そこには駅があり、更にその駅には軍事物資の輸送中だった大帝国の魔導機関車が停車していた。
そして鹵獲したその魔導機関車には現在、人魔混成旅団が可能な限り乗せられていた。
「G作戦…宮下少将も面白い作戦を思いつく…」
駅のホームにて、虎哲からG作戦について聞かされたシュヴァルツ陸軍のリッファン・シュタイナーは、ニヤリと笑みを浮かべて魔導機関車を見つめていた。
「それでも奇想天外ですよこの作戦……失敗するリスクが高すぎませんか…?」
シュタイナーの後ろから、シュヴァルツ陸軍参謀、ハイルド・ルーレッツが話しかける。
「だからこそだ。奇襲というのは、思いにもよらない方法で仕掛けられるからこそ、奇襲というのだよ。そして、その奇襲の大半が、奇想天外な物の方が多い…一か八かの賭けに出るのもまた、戦争に勝つ方法の1つだ」
「そういうものなのですかねぇ……」
シュタイナーの話に、ルーレッツはあまりピンと来ていなかった。
「まぁ時期に分かるようになる。さて、俺達もそろそろ行くぞ。何しろこの作戦の成功の可否には、我々の動きも重要になってくるからな…」
「はっ!」
シュタイナーは魔導機関車に背を向け、ルーレッツと共にシュヴァルツ陸軍の進軍用意を始めることにした。
これによりついに、連盟軍の乾坤一擲の作戦、G作戦が動き出したのであった。
「それで、戦況はどうなっている…」
「はっ…現在敵はルマンドに強襲上陸を成功させ、各国家で別れて進軍中であります。今1番この帝都に近いのは、シュヴァルツ陸軍と思われます。奴らは、複数の機甲師団でむかっていると、帝国の影から連絡がありました。そのため現在、歩兵師団4個、機甲師団6個で、奴らの侵攻先に防衛線を形成中であります。一方のアーガス戦線ですが、海上補給路を例のunknownにより完全に封鎖されているため、直ぐに負けることは無いでしょうが…いずれ物資不足に陥り、降伏する可能性が十分にあります」
バルトは浮かない顔でローレンスの質問に答えた。
「…今防衛に着けている師団で、敵を追い返すことはできるか?」
「通常であれば可能ですが…敵は上陸の際、高魔導爆裂弾に似た新型兵器を導入したとのことで…これを使われた場合、多くの人命を失い、更に本土防衛が難しくなってしまいます」
「そうか……ドラス、サリス…君達も報告があるのではないか?」
「「はっ…」」
報告を聞いたローレンスは、海軍と空軍の報告を聞くことにした。
「まず、海軍の報告を致します。現在の海軍戦力は、損害がないのが、本土防衛用の第3艦隊と、予備役の艦で編成された第4艦隊、アーガス東海岸を防衛している第6艦隊のみです。第6艦隊は、アーガス東海岸から本土まで移動するのに、多くの燃料と時間を使う上、彼らにはアーガス側の中央西洋を守るという役目があるため、動かしずらい状態です。かと言って、第3艦隊と第4艦隊のみでは、連盟海軍の撃破は少々難しい状態です。無論、陛下のご命令とあらば、全力を尽くしたいと思っております」
「…分かった…ドラス。第3艦隊と第4艦隊、第6艦隊は、現状を維持つつ、徹底抗戦を行うように伝え…」
「はっ」
海軍の状態を聞き、ローレンスは命令を出す。
「では続きまして、空軍の報告を致します。帝国空軍では現在、ハルピュイアやカイム、量産が着々と進んでいるフレズベルクによる防空網を形成しております。ですが、ロンゼル港が攻撃を受けた際、時速2000kmの航空機が確認されており、それらはアーガス西海岸から中央西洋を超えて、襲ってきたと予測されております。もし仮にこれらが大量量産され、セレーネ大陸から飛んでこられますと、防衛は少々難しい可能性があります」
サリスは事実を隠すことなく、ローレンスに正確な情報を伝える。
潜水空母という発想がない彼らは、嵐龍を星を1周できる超長距離ジェット攻撃機と誤認しており、その誤認よる作戦行動の変更や敵軍の行動抑制などもまた日丸国の戦略の1つである。
「……軍の状況はよく分かった。我が帝国はまだ負けておらぬ…最後の最後まで、君たちの力を貸して欲しい」
「「「はっ!」」」
ローレンスは3人を鼓舞すると、自室へと戻って行った。
自室へと戻ったローレンスは、ベットの上に寝転がり、
「いざとなったら…余の首で…」
と、小さく呟いた。
〇
ルマンドの街中。そこには駅があり、更にその駅には軍事物資の輸送中だった大帝国の魔導機関車が停車していた。
そして鹵獲したその魔導機関車には現在、人魔混成旅団が可能な限り乗せられていた。
「G作戦…宮下少将も面白い作戦を思いつく…」
駅のホームにて、虎哲からG作戦について聞かされたシュヴァルツ陸軍のリッファン・シュタイナーは、ニヤリと笑みを浮かべて魔導機関車を見つめていた。
「それでも奇想天外ですよこの作戦……失敗するリスクが高すぎませんか…?」
シュタイナーの後ろから、シュヴァルツ陸軍参謀、ハイルド・ルーレッツが話しかける。
「だからこそだ。奇襲というのは、思いにもよらない方法で仕掛けられるからこそ、奇襲というのだよ。そして、その奇襲の大半が、奇想天外な物の方が多い…一か八かの賭けに出るのもまた、戦争に勝つ方法の1つだ」
「そういうものなのですかねぇ……」
シュタイナーの話に、ルーレッツはあまりピンと来ていなかった。
「まぁ時期に分かるようになる。さて、俺達もそろそろ行くぞ。何しろこの作戦の成功の可否には、我々の動きも重要になってくるからな…」
「はっ!」
シュタイナーは魔導機関車に背を向け、ルーレッツと共にシュヴァルツ陸軍の進軍用意を始めることにした。
これによりついに、連盟軍の乾坤一擲の作戦、G作戦が動き出したのであった。
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